キウイはおいしいだけでなく、その高い栄養価が世界最大のキウイ販売会社であるゼスプリの研究によって明らかになっている。ゼスプリは長年にわたり、キウイの健康効果に関する研究開発に力を注いできた。

これまでの研究を通じて、黄色の「サンゴールドキウイ」、赤い「ルビーレッドキウイ」など、さまざまな品種が開発されてきた。なかでもルビーレッドキウイは、開発に20年以上の歳月が費やされている。

どの品種も栄養価が高いことに変わりはないが、実はそれぞれ異なる栄養特性を持っていることをご存じだろうか。

■食物繊維と酵素で“腸活”をサポートするグリーンキウイ

グリーンキウイは、なんといっても「食物繊維」が豊富。水溶性と不溶性の両方がバランスよく含まれているため、腸内で水分をしっかり保持し、腸内環境を整え、スムーズなお通じを助けてくれる。さらに、タンパク質を分解する酵素「アクチニジン」も含まれており、消化をサポートする効果も。

ゼスプリのアカデミック担当でキウイフルーツの健康効果を研究しているポール・ブラッチフォード氏は「グリーンキウイを継続的に食べると正常な排便を維持することができることについて、ヨーロッパ食品安全機関(EFSA)に承認申請を進めており、すでに肯定的な評価を得ている」と説明した。

  • 例年、サンゴールドは4月中旬から10月中旬、グリーンキウイは4月末から12月末、ルビーレッドは4月上旬から5月の間に販売されている

■ビタミンCが豊富なサンゴールドキウイ - 風邪予防にも役立つ

サンゴールドキウイは「ビタミンC」が豊富で、1個で1日に必要なビタミンCを摂取できる。人間の体内で生成できないビタミンCは、肌の健康を保ち、強力な抗酸化作用で体を守り、さらに脳の働きや神経伝達にも大切な役割を果たす。ポール氏によると、「ビタミンCは免疫力を高め、風邪や感染症の予防にも役立つ」という。

■気分を上げ、肌の健康にも! 抗酸化作用が期待されるルビーレッドキウイ

2020年にテスト販売がスタートした比較的新しい品種のルビーレッドキウイは、抗酸化物質のアントシアニンが含まれている。抗酸化物質は気分を上げたり、肌の健康を保ったり、さらには心臓や血管の健康にもよい影響を与えるとされている。

これら特定の品種で際立つ栄養素以外にも、キウイには共通して多くの栄養素が含まれている。特にカリウムが豊富で、体内の水分バランスや血圧の調整に役立つ。また、葉酸など、重要なビタミンもたくさん含まれているのが特徴だ。

■「血糖値が気になっても安心」と注目

  • 2016年に誕生したゼスプリのマスコットキャラクター「キウイブラザーズ」

さらに、キウイの大きな魅力の一つが、血糖値の上昇度合いを示す「グリセミック・インデックス(GI)」が低い点だ。甘みがあるのに血糖値の上昇がゆるやかで、エネルギーがゆっくりと体に吸収されるという特徴がある。これは、キウイに含まれる食物繊維のおかげで、糖分の吸収を穏やかにして、血糖値が急に上がるのを防いでくれるため。健康への意識が高まる今、「血糖値のコントロール」という観点からも注目されている。

■キウイはまるで「自然のマルチビタミン」

  • ニュージーランドにあるゼスプリ本社

このように、キウイには栄養素がたくさん含まれており、「自然のマルチビタミン」と呼ばれることも。ゼスプリではこのような特徴に注目して長く研究を続けている。スーパーマーケットで気軽に手に入り、食べやすいキウイは幅広い世代にとって取り入れやすい果物の一つといえる。