大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で田沼意知役を好演中の宮沢氷魚。4月1日スタートのドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』(NHK総合 毎週火曜22:00~)では薬膳料理が得意な羽白司役を演じている。2015年にモデルとしてデビューしてから今年で10年。充実した日々を送っている宮沢にインタビューし、今の仕事に対する思いや羽白司役を演じて芽生えた思いなどを聞いた。

  • 宮沢氷魚

    宮沢氷魚

『しあわせは食べて寝て待て』は、一生付き合わなければならない病気(膠原病)にかかったことで、会社務めから週4日のパート生活への変更を余儀なくされ、家賃5万円の団地暮らしを始めた38歳独身・麦巻さとこが、薬膳料理と団地や職場の人間関係を通して心身を取り戻し、身近にあった自分次第の幸せに気づいていく物語。主人公のさとこを桜井ユキが演じ、隣に住む大家の美山鈴を加賀まりこ、鈴の同居人で“料理番”の羽白司を宮沢氷魚が演じる。

宮沢は、原作と台本を読んで「時の流れがすごくゆっくりしている作品」だと感じ、本作に参加したことで自分としっかり向き合うことができるようになったと語る。

「最近はせわしない日々で、毎日やらなきゃいけないことに追われていて、なかなかゆっくり自分の時間を取れてなかったなと思い、その時間を自分が欲していたんだなということに気づきました。ちょっと一息ついて、『今、自分大丈夫かな?』『心と体ちゃんと休まっているかな?』とか、自分の今の状況を考えるきっかけをくれた作品で、それに今救われているというか、この物語に関わることによって、ちゃんと自分を大事にしようという意識が芽生えたので、皆さんにもそういったことを感じていただけたらと思います」

また、「自分のキャパシティのギリギリとまでは言わないですが、けっこうフルフルに使っていて。油断すると乱れてしまうような気もしますが、頑張らなきゃというモチベーションにもつながりますし、そういうときだからこそ湧き出るパワーというか、自分を押し進めてくれているなと日々感じながら過ごしています」と語る。

『べらぼう』と『しあわせは食べて寝て待て』、さらにほかの作品も並行して撮影しているそうで、「今までで一番、ありがたいことにいろいろ重なっていると思います」と多忙な日々を送っている。

「毎日違う現場になるという楽しみもあれば、今日はどの作品と向き合うのかということを自分でちゃんと整理しないと中途半端になってしまうので、そこのコントロールが今試されているなと感じています。大変だなと思うこともありますが、すごく恵まれているなと。今こういう状況にいられているというのは、皆さんが僕と一緒に仕事をしたいと思ってくれているからこそだと思うので、ちゃんとそれに応えていきたいというのが今の僕の目標です」

2015年にモデルとしてデビューし、2017年に俳優デビューを果たした宮沢。今年で芸能生活10周年となるが、「あっという間でした」と語る。

「あまり振り返る余裕がなく、とにかく前を向いて、目の前の作品をやり遂げて、その先の作品もまた新たな気持ちで向き合っていくという、ずっと前を見てきた10年でしたが、10年という節目の年を境に、ちゃんと振り返って自分の現在地みたいなものを確かめたいなと思えて、それもたぶん、この作品に出会えたからそう思えるような気がしています。自分の居場所や環境をちゃんと把握しないと、心が迷子になってしまうと思うので、今の自分の感情とちゃんと向き合って、現在地を確かめながら進んでいけたらと思います」