東急、L Catterton Real Estate、東急百貨店は3月12日、東急百貨店跡地で推進する「Shibuya Upper West Project(渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」において、東急文化村が運営する「Bunkamuraザ・ミュージアム」を新施設の7階に拡大移転することを発表した。
本プロジェクトは、洗練されたライフスタイルを提案するリテール、スモールラグジュアリーホテルとして日本初進出となるホテルブランド「The House Collective(ザ・ハウス・コレクティブ)」、都市型居住を実現する賃貸レジデンスを有し、ミュージアムの移転・開業をきっかけとして、Bunkamuraとのさらなる融合を推進し、新たな大型文化複合拠点として誕生する。なお、本プロジェクトは2025年3月11日に起工式を執り行い、着工しており、2029年度に竣工予定である。
Shibuya Upper Westエリアの特徴
「Shibuya Upper Westエリア」は、渋谷駅周辺と高級住宅地・松濤の結節点である東急百貨店本店跡地から、富ヶ谷、上原、駒場などに向かって西側へと広がるエリア。なかでも松濤は、明治時代以降、文化人や要人が居を構える住宅街となり、また現在では周辺にBunkamura、松濤美術館、戸栗美術館といった文化施設もあり、文化の集積地となっている。人々の"文化的な暮らし"の歴史が脈々と受け継がれてきた街として、渋谷駅周辺とは一線を画した"もう一つの渋谷"ともいえる。
歴史あるこのエリアに位置する本プロジェクトは、日本初の大型文化複合施設として誕生以来、36年に渡り文化の「発信」「創造」「交流」「育成」を担ってきた隣接するBunkamuraとの融合を図ることで、本格的な文化・芸術、本質的な豊かさを志向するこの土地に根付いたDNAを継承し、次の時代へと引き継ぐ、新たなランドマークとなる。
環境への配慮と取り組み
本プロジェクトは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、環境とサステナビリティに配慮した国際認証などの取得を目指す。その一環として、建設現場の仮囲い壁面緑化を実施。苔シートを活用した壁面緑化施策を行っている。
苔シートは、取り付け・取り外しが容易なマグネット式で、建設工程に合わせたフレキシブルなレイアウト変更に対応する。2025年3月12日現在、約320㎡の仮囲い面積のうち、約130㎡壁面緑化を実現した。50cmごとに苔(緑)と仮囲い(白)の壁面で縞模様をつくり、各ラインの長さをなだらかにした街並みに調和するデザインで渋谷の街の景観維持を目指すと共に、苔シートの設置により建設現場の落書き防止をしている。2025年2月より、「苔に触れることができる」体験コーナー設置し、苔シートの性能や緑化活動に関する情報を発信。今後も竣工まで、仮囲いを活用した環境施策は継続的に実施される予定である。
新施設へ拡大移転するミュージアムについて
新施設の7階に移転するBunkamuraザ・ミュージアムのデザインアーキテクトは、本プロジェクト同様、オスロ、ニューヨーク、サンフランシスコなど、9つの都市にスタジオを持つ国際的なデザイン事務所「Snøhetta」がデザインを担当する。本プロジェクトとシームレスにつながる開かれた空間が特徴となっている。
複数の展示室から構成されるユニークなスペースの展示面積は約1,000㎡で、その一部の展示室は最大約6mの天井高を計画している。展示面積の拡大と最新の展示設備の導入により、幅広い分野の大型展覧会が開催可能となる。
移転後のミュージアムでは、これまでBunkamuraザ・ミュージアムで開催してきた西洋近代美術、日本美術、写真、デザイン、ファッションなどの展覧会テーマを継承しつつ、現代アートをはじめとする今注目すべきアートを新しい視点でキュレーションすることにより、来館者に心を揺さぶる体験価値を提供する。