LIFULLは4月3日、「2025年 LIFULL HOME'S みんなが探した!住みたい街ランキング(埼玉県版)」を発表した。調査は2024年1月1日~11月30日、LIFULL HOME'Sに掲載された賃貸物件・購入物件への問合せ数を駅別に集計した。
「借りて住みたい街」は南部エリアが人気
賃貸物件への問合せ数を集計した「借りて住みたい街ランキング」は、12路線が乗入するビッグターミナル駅「大宮」がトップに輝いた。圧倒的な交通・生活利便性で、一都三県を対象とした「2025年 LIFULL HOME'S みんなが探した!借りて住みたい街ランキング(首都圏版)」では3位にランクインしている。
TOP10は、都心の主要な駅までアクセスが良い「南部エリア」の駅が多くランクインしており、埼玉県に住みながら都内に通勤・通学する「埼玉都民」のベッドタウンとして需要が高い。
また、大宮・浦和などの主要駅がランクインした一方、東京都に隣接する「ほぼ都内駅」が多くランクインしている。埼玉県の「ほぼ都内駅」は、隣接する都内の駅よりも家賃相場が安価なことが多く、30m2換算した家賃相場を比較すると、「川口(111,877円)」の隣駅「赤羽(135,308円)」との差は23,431円、「和光市(82,662円)」の隣駅「成増(107,953円)」との差は25,291円、「八潮(80,475円)」の隣駅「六町(88,380円)」との差は7,905円など、埼玉県に1駅ずらすだけで家賃相場が安くなることがある。
また、「蕨・西川口・川口」は池袋・新宿・上野などに約30分以内、「八潮・草加」は北千住・上野・浅草などに約30分以内、「志木・和光市」は池袋・新宿・渋谷などに約40分以内など、南部エリアの駅は都心の主要駅までアクセスも良いため、ほぼ都民のように暮らせる環境と言えそうだ。
「買って住みたい街」自然豊かな郊外駅も人気
物件への問合せ数を集計した「買って住みたい街ランキング」は、借りて住みたい街に続き、「大宮」がトップとなった。一都三県を対象とした「2025年 LIFULL HOME'S みんなが探した!買って住みたい街ランキング(首都圏版)」では3位にランクインしている。
TOP10には借りて住みたい街ランキング同様、都心の主要な駅までアクセスが良い「南部エリア」の駅が多くランクインしている。しかし一方で、都心での住宅価格の高騰などから、2位「東松山」、9位「飯能」といった都心から距離はあるが、乗り換えなしで都心までアクセス可能な駅もランクインした。どちらの駅も自然豊かな環境がありつつ、有料列車の「TJライナー」や「特急ラビュー」が停車するため、池袋まで約50分でアクセス可能という共通点がある。
また、東松山市は、無料の「子育て支援アプリ」提供をはじめ、困ったときに相談できる「子育てコンシェルジュ」や「子育て支援センター」設置などの子育て支援にも力を入れている。飯能市でも「赤ちゃんスマイルクーポン」の配布や地域子育て支援拠点が市内に複数あるなど、子育て支援に力を入れている。物件購入においては、都心からある程度離れていても、予算やライフスタイルに合わせた街が選ばれる傾向にあると言える。
「浦和vs大宮」問題にも遂に終止符!?
ランキングの結果を受け、LIFULL HOME'S総研 副所長・チーフアナリストの中山登志朗氏は以下のように分析している。
今回の調査では、"借りて住みたい街"も"買って住みたい街"も「大宮」が1位に輝いた。「大宮」は「東京」「池袋」「新宿」「渋谷」などの都内各ターミナル駅へ30~35分前後でアクセスできる高い交通利便性が、人気と評価を高めていると考えられる。
一方の「浦和」は、埼玉県内の行財政の中心地で、屈指の人気住宅地でもあり、「東京」「新宿」に25分前後でアクセスできるため、こちらも交通利便性は遜色ないとされる。違いとして、新幹線の停車駅であるかどうかや、駅勢圏の大きさが挙げられる。「浦和」は過去急速に人口が増加して市街地開発が進み、「浦和」だけでは駅が不足して周辺に「東・西・南・北・中・武蔵」と6駅設置されたことで駅勢圏がそれぞれ形成され、結果的に「浦和」の駅勢圏が縮小したことで、「大宮」の生活利便性の高さや駅勢圏の大きさがより注目されるようになったものと考えられる。
借りて住みたい街の1位~5位はいずれもJR京浜東北線の駅で、埼玉県の南部エリアにほぼ集中しており、ユーザーは都内へのアクセスが良好かどうかでエリア選定していることが明らかとなった。毎年順位は前後するが、このような"埼玉都民"の生活および、交通利便性を担保しているエリアがランキング上位を維持し続ける可能性がある。ただし、このような"ほぼ都内駅"は、人気の高さに応じて今後賃料が上昇する可能性もあり、「東松山」「川越」など東京方面へのアクセスにやや時間が掛かるエリアにも賃貸ニーズが拡大する傾向が示されている。
一方、買って住みたいでは、1位の「大宮」以外で市街地に位置するのは「浦和」のみで、TOP10には比較的都心方面へのアクセスが良好なベッドタウンが並んだ。埼玉県では現在急速に移動人口が増加しており、2024年は21,736人の転入超過となり、東京都、神奈川県に次いで全国3番目に多い人口流入を記録している。「川越」「志木」「上尾」など都心方面へのアクセスが良好かつ、物件価格が比較的安価な埼玉県内のベッドタウンは、人気がより高くなる傾向があるとみられている。その意味では埼玉県10位にランクインした「八潮」など、つくばエクスプレス沿線は今後も宅地開発や生活利便施設の開業に伴って、さらに順位を上げる可能性がある。