
圧倒的な能力がある
五十幡亮汰が「打」のヒーローとしてヒーローインタビューのお立ち台に立った。6/12のヤクルト3回戦、2番センタースタメンの五十幡は4打数3安打2打点と打棒爆発、走者としては偽装重盗を成功させ、かつタッチアップの生還2、お立ち台に呼ばれなかったらおかしいというくらいの大活躍だ。
五十幡のバッティングが見違えるほど良くなった。実は6/7DeNA戦(2回戦)でも5打数3安打2打点と「猛打賞」の活躍を見せている。この日、僕はハマスタ内野席にいたので、五十幡の快打、俊足を思う存分味わうことができた。そもそも中大の後輩なので東都大学野球の頃から応援している。プロで花開く日を待っていた。もっともDeNA戦は「6番ピッチャー山﨑福也」が投打で目立ってしまったので、五十幡のお立ち台はなかった。
五十幡はずっとバッティングにフォーカスしてきた。キャラクターは明るいけれど、突き詰めるタイプだと思う。僕なんかはたまに早めに球場に行って、打撃練習を見、どういうアプローチをしているのか想像するだけだが、キャンプから一貫してずーっと考え続けている気配がある。まじめなのだ。そして、「自分の課題を見つけ、長い期間、ずーっと取り組むことができる」のは「俊足である」のと変わらないくらいプロ選手としての美点だ。僕は2軍を見るのが好きで、30年くらい鎌ケ谷に通ってきたが、抜群の身体能力を持ちながら消えていった選手の多くは「課題を突き詰められない」タイプだった。逆に言えば「抜群の身体能力」でお山の大将でいられたのだ。
五十幡亮汰はもちろん「抜群の身体能力」を持っている。下手したら「足が速い」で終わりかねないほど、圧倒的な能力だ。そして、ファイターズにこれまで何人、「足が速い」だけで消えていった選手がいたことか。それは武器だけど、そこで満足したら先がない。課題ははっきりしていた。バッティング。五十幡って打てなかったでしょ。本人はいっしょうけんめいだった。バット軌道を考えたり、タイミングの取り方を考えたり。今シーズンなんて最初は天秤打法(昭和の野球ファンには近藤和彦を想起させる!)にトライしていた。試行錯誤の上に現在の好調なバッティングがある。
うまくいってないときも応援を
それから絶対忘れちゃならないのは新庄ファイターズの大方針だ。走者が塁を埋めて、チャンスの場面が巡ってくる。例えば2死満塁、バッターは五十幡。打率は1割台だったりする。そんな場面、新庄剛志監督はほぼそのまま打たせたと思う。SNSはヒートアップする。「なぜ○○を代打に出さない?」「五十幡なんて自動アウト要員だろ」。僕はこの「自動アウト要員」みたいな物言いが嫌いだ。応援してるチームの選手を貶めてどうする。SNSにいるファンは大概、新庄監督より短慮だ。目の前の結果だけで文句を言う。たぶん「目の前の結果」だけで野球をやっていたら、五十幡亮汰は永遠に「代走屋」だったと思う。進藤勇也は1軍の打席なんて与えられなかったと思う。6/12ヤクルト3回戦、進藤はついにプロ初ヒットを記録した。そして、その手応えを持っていったん2軍に戻り、腕を磨くことになった(6/13登録抹消)。
五十幡亮汰のような選手はファンにジレンマを与える。代走で使えば、同点や1点ビハインドの試合終盤の勝負手になる。2死であっても四球で走者が出れば、代走五十幡案件だ。盗塁でセカンドを陥れ、ワンヒットでホームに帰ってくる。ロッテ戦で終盤、和田康士朗が出てくるとドキドキじゃないか。
だけど、「代走屋」は一回しか使えない。もし、五十幡に4打席あって、マルチ安打なら二回も足が使える。俊足を生かしたセンター守備を考えればもっと貢献度は高い。スタメンで使うメリットは「代走屋」の比ではない。但し、打てるようになるまで場数が要るのだ。チャンスの場面で代えられていたらそういうスケールの選手になってしまう。新庄監督はSNSで叩かれようと五十幡や進藤をそのまま打たせた。選手は成長する。選手は課題を克服し、復調する。「自動アウト要員」は主砲レイエスになる。「自動アウト要員」はしっかり叩けるようになり、斬り込み役を果たし、時には「返す役」も務める。今の五十幡を見てると嬉しくて泣けてくる。詰まったとき野手の前に落ちるのも多くなった。相手投手からしたら本当に嫌らしい選手だ。
僕はできるならファンに長い目で野球を見てもらいたい。五十幡も今は好調だけど、またバッティングを見失うときも来るだろう。いいときだけチヤホヤして、あっさり見捨てないでほしい。うまくいかないときも応援してるから、会心の左中間スリーベースは感激なのだ。進藤の難しい球を拾った初ヒットが感激なのだ。僕は交流戦のハマスタに「松本剛」の応援タオルを持っていったよ。最近はマツゴーまで「自動アウト要員」呼ばわりされている。僕はうまくいってないときも応援したい。
性分かもしれないけど、サヨナラ食らった6/8DeNA3回戦は「代打で好機を生かせなかった松本剛」「サヨナラ負けでベンチに戻って来る宮西尚生」を心に刻んだ。失意のときを覚えているから、いいときが輝く。それこそずっとつづき物で見てるファンの特権じゃないか。