名古屋鉄道は26日、名鉄都市開発、日本生命保険相互会社、近畿日本鉄道、近鉄不動産と共同で検討を進めてきた「名古屋駅地区再開発計画」の事業化決定と、あわせて実施する「名鉄名古屋駅再整備計画」の概要を発表した。
「名古屋駅地区再開発計画」は、リニア中央新幹線開業と、これを契機に名古屋市などが進めるスーパーターミナル化に伴う再開発計画。行政が主体となって進めるリニア関連プロジェクトとの整合を図りつつ、社会的要請にも対応した空港アクセス利便向上に資する名鉄名古屋駅の拡張(4線化)を含めた地域交通拠点を形成し、名駅南地区・ささしまライブ・栄をはじめとする都心部ににぎわいを広げる共同開発だという。
「名鉄名古屋駅再整備計画」は、リニア中央新幹線開業およびスーパーターミナル化にともない、名鉄名古屋駅が抱える多くの課題に取り組む計画。現在の名鉄名古屋駅は施設の老朽化が進んでいることに加え、ホームとコンコースが狭隘であること、段差が多い構造であること、改札口が多数分散していること、同一ホームに複数方面の列車が発着するため利用者にとってわかりにくいことなどが問題として挙がっている。
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名駅南方面への回遊性向上に寄与する3層の南北歩行者ネットワークと空中回廊、道路上空を生かしたゲート性のあるシンボリックなデザイン(デザインアーキテクト : 株式会社日建設計・SKIDMORE,OWINGS&MERRILL LLP)
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まちに開かれた名駅通沿いのテラス空間と建物内外の人々のアクティビティが感じられる駅前広場側ファサード(デザインアーキテクト : 株式会社日建設計・SKIDMORE,OWINGS&MERRILL LLP)
再整備により、名鉄名古屋駅の4線化をはじめ、鉄道ネットワークの機能を強化。公共交通分担率の向上をめざすとともに、中部国際空港アクセスを担う唯一の鉄道事業者として、「空港アクセス強化」とリニア開業効果を広域的に波及させる「地域交通拠点の形成」など、社会的要請にも対応するとのこと。
計画では、案内設備・駅務機器・内装等に最新技術を取り入れ、国際レベルのターミナル駅としての機能・装いを備えた上での再整備とすることで、名鉄最大のターミナル駅にふさわしいデザイン性に優れた先進的な駅をめざすという。
鉄道運行を継続しながら工事を行うため、段階的に整備を行う。1期リニューアルで、老朽化した鉄道施設の更新に加え、昇降施設の増設等による段差の改善、案内設備等の刷新による空港利用者らの利便性向上、ホーム・コンコースの拡張による大規模災害発生時の対応力向上、ゆとりをもった駅空間の整備など図る。
2期リニューアルで、4線化をはじめとして、空港アクセスのわかりやすさと利便性向上に資する「空港アクセスホーム」の設置、ホームドアの設置、複数の旅客動線のバリアフリー化、ホーム・コンコースを1期リニューアル時よりさらに拡張することで、さらにゆとりをもった駅空間の整備などを図る。工事着手は2026年度、1期リニューアルの本工事竣工は2033年度、2期リニューアルの本工事竣工は2040年代前半を予定している。