パーソルキャリアは3月13日、「2024年度 副業案件の傾向」と「2025年度 副業市場予測」を発表した。同レポートは、2024年4月1日~2025年2月28日の間に「HiPro Direct」に登録された案件および副業人材のデータをもとに算出している。

  • 2024年度「副業案件ランキング」職種別・業種別

    2024年度「副業案件ランキング」職種別・業種別

コロナ渦でリモートワークが浸透したことをきっかけに「副業」に興味・関心を持つ個人は増加。その傾向は2024年度も継続しており、「HiPro Direct」における2025年2月の総登録者数は前年同月比198%、総登録案件数は同299%と、個人・企業ともに大きく伸長した1年に。ただし、企業が募集する1つの仕事(案件)に対して副業人材の登録数は平均6.4人と、案件に対して副業を希望する個人が多い現状となっている。

企業が募集する仕事(案件)を職種別にみると、1位「営業・販路拡大」(前年3位)、2位「マーケティング/PR」(前年1位)、3位「新規事業開発/事業企画」(前年2位)という結果に。

消費者の嗜好やニーズが多様化するなか、企業は、既存の強みや製品を基盤に新たな市場や販路を開拓しつつ、より競争力を高めるため、専門知識や経験が豊富な副業人材を積極的に活用することで、革新的なアイデアや知識を取り入れ、自社のケイパビリティをより強固にする動きがみられるという。

一方、業種別では「IT・通信」(前年6位)が1位に。業界問わずデジタル化やDX化が活発になっている中で、IT技術に関するニーズが高まっていることから、該当スキルを持つ副業人材のニーズが急増している。

次いで、2位「人材サービス・アウトソーシング・コールセンター」(前年1位)、3位「建設・プラント・不動産」(前年同順位)と続き、人材不足の加速が懸念される「2025年問題」や、働き方改革関連法による「時間外労働の上限規制」の渦中にある建設業界では、建設DX推進による業務効率化および生産性の向上、ひいては長時間労働の是正と採用力の強化にもつながることを期待した副業人材活用が進んだものと考えられる。

  • 地域企業における副業のマッチングの推移

    地域企業における副業のマッチングの推移

地域企業における副業人材活用は顕著に増加しており、スタートアップ企業においても順調に伸長している。これは、人口減少・労働力不足の影響を顕著に受けている地域企業や、資金調達や人材確保・組織体制などの課題に向き合うスタートアップ各社が、課題解決の手段として副業人材の活用を選択する傾向が増しているものと考えられる。

  • 副業人材を活用する期間

    副業人材を活用する期間

また、副業人材を活用する期間については、中長期活用(数か月以上の複数回支援)が短期活用(数時間~数日程度)よりも大きく伸長。まずはフィジビリティで副業活用を開始し、課題解決の方向性や社風にフィットするかを見極めたうえで、中長期的なプロジェクトに正式に参画してもらうパターンが増えている。


2024年度は、副業案件の活用期間や、活用企業に特徴がみられた年となったが、では、2025年度以降の副業市場はどう展開するのか。

地域企業やスタートアップにおいては、人材ニーズがより高い企業を中心に、今後も副業人材の活用が進み、地域経済の活性化や新しいビジネスモデルの創出が期待され、また、個人の観点としては「自身の興味」や「やりがい」を求めて、こうした企業と「副業」を通じた出会いに期待する人材が今後も増加していくとみられる。

また、これまで外部からの人材の受け入れに積極的でなかった企業においても、経験豊富、かつ専門的なノウハウを有する副業人材の活用が広がるとみられており、「社内にはない知見や経験をもった人からアドバイスを受けるため、1時間だけ相談をしてみる。」という短期間の活用ニーズは今後ますます増えると予想。また、短期間の活用を重ねた後に、その延長でスキルやお互いのフィット感の高い人材にプロジェクトへの参画を促す中長期契約を結ぶ傾向はさらに広まるものと考えられるという。