今や「ガチャ」は英語になった!? 世界に広がる“ガチャ”と“スマホゲーム”についてNYのZ世代がトーク
ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。

今回のテーマは「日米カルチャー討論会① 日本人より日本に詳しいアメリカ人と日本人高校生が対決 驚き!世界に広がった日本のガチャ文化」。ラボのメンバーと日本人の高校生が、音楽やゲームなどの日本文化についてディスカッションをしました。


※写真はイメージです



◆「外国人のほうが日本のポップカルチャーに詳しい」は本当?

今回の放送から、日本からの新たな視点を加えてお送りするスペシャル連続企画をお届け。その名も「日米カルチャー討論会」。普段はニューヨーク在住のZ世代のラボメンバーが、世界のさまざまなニュースについて討論をしている番組ですが、この企画では日本人のゲストも交えてディスカッションをおこなっていきます。

まず、ラボのメンバーのノエが、日米の文化について次のような面白い仮説を立てて議論が進んでいきました。

ノエ:日本のポップカルチャー、特にオタク文化に関しては、それに入れ込んでいる外国人のほうが日本人よりも詳しいよね。逆に日本人でも、外国の文化にハマる人がいるでしょう? それと同じだと思うんだ。

メアリー:それ、すごくわかる。私はネットで見つけた日本のおもしろネタを、日本生まれの夫のヒカルに教えてあげているよ。「知ってた? 日本人はこうなんだよ」って。そうすると彼は「へぇー、そんなの知らなかった」って言うんだ。今、日本のさまざまな場所についてたくさん調べていて、例えば、日本創世神話の重要な文書、えーと……なんだっけ?

ヒカル:「古事記」でしょ?

メアリー:そう。それが日本のとある神社にあるらしいんだ。しかも、日本という国が誕生したと言われる場所の近くなんだって。

ヒカル:(普段は英語で話しているものの、ここでは思わず日本語で)古事記が日本のどの寺に保管されているかなんて普通は知らないよ、みんな。

隣にいたメアリーの夫のヒカルが、思わず日本語で叫びましたが、古事記が保管されている場所について知っている日本人がどれだけいるのでしょうか。ちなみに古事記の原本は存在せず、写本は普段は名古屋市博物館に保存されており、同じ市内のお寺で公開されることもあるそうです。

自分も知らない自分の国のことを外国人のほうがよく知っている……というのは、“あるある”なのかもしれません。ちなみに昨今、日本旅行をするアメリカ人が増えていますが、シェリーは「『あまり知られていない温泉に行きたいんだけど、どこに行けばいい?』とか『どのスキー場がおすすめ?』とか、日本人なら誰でも知っていると思って聞いてくるので、正直困っています」とのコメントも。


(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab



◆アメリカでも“ガチャゲーム”が人気!?

「自分も知らない自分の国のことを、その国のカルチャーに入れ込んでいる外国人のほうがよく知っている」という仮説に基づいて、この後は音楽の話になりました。

ここで日本代表として、高校生の影林憲人くんが登場。1年間のカナダ留学の経験がある憲人くんに、普段どんな音楽を聴いているのか聴いてみました。

憲人:影林憲人です。高校3年生です。正直、僕はJ-POPみたいな日本語の歌よりも、英語の音楽を聴くのが好きなんだ。

ノエ:僕が言った通り、やはり外国文化のほうに興味があるんだね。

ミクア:憲人くんがアメリカの音楽を聴いているのはわかったけど、友達や周りの人たちはどう? 彼らもアメリカの音楽をたくさん聴いているの?

憲人:僕はマイノリティというか、僕と同じように留学経験がある友達は、アメリカの音楽を少し聴くって感じかな。一般的に日本人はJ-POPを聴くかな。

他の日本人の友達は日本の曲を好んで聴いていると話す憲人くん。逆にアメリカ人で、日本のポップカルチャーが好きでとても詳しいのがメアリーです。彼女が最近ハマっている日本の音楽を教えてくれました。

メアリー:すごく恥ずかしいけど、私はアイドルゲームにハマっているんだよね。「学園アイドルマスター」の曲をヘビロテしていて、よく聴いているんだけど、すごく好き。

シェリー:えっ、憲人くん、知ってる?

憲人:いや、知らないです。

メアリー:「学園アイドルマスター」は、もともとガチャゲーム(スマホゲーム)で、ゲームをプレイしながら、それぞれのキャラがどんな人物なのかを知ることができる作品なの。

ゲームのおかげで、キャラも彼らの曲もすごく好きになっちゃって。私はある意味、典型的なオタクだから。ちなみにこのゲームアプリは日本(のAppストア)に行かないと、アメリカではゲットできないそうなんだけど、近々私が大好きなゲームがアメリカでも発売されるみたい。

ノエ:アメリカのAppストアにも、すでにけっこう日本のガチャゲームがあるよね。僕はやったことないけど、大学の友達はワンピースのガチャゲームで遊んでいたよ。ガチャゲームに入れ込むというよりは、ワンピースが好きだからやっていたんだと思うけど。

日本のポップカルチャーが好きで、自称オタクのメアリーは、日本のストアでしか入手できないスマホゲーム「学園アイドルマスター」に入れ込んでいるといいます。日本の高校生も知らなかったゲームにハマるとは、まさに「外国文化に詳しい人は徹底的に詳しい」という典型でしょう。

ちなみに、キャラクターやアイテムを“くじ引き(ガチャ)”で入手するゲームは英語で「Gacha game(ガチャゲーム)」や「Gacha(ガチャ)」と呼ばれています。日本で生まれたものですが、今や世界に広がりつつあります。アメリカにも日本のスマホゲームにおけるガチャを真似た機能を持つゲームは多くあり、かなりの人気を得ています。

なかでも世界で280万人がダウンロードした中国発の「原神」は、ガチャ機能を取り入れたゲームとしてアメリカでも大ヒット。しかもこの原神の毎月の課金の売上額は30億円以上とのこと。まさに日本のガチャ文化が、世界にも広がっているのがわかります。

ただ、日本のガチャは「推しのキャラをゲットする」、つまり推し活の一環として捉えられているのに比べ、アメリカのガチャゲームはあくまで、「強いキャラを手に入れてゲームに勝つための手段」のことが多いそう。また、アメリカではガチャの高いギャンブル性が批判されることが多く、日本から持ち込まれるゲームに関しては、ガチャの確率を表示するなどの対策を取ることも多いようです。

シェリーは「次回以降も日本文化にやたら詳しいメンバーと、そうでもないメンバーが、日本の高校生代表と一緒に、J-POPを掘り下げていきます」と語り、話題を締めくくりました。

<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/