ユニクロは「感動パンツ」の発売から10周年を記念し、3月3日に「『感動』を今一度。ユニクロ『感動パンツ』10周年及び新商品発表会」を開催。新商品、新CMの紹介に加えて、ユニクロ感動シリーズの魅力を開発パートナーである東レの担当者とともに説明した。
感動シリーズ10年の軌跡
ユニクロと東レが共同開発した素材によって誕生したユニクロ「感動パンツ」は、発売から今年で10年を迎えた。
「感動パンツ」は上質な質感でありながらも、素材に伸縮性や速乾性に優れた軽量なポリエステルを採用し、自宅で簡単に洗濯できる高機能パンツ。同素材で展開する「感動ジャケット」との組み合わせなど、あらゆるシーンで活用できることから人気を博している。
本発表会では春夏の感動パンツ/感動ジャケットの新CMがお披露目された後、ファーストリテイリンググループ上席執行役員・勝田幸弘氏が、その10年の軌跡を振り返った。
「2013年4月からユニクロのグローバルブランドアンバサダーを務めるプロゴルファーのアダム・スコット選手の意見を取り入れながら、超軽量・超速乾・超伸縮という機能を備え、"コットン見え"する商品開発が始まりました」
「その翌年に東レとの共同開発で発売されたのが、コットン見えするドライストレッチパンツです。発売後、すぐにご好評いただき、その後、ウールライクのドライストレッチパンツやウルトラストレッチジャケットを発売。2018年からはこれらの商品を"感動" シリーズという名前で統合し、オフィスカジュアルという新たな市場形成に寄与してきました」
強い需要・要望を受けて2022年には感動ジャケット・感動パンツをウィメンズでも展開。2020年にはTheory(セオリー)、2022年にはMARNI(マルニ)と感動シリーズの素材を使ったコラボ商品も発売している。
この春夏の新作では女性向けのワイドパンツなどが登場。イギリス人デザイナーでユニクロクリエイティブ・ディレクターを務めるクレア・ワイト・ケラー氏とのコレクション「UNIQLO : C」に、ダブルブレストジャケットやタックパンツなどがラインナップする。
スーツの常識を覆す、蒸し暑い夏も快適な着心地
カジュアル化するビジネスシーンに対応できて着回しがしやすい機能性とリーズナブルな価格が支持されている感動パンツと感動ジャケット。その誕生と進化の根幹とも言える素材をユニクロと共同開発した東レのグローバルSCM事業部門長・石川元一氏は、伸縮・速乾・軽量という3つの基本機能について説明した。
「上質な質感と毎日の着用シーンを支える機能性を両立する感動パンツ・感動ジャケットの特徴のひとつが伸縮性です。生地に伸縮性の異なる2つのポリマーを合わせたスパイラル状の糸を使うことで、15%の伸縮性を生み出しており、スーツではありえないような動きをしてもストレスなく着られます」(石川氏)
また、自宅の洗濯機で洗える感動ジャケット・感動パンツでは、速乾性の高いポリエステルが使われているため、感動パンツは洗濯後約5時間、感動ジャケットも8時間で乾くという。
「ポリエステルには汗を吸いやすく、汗を溜め込むことなくそのまま拡散し、洗濯後も乾きやすいという特徴があります。一般的なウールのスーツは洗濯後に乾くまで10〜12時間ほど掛かりますが、夜に洗濯しても朝には乾くというかたちで、汗などのニオイを気にする必要もありません」(石川氏)
感動パンツは約300グラム、感動ジャケットは約380グラムと非常に軽量で、持ち運びのしやすいことも大きな魅力のひとつだ。
「軽量の秘密は糸と生地の織り方の工夫にあります。ウールライクでは上品に見えるハリコシ感を維持しつつ、あえて粗目に生地を織ることで通常のウールのスーツなどに比べて約半分ほどの重さとなっており、着用していても肩が凝りにくいといった特徴もあります」(石川氏)
新社会人向け「感動着回し」のコツは?
こうした素材が持つポテンシャルは、肌離れや通気性といった蒸し暑い時期の着心地の良さと快適性にもつながっているという。
「感動シリーズのウールライク生地には細かな凹凸があり、肌との接触面が少ない点接触を実現しているため、汗ばんだ肌に生地がまとわりつきやすい夏も、サラサラの着心地を維持できます。また、粗く織られた生地が湿気・湿度を逃すので、通気性にも優れています」(石川氏)
現行のウールライクの生地は3代目となり、合繊素材に特有のテカリ感がなく、自然素材のようにマットで上質な素材の質感を表現。2022年に登場したウィメンズでは、UVカット機能を付与するなどアップデートを続けているという。
発表会では4月から新社会人となる大学生を招いた「感動着回し講座」も開催。職場のファッションならではの悩みを解消する場が設けられた。
事前に寄せられた質問には、ベテラン会社員も悩むことが多い「オフィスカジュアルとカジュアルのさじ加減」に関する相談があり、勝田氏は次のように回答していた。
「もちろん業種や会社の方針にもよるんですが、あくまでもビジネスカジュアルは、クライアントや上司といった相手ありきのカジュアルということで、軽く洋服の歴史を頭の中に入れておくといいのかなと。昔、西洋ではシャツは下着だったので、ジャケットを着て初めてファッションとして完成するんですね。特に仕事で海外へ行かれる方などは気をつけてください」
また、「印象の良い着こなし」についての質問には、「大切なのはサイズ感です。オーバーシルエットでもサイズ感を間違えると見え方が悪くなってしまうので、正しいサイズで着ていただきたいと思います。ぜひ弊社の店舗へ行ったら店員さんに相談してください」(勝田氏)と、アドバイスしていた。