テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、9日に放送されたNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(総合 毎週日曜20:00~ほか)の第10話「『青楼美人』の見る夢は」の視聴者分析をまとめた。

  • 中村蒼(左)と横浜流星=『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第10話より (C)NHK

    中村蒼(左)と横浜流星=『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第10話より (C)NHK

「トウザイ、トウザイご注目!」

最も注目されたのは20時40~42分で、注目度76.7%。蔦重が『青楼美人合姿鏡』を大々的にリリースするシーンだ。

「おさらばえ」瀬川(小芝風花)が大門をくぐると、鳥山検校(市原隼人)に手を引かれ吉原を去った。主役がいなくなった吉原は沈黙に包まれるが、すぐさま蔦重(横浜流星)がにぎやかに声を上げた。「トウザイ、トウザイご注目! 今日、吉原の売りたるは世にも稀なる女郎絵本!」蔦重の口上に合わせ、次郎兵衛(中村蒼)と留四郎(水沢林太郎)がかけあいながら太鼓をたたく。蔦重が懐から一冊の絵本を取り出すと、脇に並ぶ忘八も蔦重にならった。

蔦重はこの絵本には今しがた吉原を去っていった瀬川が載っていること、今回の花魁道中に参加した花魁たちがもれなく載っていること、そして、上様がこの絵本を見たということを威勢よくけん伝すると、その場にいた者たちは盛り上がり我先にとこぞって絵本を求めた。『青楼美人合姿鏡』の初動の売れ行きは上々であった。

  • 『べらぼう』第10話の毎分注視データ

蔦重の販売手法を称賛する声相次ぐ

注目された理由は、『青楼美人合姿鏡』のプロモーションのため、吉原が一体となる様子に視聴者の視線が「クギづけ」となったと考えられる。

瀬川の門出を祝う一大イベントに合わせて蔦重は入念な準備を行った。100両という借金を背負いながら、当代きっての人気絵師・北尾重政(橋本淳)と勝川春章(前野朋哉)を迎え絵本を完成させると、田沼意次(渡辺謙)を通じて第10代将軍・徳川家治(眞島秀和)へ献上し、忘八の協力も得て、大規模なセールスプロモーションを展開した。

SNSには「今でいう会場限定で卒業記念のチェキかな?これはズルい」「イベント終了後、熱の冷めないうちに物販に入るの抜け目ないな」といった、蔦重の販売手法を称賛するコメントが集まった。また、「次郎兵衛義兄さんが太鼓を叩いて仕事しているやん!」「次郎兵衛義兄さん、働いても楽しそう」と、珍しく働いている次郎兵衛の姿が話題となっている。かわいい弟のために一肌脱いだ次郎兵衛だがまた人気が上がりそうだ。

好調なスタートを切ったと思われる『青楼美人合姿鏡』だが、鶴屋喜右衛門(風間俊介)は不穏な言葉を口にする。本のクオリティと認知度は申し分なさそうなので、価格に問題があるのかもしれない。

蔦重の口上は、「東西声」といって相撲や歌舞伎、人形浄瑠璃などで使われた決まり文句。開演前や口上の前に観客の注意をひき、場を静めるために用いられた。今回のキーアイテムである『青楼美人合姿鏡』の青楼とは遊郭のこと。江戸時代では特に政府の許諾を得た吉原のことを指した。つまり吉原で働く美人を集めた画集という意味になる。全3巻に渡り、女郎のオフショットが描かれた豪華な仕様だった。

今回筆を執った北尾重政と勝川春章は、お互いの家が道を挟んだ斜め向かいにあり普段から親しくしていたそうだ。春章は江戸時代中期を代表する浮世絵師。役者の個性をとらえた写実的な似顔絵風の作画で人気を集め、肉筆美人画においても、細密かつ優美な作風が高く評価されている。「勝川派」の開祖として多くの弟子を持ち、その中にはのちの葛飾北斎となる勝川春朗もいた。それにしても蔦重の人脈は着実に広がりつつあります。今回はその人脈をフル活用しての大活躍だった。