TGR WRCチャレンジプログラム4期生の尾形莉欧が、人生初ラリーのフィンランドで3位に!

フィンランドラリー選手権の第4戦「SM Red Devil Länsirannikon Ralli 2025」が、フィンランド最古の街でかつての首都だったトゥルクを中心に開催された。

このラリーにはトヨタの若手育成プログラムの第4期生である、尾形莉欧と柳杭田貫太がドライバーとして初参戦。第3戦でクラス優勝を飾ったコ・ドライバーの前川富哉は今回で3戦目となる。

3人が参戦するSM3クラスはラリー4車両で競われ、3人はルノー・クリオ ラリー4での参戦。現在トヨタにはラリー4車両がないために、クリオでの参戦となる。

尾形莉欧はeモータースポーツ出身の24歳。大学生時代に自動車部での競技経験はあるものの、ラリーへの参戦は今回が初めてという異色の経歴の持ち主。コンビを組むMikael Korhonn選手はフィンランド選手権はもちろん、WRCやERCなどで多くの経験を積んできたコ・ドライバーだ。

金曜夜のSSは2本で、フィンランドでは珍しいターマックとなる。SS1をクラス6番手、SS2では4番手で、レグ1をクラス6位で終えた尾形・Mikael 組。レグ2の1本目SS3でクラス4位に浮上すると、人生初のラリーとは到底思えない走りを見せ、最終のSS7でクラス3位となり、初ラリーで見事にポディウムフィニッシュを飾った。

●尾形・Mikael 組

「フィンランドに来てから、走ることはもちろんペースノート作りに関しても多くのテストができています。初ラリーで、ノートもうまくあっていたんですけど、最終ステージは他のステージと少し性格が違うこともあってか、自分たちが作ったノートにズレが生じてしまいました。これからその原因を探って、今後につなげていきたいです」と語ってくれた。

ドリフトをバックボーンに持つ柳杭田貫太は2024年から全日本ラリーに参戦を開始したドライバーだ。コ・ドライバーのVille Mannisenmäki 選手はフィンランドチャンピオンのTeemu Asunmaa選手のコンビでWRCなどにも参戦していた選手。

柳杭田選手にとっては初の海外参戦となったこのラリー、外から見ている限りでは走りに若干の迷いが感じられたが、徐々に順位をあげクラス4位でフィニッシュした。

●柳杭田 貫太選手

フィンランドのベテランドライバー、ヤルコ・ニッカラと組む前川富哉は2012年からラリーに参戦。地区戦や全日本ラリーで経験を積んだのち、今年からWRCチャレンジプログラムに参加している。

海外初参戦となった第2戦はマシントラブルでリタイアするも、続く第3戦では早くも優勝した。その勢いのまま第4戦でも見事優勝。コンビを組むヤルコ・ニッカラはこれまでフィンランド語のペースノートを使用していたが、前川とのコンビでは英語のペースノートに変更したとのこと。

「エンジニアやスタッフとのコミュニケーションが密なことが日本との大きな違い。仕事量は増えたけど充実した毎日を過ごしてます」と語ってくれた。

●前川 富哉選手

前川以外はラリー経験が少ない2人ではあるが、手厚いサポートとラリーが国技とも言われるフィンランドの環境を生かして着実に実力をつけていることが伺えた。彼らの先輩たちも着実にステップアップして世界を舞台に活躍を見せている。そんな彼らに続いて躍進することを願いたい。

●ルノー・クリオ ラリー4

〈文と写真=山本佳吾〉