桜十字グループは6月18日、「医師監修『梅雨ダル』の仕組みとその対策」について発表した。
雨が続くと、「なぜかいつもより疲れやすい」「頭が重く集中できない」「気分が沈んでやる気が出ない」といった不調を感じる人が多くなる。医療法人福岡桜十字 桜十字福岡病院 人間ドック・健診センターセンター長・医師の高司由理子氏によると、それは「『梅雨ダル』と呼ばれる季節性の体調不良」の可能性が高いという。
医学的には、こうした不調の多くは「気圧の変化によって自律神経のバランスが乱れやすくなる」「日照時間の減少により脳内のセロトニン分泌が減少し、気分が落ち込む」「高湿度・気温差により体温調節機能や消化機能が低下する」といった要因によって引き起こされるとのこと。
- 「特にストレス耐性が落ちている時期や、女性のホルモンバランスが揺らぎやすい時期(月経前、更年期など)には、症状が強く出やすい傾向があります。単なる「季節のせい」にせず、早めに気づいてセルフケアを取り入れることが、梅雨を快適に乗り切る第一歩です」(高司医師)
高司医師は、梅雨を乗り切るために、自宅でもできるセルフケアについて紹介した。
「自律神経を整える基本習慣」としては、
・朝はカーテンを開けて日光を浴び、セロトニンを活性化すること
・就寝・起床時間を一定にして生活リズムを保つこと
・日中の軽い有酸素運動(ウォーキングなど)を取り入れること
・室温26~28℃・湿度50~60%を目安に快適な睡眠環境を整えること
を挙げている。
不調を感じたときは、耳の周りのマッサージして血行改善をすることも有効だという。また、偏頭痛を悪化させる場合もあれば、軽減させる場合もあるため、カフェインの摂取は適量にすること、そして水分と塩分を適切に補い、低ナトリウム血症の予防をすることも大事と語る。
梅雨時に摂りたい栄養素・食品としては、下記のものを挙げている
・腸内環境を整える発酵食品:納豆、キムチ、ヨーグルト
・抗炎症作用のある青魚、オメガ3系オイル、トマト
・疲労回復に効くビタミンB群:豚肉、玄米
・脾(ひ)を補う(消化機能を助ける):山芋、はと麦
・気を巡らせる:しそ、みょうが、ねぎなど香味野菜
低気圧で眠くなることに「異常ではないか」という心配を感じる人も少なくないが、高司医師によると、副交感神経が優位になることで眠気が強くなる傾向もあるとのこと。さまざまな不調がみられ、日常生活に支障をきたすレベルの不調(頭痛が週に何度も、気分が著しく沈むなど)が2週間以上続く場合は、医療機関に早めに受診することをすすめている。
「梅雨時の不調は"気のせい"ではなく、医学的にも根拠のある現象です。自分の体と心の声に耳を傾け、無理をせず、適切なセルフケアや専門家のサポートを活用してください」とコメントしている。
※高司医師の「高」は、正式にははしご高