『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』ニック・メイスンが語る伝説的ライブ映画の真実

1972年に公開された『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』が4Kデジタルリマスターで蘇る。イタリア・ポンペイ遺跡の”世界遺産”古代ローマ「円形闘技場」で行われた無観客ライヴの映像に加え、『狂気』レコーディング時の貴重な舞台裏も収録。日本では4月24日〜4月27日に期間限定上映されたあと(IMAXやDolby Atmosで楽しむことのできる劇場も!)、5月2日に7インチ紙ジャケ2CD+Blu-ray仕様のアルバム版もリリースされる。バンドのドラマー、ニック・メイスンが伝説のライブ映画について語った最新インタビュー。

1969年夏。何十万という人々がニューヨークのぬかるんだ農地に集結し、ピンク・フロイドがギグを共にしたことのあるアーティストたちの音楽に浸った。ジミ・ヘンドリックス。ザ・フー。そしてテン・イヤーズ・アフターなど。ピンク・フロイドは呼ばれていなかった。「ウッドストックというチャンスを逃してしまったような感覚は、私たちにはなかった。あの時点ではまだビッグになっていなかったからね」ピンク・フロイドのドラマー、ニック・メイスンはそう語る。「私たちはニューヨークのクラブ、ザ・シーン(The Scene)で、150人くらいのオーディエンスを前にプレイしていた。それに、そうだね、自分たちがウッドストックでやれるなんて考えたこともなかった気がするよ」。

その時点で、カルテットはシド・バレットのいない生活に適応しようとしていた。フロントマンの彼が作った曲のおかげで彼らはイングランドきっての傑出したサイケデリック・バンドとしての地位を得たが、その常軌を逸した振る舞いにより、ピンク・フロイドは彼を解雇することにしたのだった。1968年の傑作『神秘』をリリースした後の彼らは断片的でコンセプト色の強いアルバム(映画『モア』のサウンドトラック、『ウマグマ』、『原子心母』)を精力的に発表し、最終的には1971年、ウッドストックの2年後にリリースされた『おせっかい』に始まる、彼らの70年代における名作たちを定義づけるサウンドに落ち着いた。

白昼夢のような威厳漂う「エコーズ」や推進力のある「吹けよ風、呼べよ嵐」は、彼らが『狂気』以降のアルバムで行ったことの前景となった。メイスンはかねてからウッドストックの映像に感銘を受けており、多数の人々がいる様子を「恐ろしいほど素晴らしい」とまで語っていた。

しかし1971年、ピンク・フロイドは自分たちのカルト的名作『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』で自ら主役となり、うだるように暑いイタリアの太陽の下、ポンペイで出土された古代ローマ帝国の円形劇場の廃墟で、何十万人という亡霊を観客に3曲を演奏した。彼らの幻想感あふれる「エコーズ」「神秘」「吹けよ風、呼べよ嵐」の演奏を個人的に目撃したのは、バンドのローディとエイドリアン・メイベン監督率いる撮影クルーのみである。オーディエンスと交流する彼らの姿の代わりに、この映画では彼らが取り巻く環境に反応している姿を見せている。「あのコンセプトに私たちがはまったのが面白いね」とメイスンは言う。「つまり、オーディエンスと引き換えに優れた会場をとったということだ」。

(C) 2025 Pink Floyd Music Ltd.Under Exclusive License to Sony Music Entertainment. All rights reserved.

メイスンは最後にこの映画を観た1、2年前、このバンドがパフォーマンスに込めた努力を高く評価することができたが、撮影があまりに速く進んだため、制作したことをほとんど憶えていなかったことが理由のひとつだったと言う。映画にはパリのテレビ・スタジオで撮影したひとにぎりの曲のパフォーマンス映像も含まれているが、うちブルース・ナンバー「マドモアゼル・ノブス」は犬がピンク・フロイドのリード・シンガーとしてフィーチャーされている。また、『狂気』のレコーディング中にアビー・ロード・スタジオで撮影されたものもある。さらには紀元79年に噴火し街を埋没させたヴェスヴィオ山の火山性溶岩の周りをピンク・フロイドのメンバーがハイキングするシーンもふんだんに織り込まれている。

