一連の問題を受けて策定されたフジテレビの改革案について、14日に開催された同局の番組審議会で質疑が行われた。
同局では4月30日、再生・改革に向けて、「人権ファーストを徹底する仕組みづくり」「人権侵害・ハラスメント被害者を守り抜く」「コンプライアンス違反への厳正な処分」「危機・リスクを減らす仕組みの導入」「編成・バラエティ部門の解体・再編/アナウンス室独立」「役員指名の客観性・多様性・透明性の確保」「女性比率UPと若手登用で多様性の実現」「企業理念の見直し」という8つの具体策を公表した。
番審の委員からは「具体的な改革案でとても安心した」「人権に関わるところはかなり完璧に近い形で、これが実際に運用されればかなりの理想的な改革ができるのではないかと思う」と評価。その上で、「ガバナンスの強化とは、経営理念の浸透を指すのか、クリエイターの意見をより集合していく新しい仕組みを考えているのか」という質問が飛んだ。
これに対し、局側は「日々のガバナンスは、今回のような問題があるとコンプライアンス強化のような防衛的なものを中心になりがちだが、人的資本経営を経営の尺度として入れるよう、敢えてサステナビリティ経営委員会としている」「人的資本経営にしっかりと会社として取り組むことが、組織の健全性、心理的安全性を高め、従業員のモチベーションアップや、クリエイティビティーの強化につながる」と回答した。
また、フジテレビ黄金時代を築いたキャッチフレーズ「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却と原点に立ち返るという企業理念の見直しについて、「どこへ行くのかがまだ分からない。放送・ネット融合の時代に社会の公器というだけで足りるのか。新たな価値観の創出を、株主は問うてくる」と質問。
これに対しては、「社会の公器として、人々の暮らしに意味をもたらすものを届けていきたいと考えている。企業理念の再定義における社員の対話と議論の中で、心の中に共通しているものが言語化されると思っている」と見解を示した。
フジ・メディア・ホールディングスは30日、改革案に対するステークホルダーの反応を説明。投資家からは「人権・コンプライアンスに対する強化策は、十分な内容と考えている。今後これを組織全体で熱量をもって継続して実行していくことは大変だと思うが、期待している」、金融機関からは「アナウンス室に対する対応などは具体性があり評価できる」「社としての打ち出しは固まったと思う。何をもって変わったと思ってもらえるかは非常に難しい問題。一人一人の社員が変わる必要性がある。再生・改革に伴走するので頑張ってほしい」といった反応が寄せられていることを明かした。