PSYCHIC FEVERが語る、USツアーとSXSWを経て確信した「グローバルへの道」

2022年に半年間活動拠点をタイに移し、アジアでのプレゼンスを高めたPSYCHIC FEVER。アジアツアーを成功させる中、「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」がTikTokの総再生数2.7億回を突破し、世界的バイラルヒットを記録。PSYCHIC FEVERの名はアジアを超えて欧米にも飛び火し、今年2月に行った初のUSツアーでは全6都市で熱狂的に迎えられた。グローバルアーティストとしてさらに飛躍するという想いが込められたのがニューEP『PSYCHIC FILE Ⅲ』だ。

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これまでもPSYCHIC FEVERの楽曲制作を担当してきたELIONE、JIGG、Nvmbrr、タイのプロデューサー・NINOを中心に海外のトップライナーも参加。世界のトレンドとリンクしたサウンドに乗った歌詞の大半は英詞で、海外のファンにも視線を向けた全編英詞の楽曲「PROMISE」も収録されている。世界中をホームにするという道程の真っ只中にいる7人にUSツアーの手応えから聞いた。

―初のUSツアーはどんな手応えがありましたか?

JIMMY:ブルーノ・マーズのバックバンド、ザ・フーリガンズのジョン(・フォシット)さんと一緒にツアーを周らせてもらったんです。ツアーの作り込み期間に「日本でのツアーだったらすごく良いライブだと思うけど、USではまだまだ通用しないよ」っていう言葉をいただいて、そこからいろいろなUSのライブを見る中で、どんな風にお客さんを盛り上げれば良いのかを研究した上でUSツアーのセットリストを作り上げました。ジョンさんのおかげで、「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」以外の曲でもしっかり盛り上げることができました。グループとしても個々のスキル、例えばビートボックスやラップ、歌、それぞれの強みを見せられたツアーだったんじゃないかなって思います。手ごたえはありましたね。

中西椋雅:初のUSツアーだったのでどういう感じなのか実際に行ってみないとわからないところがあったんですが、「僕たちの楽曲をこんなに知ってもらえているんだ」っていうことが知れました。僕たちの楽曲は日本語の歌詞が多いんですが、その歌詞を覚えて一緒に歌ってくださってるファンの方を見てすごく嬉しかった。これからもいろいろな国でライブをしていくにあたって、「もう少し英語が多い曲のほうがいいかな」とか「こういう曲のほうが刺さるかな」っていうことを考えて新しいEPの『PSYCHIC FILE Ⅲ』を作っていきました。

―USツアーの準備期間はたっぷりあったんですか?

JIMMY:僕と椋雅くんがライブの音源制作を担当したんですが、1カ月弱くらいしか制作期間がなかったのでめちゃくちゃ詰め込みました。ジョンと一緒に夕方からスタジオに入って朝6時くらいまで作業する中でセトリ1曲1曲を見直して、「この音を足そう」とか「この音を抜こう」とか「ここはリミックスを作ってみよう」とか、細かく丁寧にアメリカ仕様に作り替えていきました。

―ファイナルのLA公演では皆さんのバックにキーボードのジョンさんがいる編成でしたけど、その編成でライブをやってみてどうでしたか?

JIMMY:単独ツアーでは初めてリアルな楽器を入れてやったライブだったんです。日本ではライブをするのがZeppということもあって、DJコーナーを入れたりクラブっぽいノリで、2時間一気に駆け抜けるようなライブをやっていたんですが、ジョンから「アメリカではラッパーのライブでもバンドがいることが珍しくないし、アレンジをして緩急をしっかり付けるやり方が主流だよ」って言われたこともあって、ジョンが楽器でも参加してくれることになりました。しっくりきたので日本でのライブでも積極的にバンドを入れていきたいっていうのがひとつ目標になりましたね。

あと、日本だと流れを止めて疲れを感じさせたくないっていう気持ちからバラードをやらないことも多かったんですが、「アメリカでは何をメッセージとして持って帰ってもらうかを大事にする」っていうことも言われて。本当に歌が上手い人とダンスが上手い人をたくさん見ましたし、自分たちがボーカルやダンスで何を伝えるかを考えることがすごく大事だなって思いました。それでUSツアーではボーカル2人がアカペラで歌ったり、ラッパーの見せ場をしっかり作ったんですね。PSYCHIC FEVERはいろいろなことができるからこそ、一人ひとりの力をもっと伸ばして、例えば失恋の曲だったらそれをどうやって最大限にライブで伝えるかっていうことに取り組む必要があるなって。どんな曲でも最大限に表現できるアーティストにならなければいけないっていうのは今の自分の課題ですね。

―より歌詞に没入して向き合った上で表現をしたり?