しかし1972年に公開されたこの映画のハイライトは、やはり円形闘技場の中でロジャーがドラを鳴らしたり、ギターを抱えたデヴィッド・ギルモアがぬかるみの中でしゃがんでいたり、リック・ライトがグランド・ピアノを弾いたりしている姿である。それらすべての映像において、メイスンはドラム・キットと共に中央に鎮座している。「6日間の間で、私たちは(ポンペイで演奏することへの)興味が曖昧から熱狂的へと変わっていった気がする。撮影クルーと関係を築くことができたと思うし、それにも助けられた」とメイスンは言う。「壁のてっぺんにロジャーがドラと共に立っている素晴らしい図が好きなんだ」。

旧バージョンと最新レストア・バージョンの比較映像

この映画はIMAXのスクリーンで映えるようにオリジナルの35mmフィルムから修復、4Kのリマスタリングを施され、新しいタイトル『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ(Pink Floyd At Pompeii – MCMLXXII)』を冠し、今年4月に映画館で再上映される。また、スティーヴン・ウィルソンがリミックスを手がけたドルビー・アトモスのサウンドもフィーチャーされているが、この音源は単体のアルバムとしてもリリースされる。

ローリングストーン誌との深く掘り下げたインタビューの中で、81歳のメイスンは自身とギルモアの両方が近年にそれぞれソロ・ショーを行ったポンペイでの経験を振り返り、ピンク・フロイドのレガシーを今どう見ているかについても語っている。

ポンペイでの撮影秘話

─デヴィッド・ギルモアが9年前にポンペイで公演したときは、円形闘技場の中で美術展が行われ、このコンサート・フィルムを「ロック界で最も奇抜なアイデア」と形容していました。誰もいない古代ローマの円形劇場で演奏するというのは、当時のあなたにとって奇妙なことに感じられましたか。

ニック:極めて早くはまったと思う。とても変なアイデアだけどね。かなり急に決まった話だったんじゃないかという気がする。と言うのも、イギリス国内でいくつかショーをキャンセルする羽目になったからね。その埋め合わせを半年後にやらなければならなかったけれど、その頃には『狂気』が出ていたから、500ポンドで私たちをブッキングしたところその倍を見込めるようになって、大学側がとても喜んでいたよ。

─オーディエンスのいない状態で演奏するのはいかがでしたか。

ニック:初めはやや奇妙な感じがしたけど、のめり込んでいった。ステージ上と同じようにお互いのためにプレイしていた。自分の雰囲気作りを自分でやっていたんだ。

ニック・メイスン (C) 2025 Pink Floyd Music Ltd.Under Exclusive License to Sony Music Entertainment. All rights reserved.

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─当時のポンペイについて憶えていることは?

ニック:そんなに長く滞在したわけじゃないからね。私は(2023年に)また行ったけど、ほとんど何も思い出せなかった。街がちょっと変わっていたな。今の方が目覚ましい。馬鹿げて聞こえるとは思うけど、私たちはあの街があって当たり前だと思っていたんだと思う。ある意味、私はピンク・フロイドの他ほぼすべてのプロジェクトほどポンペイや映画のことを憶えていないんだ。

ただ、埃があったのは憶えている。少し砂が混じっていて熱かった。それが映像に雰囲気を与えたんだ。オーディエンスのいる状態の代わりになって、とても効果的だった。確か、部分的に切ったりやり直したりはほとんどなかったと思う。ほとんど生のギグみたいだった。

─「ユージン、斧に気をつけろ」の間、あなたは遠くを見つめているような感じに見えました。何に耳を傾けていたのでしょうか。

ニック:ロジャーだ。リズム・セクションの傾向とはまさにそれだね。いつもドラムスとベースありきなんだ。ある友人にこう言われたことがあるよ。「バンドというものは基本的に、ドラムスがあって、ベースがあって、それからひとからげの目玉商品があるってことだ」とね(笑)。

─「吹けよ風、呼べよ嵐」では、ドラムを叩くあなたが映像の大半にフィーチャーされています。

ニック:あの曲に関しては制作陣がテープを何巻か紛失してしまったと聞いたよ。唯一残っていたテイクが、私に焦点を当てたカメラだったらしい。それで私がほぼ1曲分ただ乗りできたということだ。でも本当のことじゃないかもしれない。もしかしたら、単に私がとても素晴らしかったとエイドリアンが思ってくれただけのことかもしれない。

