※前編では、NO.19(第19問)までを掲載しています。N0.20(第20問)以降をお読みになりたい方は、後編をご購入ください。
はしがき
皆さま、こんにちは。棋士の冨田誠也です。今回はダイレクト向かい飛車の狙いや基本の指し方について紹介していきます。ダイレクト向かい飛車とはいまから10年ほど前に大流行した作戦で、佐藤康光九段を筆頭に多くの棋士が指していました。それまで用いられていた角交換四間飛車に比べて、4筋の途中下車をせずに直接向かい飛車に振ることで1手得を目指した作戦は革新的でした。私自身、初めて見たときは衝撃を受けましたが、序盤から力戦になる変化も多くあり、なかなか指しこなすのが難しいと敬遠してきました。しかし近年では定跡も整備され、初めてでも踏み入れやすい戦法になってきていると感じています。
また従来のダイレクト向かい飛車だけでなく端歩の位を先に取ってから角交換を目指す指し方など作戦の幅の広がりを見せています。ダイレクト向かい飛車は後手で用いることが多い作戦ですが、本付録では便宜上、先後逆で進めていきます。
ダイレクト向かい飛車がテーマですが、ほかの振り飛車へ応用できるエッセンスも盛り込んでいます。一人でも多くの皆さまに楽しんでいただけると幸いです。
五段 冨田誠也
※本文中の段位は将棋世界本誌掲載当時のもの
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NO.1
ヒント
ダイレクト向かい飛車の基本となる一手です。角交換振り飛車ではなく、ダイレクトと名づけられていることから正解を考えてみましょう。
第1問解答
▲8八飛(解答図)
この一手からダイレクト向かい飛車が始まります。
従来は飛車を直接8筋に回るのは△4五角の両取りがあるため危険と考えられており、一度▲6八飛としてから▲8八飛と振り直す駒組みが主流となっていました。しかし研究が進み、△4五角にも互角以上に戦えることがわかり、1手欲張るダイレクト向かい飛車が人気になっています。
次問から△4五角と打たれたときの対応策を見ていきましょう。
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