小波津志:日本語詞だと意味が伝わるアレンジができるし、いろいろな試行錯誤ができるんですが、英詞もそのレベルまで持っていかないといけないですよね。そこが自分の課題ですし、ボーカルのフェイクとかのアレンジがライブでは印象に残るし、楽しんでもらえるポイントでもあるので、引き続きそこの面白さは追求してもっと歌の表現を進化させたいです。

―移動はツアーバスとかですか?

JIMMY:飛行機移動が多かったんですが、凄まじく長い時間電車に乗ったこともあって。

剣:すごい揺れたよね。

JIMMY:しかもすごいぎゅうぎゅうの状態で、そこですごい体制でビート作ってました(笑)。他のメンバーは寝たり、英語を覚えたり。そんなこともありつつ、本当に濃い約2週間でしたね。

―USツアー後にはSXSWもありました。

WEESA:僕たち以外にたくさんのアーティストが出ていて、現地に行ってからやっとどのステージでパフォーマンスするかを知ったんですよね。2日間パフォーマンスをさせてもらったんですが、初日のステージは7人ギリギリ立てるくらいの大きさだったので「これは踊れないね」っていう話になって、前日に歌だけでどう見せるかっていうことをみんなで考えたり、客層を考えてセットリストを変更しました。すごく勉強になったフェスでしたね。

中西:しかも1日目のステージは元々予定してなかったんですよね。急遽用意してくれたステージで、ストリートライブみたいな規模感で。僕たちのことを知ってくださっている方もいましたが、たまたま通りがかった方もいる中でのパフォーマンスだったので、日本から来たっていうことと、とにかく名前だけでもいいから覚えてほしいっていうことを何度もMCで言いましたね。

―他のアーティストのライブも見ましたか?

剣:とにかくそこら中でライブをやっていて、町中の人がSXSWのカラフルなパスを付けてましたね。空き時間にご飯屋さんに行ったら、「昨日君たちのこと見たよ」って言われて、自分たちのステッカーを配ったりしましたね。世界中のメディアの方々も来ていましたし、至る所に知っていただけるチャンスがあるなって思いました。

WEESA:自分たちのことを知らない人たちに対してどう盛り上げるかっていうことをすごく考えましたね。後ろの方の人たちまで自分たちの声を届けるように頑張ってみたりしました。

小波津:半年間タイに拠点を置いて活動させてもらった経験を活かせたところもあったと思いますが、踊らないパフォーマンスや英語のMCはまだまだ課題が多くありますし、英語の歌の発音ももっともっとブラッシュアップしていかないといけないなって感じてます。

―タイでの経験は今も活きてるわけですね。

小波津:そうですね。英語だとJIMMYくんとWEESAが中心に話してくれるんですが、タイでライブをする時は僕も積極的にタイ語を話したり、現地の言語を使うことの大切さはよくわかっているつもりです。この後、海外でファンミをやる機会もあるので、その国の言語を少しでも話せるようにして、できるだけ現地の皆さんに寄り添うことは今後も続けていきたいです。それが今の課題でもありますね。

R&B、Y2K、英詞──PSYCHIC FEVERが鳴らす新たなサウンド

―『PSYCHIC FILE Ⅲ』はワーナーミュージックに移籍後初の作品ですが、全編英語詞の「PROMISE」も収録されていて。どんなEPになったと思いますか?

WEESA:「PSYCHIC FILE Ⅰ」と「Ⅱ」を出してきて、「PSYCHIC FILE」シリーズは実験のファイルっていうイメージで、僕たちの挑戦が詰まったEPなんですよね。今回も新しいジャンルだったり、いろいろな挑戦ができたEPになったと思います。

中西:ワーナーミュージックさんと作った一作目でもあるので、英詞が多かったり、あとは海外の作家の方にトップライナーとして入ってもらって、これまでとは違った形でPSYCHIC FEVERを表現できたと思います。ジャンルレスのグループだっていうところも楽しんでもらえるのかなって思います。

―4曲の中でそれぞれが好きな曲や特にこだわった曲というと?

