東海テレビ・フジテレビ系「土ドラ特別企画」として、スペシャルドラマ『介護スナックベルサイユ』が、22日・29日(23:40~)に2週連続で放送される。物語の舞台は、タイトルの通り「介護スナック」。一見、雰囲気のあるスナックだが、昼間はケアマネージャーや看護師として働くスタッフがそろい、点滴が“ボトルキープ”され、客の体調に合わせた料理を出すという立派な介護施設だ。
要介護の高齢客たちがこの店に足を踏み入れた途端、見違えるように元気になり、生涯に一度、一杯だけ味わえるという特製のワインを飲めば、若かりし日にやり残したことや置き忘れたものを取り戻す幻想の世界へ。そして締めには、人生を振り返って一番の思い出の料理が提供される――“介護”という現実的なワードとは相反するようなファンタジーなイベントが次々に起きるが、こうして彼らの人生の一端を垣間見ることによってどの世代にも生きる活力を与えてくれる作品になっている。
この介護スナックで、他人を信じない新入り従業員・小日向柊(尾碕真花)に向き合うママ・上杉まりえを演じるのが、宮崎美子。NHK朝ドラ『おむすび』で演じる主人公の祖母役と同様に、今作でも優しいまなざしを向ける姿が印象的だが、「人生の終わりにどうしても会いたかった人」や「人生を振り返ったときの一番の思い出の料理」というキーワードから、素敵な青春エピソードを語ってくれた――。
大ベテラン勢との共演「大変刺激を受けました」
――なかなか珍しい設定の作品だと思うのですが、最初に物語を聞いたときの感想はいかがでしたか?
これだけ高齢者が増えていることだし、現場に来たら歩行練習用のバーもあって、車椅子がちゃんと入れるようになっているのを見て、介護スナック自体はありかもしれないなと思いました。お店に来たらすぐ血圧を測ってくれて、お酒の加減を見てくれるし、コレステロール値が高かったら料理も気を配ってくれるので、素敵な介護施設ですよね。
ただですよ? 「点滴ボトルキープ」だったり、何よりあの謎めいたワインが現実を超える設定ですよね(笑)。最初の衣装合わせで、監督がまりえさんというママがどういう人なのか説明してくださったんですけど、「地球の人じゃない説」まで出てくるぐらい、不思議な世界なんです。現実なのか夢なのか分からないというところが“ドラマ”で、面白いなと思いました。
それと今回はスタッフの1人として、「介護スナック指導」という方が入ってらっしゃるんですよ。介護とスナックの両方の指導できる方なんて珍しいですよね。すごく頼りにしています。
――大ベテランのキャストが多い現場ですが、宮崎さんのキャリアでも刺激を受ける部分はありますか?
これだけいろんなシチュエーションのお芝居を間近で見られるというのは、いち演じ手として贅沢だなと思いますし、ご覧になる皆さんもそうだと思います。大変刺激を受けました。
この作品では一度リハーサルをやったんです。今どきちゃんとリハーサルの日を作ってやるのは珍しいんですよ。1日だけでしたけど、それをやって本番の現場に来ると「なるほど」ってなるし、チームワークができていてそれがすごく楽しくなってくるんです。それぞれが役目を担ってお芝居できている感じがあって、とてもいい現場だと思います。