『踊る大捜査線』などを輩出したフジテレビ火曜21時台のドラマ枠が復活したのは昨秋。反町隆史・杉野遥亮主演の『オクラ~迷宮入り事件捜査~』に続く今冬の第2弾も刑事ドラマの『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~』が放送されている。その『アイシー』は序盤からネット上で、ある作品との共通点が指摘されていた。
それは13年前の同じ火曜21時台に放送された『ストロベリーナイト』(FODで配信中)。主人公が美しい女性の主任刑事、壮絶な過去による心の傷、部下の男性たちを寄せ付けないオーラ……チーフ演出の佐藤祐市も含め、『アイシー』と竹内結子版『ストロベリーナイト』を重ねて見る人々がいるのは当然かもしれない。
では、竹内結子版『ストロベリーナイト』とはどんなドラマだったのか。あらためて見返していくと、13年過ぎた今なお記憶に残る作品にふさわしい魅力であふれている。
強さと弱さが同居した主人公の魅力
『ストロベリーナイト』の原作は誉田哲也の警察小説シリーズであり、その人気は主人公・姫川玲子の圧倒的な魅力がベースになっている。
ドラマ版の第1話も姫川のキャラクターを描くところからスタート。姫川はストレートのロングヘアーを振り乱し、パンツスーツとハイヒールで颯爽と事件現場へ向かう。さらに男性刑事たちへ矢継ぎ早に指示を出して捜査を進め、「このヤマ絶対取るわよ」と檄(げき)を飛ばす姿が見られた。
男性刑事の一歩先を行く直観と行動力、プロファイリング力を武器にノンキャリアで異例のスピード出世を成し遂げた姫川は、性別年齢不問で誰が見てもカッコイイヒロインと言っていいだろう。
しかしその一方で、男社会の警察組織に苦しめられる姿も目立っていた。ライバル班長から目の敵にされ、上司から「お嬢ちゃん、適当な女の勘なんかで動いて捜査ぶち壊すなよ」などと暴言を浴びせられるシーンが続く。
さらに姫川には、消したくても消せない過去があり、それがもとで母・瑞江(手塚理美)から過干渉を受けて苦しむシーンも散見される。単にカッコイイヒロインを描くのではなく、「事件被害者」という陰が盛り込まれ、凄惨な現場と残酷な現実にうちのめされながらも前へ進んでいく様子が共感を誘っていた。
他人を寄せ付けないオーラを放ち、近づきがたい一方で、守ってあげたくなるような繊細なヒロインを竹内が好演したことも含め、女性刑事モノの中でも最高峰の主人公と言っていいかもしれない。
そんなヒロインの魅力に加えて、姫川班も視聴者から愛された。寡黙で姫川への切ない思いを秘めた菊田和男(西島秀俊)、ストイックで姫川との距離を保とうとする葉山則之(小出恵介)、最年長らしい落ち着きと情報網で班を支える石倉保(宇梶剛士)、明るく素直なムードメーカーの湯田康平(丸山隆平)。それぞれ姫川に忠実なだけでなく異なる長所を持ち、事件解決に向けてチームでたたみかける一体感があった。