JIMMY:僕は「Reflection」ですね。90年代2000年代のR&Bを彷彿させるサウンドで、昔のジャスティン・ティンバーレイクやイン・シンクを思い出すところもあって。「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」はヒップホップヒップホップしたY2Kのバイブスの曲ですが、また新たなものを見せるっていうタイミングでこのR&Bの爽やかな感じの曲ができるのは自分としても嬉しかったです。ボーカル陣がどんな歌を聞かせてくれるのかが楽しみで、この曲のレコーディングは頭からケツまで全部スタジオにいたんです。完成した音源はちゃんと納得できるほどいい感じの疾走感と爽やかさがあってすごく好きな曲です。これまでPSYCHICの楽曲が好きだった人には「PSYCHICってやっぱりこの感じだよね」って思ってもらえるところもあると思いますし、新しく自分たちの曲を聞いてくれる人も楽しんでもらえるような、リード曲にぴったりな曲なんじゃないかなって思います。

WEESA:「EVOLVE」は特に好きな曲です。JIMMYくんがサビを歌っているのも新しくて、そこからがらっと雰囲気が変わるなって。海外の人も日本の人も一緒に歌ってもらえるようなキャッチーさがありますし、ライブで披露するのがすごく楽しみです。

小波津:僕は「PROMISE」です。タイで制作した「To The Top(Ft. DVI)」からお世話になっているタイのNINOさんというプロデューサーが作ってくれた僕たちのファンの方たち、ForEVERに向けた曲ですね。以前リリースしたファンソング「ForEVER」は日本語詞でしたが、「PROMISE」は英詞でより世界中のForEVERのみなさんをイメージして作りました。聞くと口ずさんでしまうような明るい曲調なので、ライブでみんなで歌って楽しみながら最高の思い出を作れる1曲なんじゃないかなって思います。

渡邉廉:「Gelato」です。爽やかな夏のラブソングで、イントロから海を想像させるようなメロディですし、僕たちの歌唱が落ち着いてるけど色気のある雰囲気で。振付も大人の色気のあるセクシーな振りになっていて、これまでそういったサマーソングはなかったので楽しんでもらいたいですね。

剣:「EVOLVE」は6月から始まるツアーのテーマソングなんですが、JIGGさんが「PSYCHICのライブの幕開けはこうしたい。こうあるべきだ」っていう想いの元作ってくださったので、ライブの幕開けを想像させるワクワクする楽曲になってるなって思います。ライブでは全員で口ずさんでほしいですし、パフォーマンスするのが楽しみですね。

半田龍臣:僕は「Gelato」が好きですね。すごく聴き心地がいいし、どんなシチュエーションにもハマる曲なのかなと思っていて。サマーソングでもあるんですが、夏の曲ってテンション高く盛り上がる曲の印象が強いところもあるけど、PSYCHICが表現する夏ソングはまたちょっと違うっていうことが提示できたらいいなって思ってます。ビーチとか車内とかいろいろな環境で聞いてもらえたら嬉しいですね。

中西:「PROMISE」ですね。ファンソングですが、場所とかにこだわらず聞いてほしい1曲です。前回の「ForEVER」とはまた違う今の僕たちだからこそ伝えられるメッセージが詰まっているので、英詞ではありますが、歌詞にも注目して聞いてもらいたいですね。「EVOLVE」ツアーで初めてパフォーマンスするのが楽しみです。

―全編英語詞の「PROMISE」を歌うのは大変ですか?

小波津:そうですね。英詞だと自分が思うような発音ができなかったりする難しさはありますが、今後はもっと英詞の楽曲が増えると思うので、さらに勉強していきたいですね。最近廉くんがボーカルラインを担当していることも増えたことで、新しさを更新できている気がしてるので、その点でも引き続き高みを目指していきたいです。

「EVOLVE」ツアーの展望

―6月からは日本での「EVOLVE」ツアーが始まります。

剣:「EVOLVE」というツアータイトルの通り、自分たちの進化している姿を見せたいし、進化し続けるツアーにしたいと思ってます。いろいろな曲をやってPSYCHICの振り幅が伝わるライブになると思うのでたくさんの人に見てもらいたいですね。

―PSYCHICは結成時からグローバルな視野に立って活動し続けてきたわけですが、USツアーもやって、ワーナーミュージックに移籍して、一歩一歩着実に進んでいけている実感はありますか?