『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』より「吹けよ風、呼べよ嵐」(One Of These Days)

─パリ撮影のシーンで、口ひげを生やして虹色の蝶が描かれたシャツを着ているご自身の姿を見てどう思われますか。

ニック:おお、あれはちょっとこっ恥ずかしいね。まあ少なくともTシャツは着たままだった訳だが(笑)。よくある話だよ。独特のルックスをしていたのが、歳を取ったらツアー・アカウンタント(コンサート・ツアーの財務担当者)のように見え始めてくるっていうね。

─あなたがそこで演奏したうち「エコーズ」と「吹けよ風、呼べよ嵐」の2曲は、レコーディングを終えたばかりの『おせっかい』からの曲ということで、当時のフロイドにとっては新しい曲でした。当時バンドのスピリットはどのような感じでしたか。

ニック:私たちには自信があった。ほとんどザ・ビートルズのおかげだが、何も指図しない方がクリエイティヴなプロセスがうまくいくということに、レコード会社が突如として気づいたんだ。『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』がレコーディングされたのは、まさに私たちが(『夜明けの口笛吹き』の録音で、EMIスタジオの)廊下の先にあるスタジオ・スリーにいた頃だった。その影響で、スタジオでやること、レコード会社に引き渡すものについて、全員の姿勢が完全に変わったんだ。

─『おせっかい』でレコーディングした「吹けよ風、呼べよ嵐」の中で、あなたはロボットのように聞こえる有名なフレーズ〈One of these days, I'm going to cut you into little pieces〉(いつの日か、おまえを細切れにしてやる)の声を担当しています。『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』の映画に出てくるのはあなたの声ですか。

ニック:録音してあったものを使ったんだろうね。もしかしたらアルバムに入っているのと同じということすらあり得る。ミキシング・デスクから出ていた声なんだ。私たちのロード・マネージャーがキューのタイミングを心得ていた。あるいはキューのゴー・サインを受けていたんだ。私は確かにライブでは言っていないよ。

─あのフレーズはあなたが書いたのですか。

ニック:ロジャーがあのフレーズを考えついたのか、私から来たものなのかは思い出せないんだ。私たちふたりの間で(著者を)分担しようと提案するかもしれない。私がクレジットを取って、ロジャーが言葉を取って。

─あの頃ロジャー・ウォーターズがドラを鳴らしたがったことについて、あなたは何が言えるでしょうか?

ニック:明らかに不健全な興味の向けどころだね。あいつはどうしてもあれを放っておけないんだ。

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「魅せるライブ」と『狂気』制作の舞台裏

─ピンク・フロイドは何故、ライブ・スペクタクルを作るという考えにあれほど投資していたのでしょう。

ニック:ステージ上の私たち4人を見せるよりももっと面白いことをやろうとごく初期から決めていたんだ。シドがいた頃だってライト・ショーをやっていたし、リキッド・ライト(oil slides)など、やや特化した舞台照明を使っていたからね。私の記憶では、私たちの誰も激しく動き回ったりなどしていない。ポンペイがその役割を、ただそこに佇んでライブの一部になるだけで担ってくれた。

─スタジオ録音とライブ録音を組み合わせた『ウマグマ』の後は、80年代になるまで、『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』がこのバンド唯一のオフィシャルなライブ記録となりました。あれはどうしてだったのでしょうか。

ニック:撮影することがよいアイデアだと、私たちが気づいていなかったからだと思う。もしかしたらそれは、映画が私たちにとって何の金にもならなかったからかもしれないが、もう少し時間をかけて『狂気』で同じことをやらなかったのは大いに恥ずべきことだね。

─映画には、バンドが『狂気』をレコーディングする様子がたくさん収められています。当時のあなたたちが単に新たなアルバムを作っているだけの様子を見せているというのはとても興味深いです。

ニック:VCS 3(「走り回って」で使用されたシンセサイザー)を私たちがどう使ったかをロジャーが説明しているシーンがあって、それがとても良かったと私は思ったよ。このマシンの仕組みや私たちがどうやって使っていたかについてのちょっとしたチュートリアルになっていてとても優れていると思う。他の何よりもね。

(C) 2025 Pink Floyd Music Ltd.Under Exclusive License to Sony Music Entertainment. All rights reserved.

