
小田原に白髭神社(しらひげじんじゃ)というユニークな名前の神社があります。今でこそ知る人ぞ知るといった形ですが、過去の世界では源頼朝や足利尊氏など歴史的な人物も関わったとされる神社で、神社ファンのみならず、歴史好きならば一度は訪れたい場所といえるでしょう。
平安時代より続く古社

画像出典:湘南人

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白髭神社は現在の小田原東部、下中(しもなか)地区の総鎮守であり、縁起書によると877年(元慶元年、平安時代)9月9日に創建とされている大変に古い神社です。また、かつて神社に等級(旧社格)が設けられていた時代には、「郷社(ごうしゃ)」という社格に分類されており、これは比較的に高い社格でした。
古来より地元民による信仰の中心地であり、1190年(文治6~建久元年)には源頼朝より神領(神社の領地)を寄進され、その約150年後、1339年(暦応2年)には足利尊氏から御教書(公的・私的両方の性質を併せ持つ書簡のようなもの)を下賜されるなど、その存在感は際立っていました。
永い時間が経った現在は静かな環境に包まれてこそいるものの、古式のままの神事が現代まで伝わって継続されている(後述)など、かつての面影を残しているといえるでしょう。
祭神は猿田彦命、神社名由来でもある

画像出典:湘南人

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白髭というユニークな神社名は、祭神である猿田彦命(サルタヒコノミコト)に由来します。この神様の姿が、真っ白なヒゲと髪を豊かにたくわえた翁であったとされている事から、それにちなんでの命名とされています。
その名は神話に馴染みがなくても、人気のコーヒー店である「猿田彦珈琲」のブランドなどから聞き覚えのある方が多いのではないでしょうか。
※当神社と猿田彦珈琲に直接の関係はありません(ただし、三重県にある「猿田彦神社」が、コーヒー店のブランドとして公認を与えているのは事実です)。
五穀豊穣と延命長寿

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祭神の猿田彦命は、日本神話にてニニギノミコト(天皇の祖先とされる神)が高天原(天界)から降り立った際にその道案内を務めた「天孫降臨」の物語に登場します。この事から何事も良い方向へ導くご利益があるとされ、主に五穀豊穣や延命長寿、商売繁盛など願って祀られる事の多い存在です。
1月7日には神事「奉射祭」が行われる

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普段はひっそりとしており、車の往来もそれほど激しくない場所にある白髭神社ですが、毎年1月7日には、800年よりも昔(1190年・文治6~建久元年)から続く神事「奉射祭(ぶしゃさい)」が行われ、いつも以上に厳かな空気に包まれます。
奉射祭とは、馬に乗らない流鏑馬です。五穀豊穣の吉凶を占う神事であり、その流れは神前に狩衣をまとった射手2名が進み、宮司よりお払いを受けた後、境内の竹で作成した弓を使って、7本の矢を的へ放つというもの。命中した本数によって、その年の吉凶が決まります。
なお、奉射祭と書く神事は、日本全国の他の神社でも行われています。それらは読み方が「そうしゃさい」としたり「おびしゃさい」であったり、また神事の内容も部分的に異なる場合がありますが、当神社のそれは「ぶしゃさい」と読み、上記の内容を行うもので間違いありません。
祭礼

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1月1日:祈願祭(きがんさい)歳旦祭(さいたんさい)1月7日:奉射祭(ぶしゃさい)【流鏑馬】2月11日:祈年祭(きねんさい)7月15日近傍の日曜:小祭(しょうさい)【夏祭】10月10日:例大祭(れいたいさい)【大祭】11月23日:新嘗祭(にいなめさい)12月26日:大祓(おおはらへ)
まとめ
小田原・白髭神社は平安時代より続く古社です。悠久の時の流れの中、地元民から厚い信仰を受け続け、歴史的な人物にも崇敬された記録を残しており、かつては地元の宗教的な中心地でした。
現在も毎年1月7日には、無形民俗文化財に指定されている神事「奉射祭」が行われ、その存在感を放つなど、往時の面影を残しています。
神道・宗教が好きな方はもちろん、歴史に興味がある方にもおすすめできる観光スポットです。
小田原 白髭神社
開門時間:
24時間(夜間に訪れる事は宗教および防犯の観点から非推奨)
休務日:
なし
アクセス
公共交通機関:神奈川中央バス・下中駐在所前にて下車後、徒歩約3分
住所:〒256-0806 神奈川県小田原市小船669駐車場:なし問い合わせ先:0465-43-0093045-761-6387(神奈川県神社庁)
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