中西:そうですね。USツアーは来年できたらいいなって思っていたんですが、一年早くできたのは僕たちにとって大きなターニングポイントだと思います。ここからどう規模を大きくしていけるかっていうのが今の最大の課題だと思ってますね。

―剣さんがf5veの「Magic Clock」のMVに出演したり、SNSでコラボしたり、ああいった仕掛けによって認知度が広がっているところもありますよね。

剣:そうですね。f5veは同じ事務所のグループですし、世界に挑戦しているグループでもあるので、相乗効果が起きればいいなって思ってます。いろいろな国の方が動画にコメントしてくれていて、僕もコメントを返してコミュニケーションを取ってますし、そこからPSYCHICのことを知ってくれる方もいます。「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」が広がったのもTikTokが大きかったので、SNSをうまく活用して楽しみたいと思ってます。

Photo by Mitsuru Nishimura

―最後に、それぞれ最近ハマっているアーティストはいますか?

JIMMY:コーチェラの配信で見たレディー・ガガのパフォーマンスは最近一番喰らいました。セットもそうですし、世界的に有名な曲の多さ、ブレスコントロールの強さ、全部に感動して、めっちゃ踊って歌いながら友達と見てました。最近のライブだと珍しいくらいに作り込まれたライブで、世界で活躍するってこういうことなんだろうなっていうヒントがたくさん隠れているようなライブだと思いました。

WEESA:コーチェラ関連だとチャーリー・XCXが熱いですね。コーチェラのライブもすごくかっこよくて、その流れでBoiler Roomの映像も見て「DJのチャーリーも熱いな」って思いました。あと、ティモシー・シャラメがボブ・ディランを演じた映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』を見て、小さい頃から聞いてたボブ・ディランのかっこよさを改めて感じました。

渡邉:僕はKeshiです。最近ボーカルパートを歌う機会が増えたことで、ボーカリストの意義と向き合うことが多いんですが、Keshiの歌声やユニークな歌い方がすごく好きでどハマり中です。

小波津:LAでボーカルレッスンを受けさせてもらったんですが、あのレッスンを受けないのと受けるのでは全然違ってボーカル面での気付きがすごく多かったんですよね。その経験もあって、最近はよりブルーノ・マーズさんが好きになっていますね。

剣:f5veの「Magic Clock」です。自分がMVに参加させてもらったのもあるんですが、世界へ挑戦するエネルギーに共感しました。あのMV出演によってアーティストとして新しい幅ができたなって思っています。

半田:母親がずっと車でかけていた影響で幼稚園くらいの頃からずっと嵐さんの曲が好きで。最近サブスクで改めていろいろな曲を聴いてみたら、やっぱりキャッチーな曲ばかりだし、サビを聞いたらすぐにあの曲だってわかる名曲がたくさんあるなと思いました。自分たちにはない部分もたくさんあって学べることが多いです。

JIMMY:だから最近、嵐さんの曲、めっちゃ歌ってたのか(笑)。

半田:そう(笑)。ずっと聴いてますね。

中西:僕はZeddです。Zeddもコーチェラに出てましたが、音楽が良いのはもちろん、照明や映像がディープですごいなって思って。ビハインドを見てみたら、リハーサルで音だけじゃなくて照明や映像についても細かくこだわっていて。自分もDJをやりますし、いろいろ参考にしたいと思ってます。

『PSYCHIC FILE Ⅲ』

PSYCHIC FEVER

ワーナーミュージック・ジャパン

5月30日配信

https://psychicfever.lnk.to/PSYCHICFILE3

6月18日CDリリース

https://psychicfever.lnk.to/PSYCHICFILEIII

収録曲

1. Reflection

2. Gelato

3. EVOLVE

4. PROMISE

PSYCHIC FEVER LIVE TOUR 2025

"EVOLVE" in JAPAN

※全公演ソールドアウト

宮城・SENDAI GIGS

6/7(土) 開場15:00 / 開演16:00

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6/12(木) 開場17:30 / 開演18:30

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6/19(木) 開場17:30 / 開演18:30

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福岡・Zepp Fukuoka

6/27(金) 開場17:30 / 開演18:30

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大阪・Zepp Osaka Bayside

6/29(日) 開場16:00 / 開演17:00

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