
メジャーリーグ 最新情報
今季も例年通り、リーグトップレベルのパフォーマンスを見せているロサンゼルス・ドジャース打線。5月16日現在はテオスカー・ヘルナンデス、トミー・エドマンらが故障離脱をしているが、それでもなお打線の破壊力は健在だ。そこで今回はドジャース打線の状態、優勝へ向けてキーマンとなる存在を取り上げたい。(文:Eli)
今シーズンのメジャーリーグは
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ドジャース打線の状態
5/10時点でのドジャース打線の主なスタッツとMLB内順位()は以下のようになる。
得点数 220(2)
打率 .262(1)
出塁率 .338(3)
長打率 .466(2)
wRC+ 125(2)
HR 62(2)
BB% 9.7 (6)
K% 22.4 (17)
東京シリーズの時点ではムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン(一時故障者リスト入り)が抜けるなど心配されたが、アメリカに戻ってからは順調に軌道に乗せていき、三振率以外のスタッツでリーグトップクラスを維持している。
先頭を走るのがフリーマン、大谷翔平のMVP2人だ。今年36歳を迎えるフリーマンだが、衰えるどころか去年より輝きを増しており、アーロン・ジャッジに次ぐ打率.366、wRC+210を記録している。ラッキーと言うわけではなく、しっかりヒット性、長打性の当たりを放っているところも好材料だ。
大谷はシーズン序盤に打球角度をつけられなくなってしまい、ホームラン生産がストップしたが、5月に入ると打球角度も上昇していき”いつもの”大谷に戻った。
4月のOPSは.917と大谷比では若干落ち気味だったが、5月は94打席でOPS1.260と復調し、5/15までに6本のホームランを放つなど量産体制に入った。
もう一人のMVPであるベッツだが、東京シリーズ前に感染した胃腸炎の影響で体重が減少、その影響でバットスピードが悪化したが、これを取り戻そうとするうえでフォームを崩し、4月は低調に終わった。
現在では調子を取り戻しているようで、OPSを7割台にひとまず乗せている。今後の活躍に期待だ。
“MVPトリオ以外”の成績は…?
中位打線では2人の選手が飛躍を見せている。まずは昨季トレードで獲得し5年の延長契約を結んだエドマンだ。ここまで8HR、OPS.818と結果を残している。米分析ツール『Statcast』の打球指標もこれを裏付けており、単なる運ではなさそうだ。
2人目はメジャー2年目を迎えたアンディ・パヘスだ。4月初旬~中旬頃は大谷の前の9番打者という役割に囚われ四球を選ぼうとしていたが、これにより本来の打撃を発揮できずにいた。
そこで監督のロバーツ、編成本部長のフリードマン、球団特別アドバイザーのラウル・イバニェスとのミーティングでパヘスの持つ天性の野球能力を発揮する方向を確認。
すると打撃が覚醒し4月の週間MVPにも選出された。現在では少し落ち着いたが、それでも4,5番を張れる程度の信頼は築いたようだ。
この2人に加えウィル・スミス、テオスカーも例年と同じかそれ以上の活躍を見せており、1番~7番はある程度安定した攻撃を見せている。
問題となっているのが下位打線だ。特にマックス・マンシー、マイケル・コンフォートのベテラン2人の不振が深刻だ。マンシーはシーズンを最悪な形でスタートした。
元々長打力と選球眼に定評のあったマンシーだが、今季はどちらも急低下。選球眼の方は乱視を矯正するメガネの着用により改善し、以降は驚異的なスピードで四球を稼いでいるが、パワーは未だ取り戻せていない。マンシーはオフにもっとゴロを打つようなアプローチを転換したようだが、それが逆効果になった形だ。
より酷いのが下位打線強化の目的で獲得したコンフォートだ。100打席以上立ったドジャース野手の中では最低のwRC+57を記録。打球指標でも昨年比で大きくマイナスが起こっており、純粋に不振に陥っているといえる。
元々守備に難があるDHタイプであり、打撃で貢献する必要がある。ドジャース打撃コーチのロバート・ヴァン・スコヨックと調整に取り組んでおり、5月に入り打球速度に若干の改善がみられるが、フィールド上での結果は伴っていない。
ドジャースが迎える“重要な課題”は…
長期的視点に立つとドジャースは過渡期を迎えている。野手のコアに衰えは見えないが、ベンチにはクリス・テイラー、オースティン・バーンズ、ミゲル・ロハスと限界を迎えている選手がいる。これに前述の不振に陥ったコンフォートを加えた3人は早ければシーズン中にも処遇を考えるべき選手だ。
ポジション的にはUTL、キャッチャー、両翼外野、内野と言うことになる。入れ替えるのはトレード補強かマイナー選手となるが、今回はドジャースのファームシステムに注目したい。
真っ先に浮かぶのは米公式サイト『mlb.com』ドジャース傘下1位C/OF/1Bドルトン・ラッシングと同傘下4位のSSアレックス・フリーランドだ。このうちバーンズをラッシングと取り換える措置は5/15に行われ、バーンズがDFAとなった。
ラッシングは打撃型のキャッチャーで、マイナー3Aで既に70試合近く出場。今季は29試合122打席に立ち、打率.316、wRC+149と格の違いを見せつけている。K%23.0と若干高めだが、空振りが特段多いわけでもなくBB%16.4と四球も選べているため選球眼に問題はなさそうだ。
本職はキャッチャーだがメジャーでの出場機会を確保するためLF/1Bに挑戦しており、コンフォート、バーンズの入れ替え要員となる。
フリーランドは両打ちのSSで、ラッシングと同様に3Aで70試合近く出場。今季は37試合175打席に立ち、打率.276、wRC+108と若干適応に苦戦している。
三振と空振りが若干多く、メジャーレベルで平均的な成績を残すにはもう少し長打が欲しい。一方で守備の評価が高く、米分析サイト『Fangraphs』ではドジャース球団内トップと評価されている。ラッシング同様に出場機会を確保するには本職以外の3B/2Bでの起用も考慮に入れる必要がありそうだ。
この2人の他にも守備型キャッチャーのハンター・フェドゥーシャがwRC+119、プレミア12アメリカ代表で活躍したライアン・ウォードがwRC+141とすさまじい打撃を見せており、トッププロスペクトではないマイナー選手にも注目したい。
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【了】