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─また、映画にはあなたがフランスでレコーディングした曲もいくつか収録されていますね。中でも「マドモアゼル・ノブス」はリード・ボーカルに犬がフィーチャーされています。以前「シーマスのブルース」でも同じことをしていました。犬とはどのくらい頻繁にレコーディングしていたのでしょうか?

ニック:たぶんいつものようにエイドリアンが「なあ、何か他に撮影できるものはないかい?」と言っていたんだろう。そこに居たのが犬だったんだ。犬のことを考えるなんて妙だよね。ものすごく、本当に賢い犬でもない限り、編集したいと思っていることを犬に説明なんてほとんどできやしないんだから。

─あなたは何年か前にご自身のバンド、ソーサーフル・オブ・シークレッツで、ポンペイの大劇場で演奏されましたね。あの場に戻るのはどんな気分でしたか。

ニック:市は私たちが来たということで大騒ぎしてくれて、とても嬉しかったよ。私を名誉市民にしてくれたんだ。つまり、またそこに行ったら、どこでも好きなところに駐車できるという意味だといいんだが。

ともあれ、イタリアでやるのはいつも楽しいことだよ。オーディエンスがすごく盛り上がってくれるからね。とても楽しかったよ。この50年間、彼らは変わらず大騒ぎしてくれる訳だしね。ただ火山があるだけじゃない。Tシャツを脱いだピンク・フロイドがいるんだ。

─そんな映画『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』が映画館に戻ってきます。特にIMAX館での上映は、ソニーがピンク・フロイドのカタログを買収してから初めての大きな試みですね。他にもっとソニーにできるのではないかと希望を持っていらっしゃいますか。

ニック:いや。ただ、カタログを売ったのはいい考えだったと今も思っているよ。ソニーは実際私たちよりよく面倒を見てくれるだろう。私たちは争いに時間を費やしすぎてしまった。効果の全貌は今も見えていないけれど、現時点ではやって良かったと思っている。

─ソニーに売ったとき、自分の音楽に価値をつけるのはあなたにとってヘンな感じでしたか。

ニック:まぁ、そうだね。ものすごく巨大な価値を持つものだなんて思いもよらないものだから。ただ、AIの台頭によって音楽界は本格的に衰退してしまうのではないかと心配になっているんだ。しかもますます多くの人々が、一切の著作権料の支払いを回避する方法を編み出しているからね。特に若手のミュージシャンは、このご時世に金を得る何らかの方法を見い出すことにずっと苦戦していると思う。ヴァイナルを売って、それからCDやら8トラックやらなにやら売っていた黄金時代に自分たちがいたことを、私はとても意識しているんだ。

ピンク・フロイドのレガシーと現在の関係性

─今でもデヴィッドやロジャーとはよく話しているのでしょうか。

ニック:デヴィッドとはしばらく話していないけれど、私がバルバドスにいたときロジャーもバルバドスにいたから、最近はデヴィッドよりロジャーの方にずっとよく会っていたよ。

─ロジャーが『狂気』を再レコーディングしてボーカルを自ら担当した、2、3年前の『ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン・リダックス』についてはどう思われましたか。

ニック:とても気に入ったよ。あいつがアニバーサリーにかこつけてこのアルバムを台無しにしようとしたんじゃないかとかたくさん物議を醸していたけれど、あまりに事実とかけ離れている。意図は「この作品を違う視点から改めて眺めてみようじゃないか」だったんだ。誰ひとり「自分はこっちを買うけどあっちは買わない」なんて言わないだろう。誰もが「両方手に入れよう」と思うくらい、どちらも十分に興味深いものなんだ。

─彼が「タイム」の歌詞を今の年齢で朗読するのを聴くのは興味深いです。

ニック:まあ、そうだね。ロジャーの歌詞の一部について、それこそが一番素晴らしい点だと思う。23歳というよりも80歳が書いたかのような書かれ方をしているからね。「タイム」のような曲は、ずっと年のいった人が書いただけの話だと思われていただろう。実際かなり見事なことだよ。

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─あなたのバンド、ソーサーフル・オブ・シークレッツは次に何を?

