UCC 上島珈琲が展開するカプセル式ドリップコーヒーシステム「ドリップポッド」は2025年3月に誕生10周年を迎えた。10周年を記念し、「10thアニバーサリーカプセルセット」を発売、さらに「DRIP POD LAB」を3月21日にオープン、体験イベントも開催する。
UCCのカプセル式ドリップコーヒーシステム「ドリップポッド」
UCCジャパン 執行役員でソロフレッシュコーヒーシステム代表取締役社長の柳原優樹氏は、UCCがカプセル式コーヒーシステムを発売した経緯について以下のように話す。
「欧米ではレギュラーコーヒー消費量の5~8割をカプセル式が占めるものの、日本では1割未満という状況です。その背景には欧米ではコーヒー=エスプレッソ、アジアではコーヒー=ドリップが飲まれる傾向が挙げられます。これまでカプセル式のコーヒーメーカーはエスプレッソタイプのものが多く、日本人の味覚に合ったドリップコーヒーを出すカプセルコーヒーマシンが非常に少なかった。そこでUCCではドリップ式のカプセルコーヒーマシンを発売しました」
この10年でカプセルコーヒー市場の規模は拡大しており、年平均10%の成長を続けている。カプセル式ドリップコーヒー市場も年平均25%成長、ドリップポッドはシェア1位を獲得していることから、今後は日本だけではなくアジアの国々でも多くのチャンスがあると見込んでいるという。
UCCのカプセルコーヒーへの取り組みは2009年に一杯抽出事業部としてスタート。2015年にドリップポッド発売、2016年にソロフレッシュコーヒーシステムを立ち上げた。当初は「はやい、簡単、便利」というブランド価値を設計していたものの、「最高の1杯を体感してもらう場を創出する」ことに舵を切ったことが現在の成長への転機となった。ドリップポッドではおいしいコーヒーを飲むために必要な「農園開拓・指導/生産支援」「買付・品質検査」「焙煎・粉砕/製品化」そして「抽出」までをすべて自社開発でサポートする体制を整えた。従来のUCC製品では「焙煎・粉砕/製品化」まではカバーできていたものの、最後の味の決め手となる「抽出」を客の手に委ねている状況だったからだ。
例えばカップオンタイプのコーヒーなら、本来抽出するお湯の量は140mlで設計されているにも関わらず多くの人がマグカップに合ったサイズで抽出してしまいがち。結果、300mlで抽出されてしまい、UCCが設計した味よりもだいぶ薄くなってしまっている現状があったという。ドリップポッドでは、最後の抽出までUCCのノウハウを詰めて届けることができるようになったのだ。
ほかにも、「ドリップポットは最高の1杯だ」と体験してもらうべく、ホテルや会員制ラウンジ・コニュニティースペースなどにドリップポッドを設置、ブランド価値を体験してもらう戦略も実施した。
さらに、サブスクリプションで届くカプセルの箱数や内容を囲い込まない柔軟な設計にしたことで定期加入者も定着。これはサブスクリプションでは多い「最低●回は購入しなければならない」「解約の方法がわかりづらい」といったストレスを排除し、届くカプセルの数や内容を自由に減らしたり増やしたりできるようにしたことで、結果的に解約率が減ったということ。柳原氏は、「正直言うと、短期的にはお届けする数を減らされてしまいますからビジネスとしては損をすることもある取り組みではありますが、誠実にお客様との関係構築をしていくことが大事です」と話す。
そんなLTV(客が商品やサービスを利用しはじめてから終わるまでにどれだけ利益をもたらしたか)を重視した戦略の結果、日本人1人あたりの年間のコーヒーの飲用回数の平均が約340杯なのに対し、「ドリップポッド」ユーザーの年間平均飲用回数は約450杯と大幅に上回る結果に。現在では「ドリップポッド」はUCCの主力製品の1つにまで拡大している。今後は年間の売上100億円を目標に、さらにアジアへの展開を加速させる見込みだ。
マシン本体は、主力モデルの「UCC DRIP POD YOUBI」(2万4,200円)、スタンダードモデル「UCC ドリップポッド DP3」(1万3,200円)がある。カプセルは1箱12杯分1,088円〜。マシン付きのスターターキットやカプセルのセット、マシン付きの定期便なども用意されている。
「ブルーマウンテン」「ゲイシャ」のアニバーサリーセット、1杯あたり約180円
4月1日より発売される「10thアニバーサリーカプセルセット」(4,752円)は、伝統的な「ブルーマウンテン」と革新的な「ゲイシャ」の2種類。1杯あたり180円ほどで最高峰のコーヒーが楽しめる計算だ。
ソロフレッシュコーヒーシステム ドリップポッドブランドマネージャーの小牧美沙氏によると、ブルーマウンテンはUCC社員としても思い入れのある産地の味わいだそうで、「ローズヒールエリアという標高が高く寒暖差が激しい場所のため、甘く締まったチェリーになります。苦味・酸味・コク全てのバランスがよく完成度の高いコーヒーをお召し上がりいただけます」と力説した。ゲイシャは華やかな香りが特徴。「ジャスミンやトロピカルフルーツのような鮮やかな酸味があります」と解説した。
東京都・青山で1杯から体験できる期間限定ポップアップ
青山一丁目駅から徒歩3分の「DRIP POD LAB(ドリップポッドラボ)」(東京都港区)では、3月21日~4月10日までの平日9時から13時まで、このブルーマウンテンとゲイシャを1杯200円で、いずれもマリアージュを楽しめる1口サイズのフード付きで提供している。
ブルーマウンテンと合わせるのは意外にもミモレットチーズ。完成された味わいのブルーマウンテンにミモレットチーズが合わさると、チーズの塩味がコーヒーの甘さを底上げ。華やかな余韻とミルキーな風味が広がり、マイルドな後味が楽しめる。ゲイシャには「パットドゥフリュイ」いうゼリー菓子。合わせるとゼリー内から凝縮された果汁のみずみずしさがより際立ち、単体では味わえなかったゲイシャの新たな味わいが感じられたのが印象的だった。
日本人の味覚に合ったドリップコーヒーをカプセル式システムで手軽に、最後のひと工程までサポートしてくれるのが魅力のドリップポッド。UCCブランドのノウハウを詰め込んだ「最高の1杯」で新生活の朝を迎えてみてはいかがだろうか。