ニック:次に何があるか、実は私たちにもわからないんだ。多分去年たくさん活動し過ぎてしまったんだろうな。全員疲れ果ててしまった。もちろんもっと色々やりたいけれど、それにふさわしいものを見つけられるか、それだけなんだ。

今でもプレイするのは大好きだ。ソーサーズの何が素晴らしかったかって、ひとえにまたドラム・キットの奥に座ることができたということさ。ゲストとしてカウベルを叩くんじゃなくて、ちゃんとしたプレイをするためにね。

─2、3年前、ピンク・フロイドの最後のシングル「ヘイ、ヘイ、ライズ・アップ」をレコーディングしたのはどんなお気持ちでしたか。ウクライナ支援のチャリティにお金を寄付するためにリリースされたものでしたね。

ニック:なかなかいいことができたよ。デヴィッドが導いてくれたおかげでね。あいつは親戚にウクライナ人がいるし、参加できてよかった。ある日の午後に作業をしたんだ。そんなに難しくなかったし、いいことをした。それに、アカペラのボーカルを上げて、バンドの音をその下に置くという意味で、とてもうまくやることができたんだ。

─今はピンク・フロイドのメンバーだったことを恋しく思われますか。

ニック:そうでもないね。奇妙な話だけど、このインタビューをやっているというだけでも、まだメンバーだということを意味するからね。今もあのバンドは存在するんだ。ひょっとしたらちょっと亡霊のような感じでね。「ああ、またソルジャー・フィールド(シカゴの球技場)に行きたいな」とか何とか、今も思っている訳じゃない。私たちがやってきたことはもちろん誇りに思っているし、今こうやってその歴史に向き合うことが結構気に入っているんだ。

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─ピンク・フロイドのレガシーには満足していますか。

ニック:「満足しているか」(satisfied)が何を意味しているのかはあまりわからないな。もっと色々やることができただろうけれど、もしもっとやっていれば、これほどいいものにはなっていなかったかもしれない。さっきも言ったように、『狂気』ツアーを撮影しなかったことは後悔しているけどね。

もしすべてを一からプレイし直すことができるのであれば、おそらくもっと時間をかけるべきだったんだろうし、『狂気』をライブで演奏することにもっと時間をかけるべきだった。スタジオに戻って『炎~あなたがここにいてほしい』を作ることの心配なんかせずにね。私たちは実際、かなり長い間スタジオで楽しくない時間を過ごしてきた。その分もう少し時間をかけて曲を生みだしていったり、もっとライブをやってそれを撮影したりすればよかったのに。

─今年は「炎~あなたがここにいてほしい」の50周年ですね。ソニーはすてきな再発企画をやりますかね?

ニック:ソニーが何か見いだしてくれるだろう、それは事実上保証できるね。今の私たちは、毎年どこかの時点で何らかのアルバムの誕生日があるところまできているから、私たちはこの調子で続けていけばいいだけさ。75周年はやるだろう。私が『狂気』の100周年まで生きていられるかどうかは疑わしいけれど、何が起こるかわからないからね。

─目指すことはできますよ。

ニック:もちろんさ。

『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』

(原題:Pink Floyd at Pompeii – MCMLXXII)

2025年4月24日(木)〜4月27日(日)限定上映

監督:エイドリアン・メイベン

上映時間:約1時間25分

鑑賞料:3200円一律

(C) 2025 Pink Floyd Music Ltd.Under Exclusive License to Sony Music Entertainment. All rights reserved.

公式HP:https://www.culture-ville.jp/pinkfloyd

※劇場によりスケジュールが異なる場合があります。詳しくは上記公式HPをご覧ください。

『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ - ジャパン・エディション』

2CD+Blu-ray 7インチ紙ジャケット仕様<完全生産限定盤> 

2025年5月2日リリース

◎35mmオリジナル・フィルムからの4K映像レストア

◎スティーヴン・ウィルソン(ポーキュパイン・ツリー)による2025年最新音源リミックス

◎新たにデザインされたニュー・アートワーク、日本独自パッケージ

◎Blu-rayは日本語字幕付

◎特典ポスターを封入

※2CD/Blu-ray/DVDの各単体も同日リリース

※2LP(完全生産限定盤/輸入盤国内仕様):2025年5月21日リリース

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