全社員の50%が30代の“育児世代”。全社の男性育休取得率は63.3%。男性の平均育休取得期間は74日間――。「ZOZOTOWN」を展開するZOZOの男性社員の育休事情である。育児に積極参加する男性は増加傾向にあるが、同社は会社を上げて男性社員の育児参加を後押ししている。

ハイブリッドワーク(週2日オフィス出社、週3日リモートワーク)やフルフレックス制度を導入しているほか、社内イントラに「男性向け育児休業」のページを設け、制度の概要やFAQなどをまとめていたり、育休から復職までの流れをまとめた『産休BOOK~男性編~』も用意。さらにパパ社員同士のコミュニケーションイベントなどを実施するなど、フォローの体制を細かく整えている。

では実際、同社の男性社員はどのように仕事と育児を両立しているのか。育休から復職し、子育てに奔走しながら販売促進企画を担う伊藤雅浩さんに話を聞いた。

  • ZOZO EC推進本部 販売促進部 販売促進Aブロックの伊藤雅浩さん

■「育休中は、仕事中よりもずっとハードだった」

ーーまず、伊藤さんの現在の業務内容について簡単に教えてください。

ZOZOには2020年頃に入社して、昨年の夏までは「ZOZOSHOES」の販促企画を担当していました。現在はZOZOTOWN全体の販売促進企画を担当しています。直近だと、春夏の新作となるジュニア向けのアイテムをまとめた企画などを担っていますが、コスメ以外のジャンルであれば基本的になんでも扱っています。

ーーではさっそく育休について、取得期間や当時の状況について教えていただけますか?

育休の取得期間は53日間、2023年3月中旬から5月中旬くらいにかけてですね。もともと出産予定日が4月だったので、そのタイミングに育休を取るつもりだったのですが、3月の定期検診に行ったタイミングで、急遽翌日出産することになったんです。赤ちゃんのベッドすら用意できていない状態でしたが、なんとか前倒しして育休を取得しました。

ーーいきなり1カ月も前倒ししたんですね。

当時はZOZOSHOESのチームで販促企画を担当していたのですが、別チームで働いていた社員に、急遽ヘルプに来てもらうことになりました。もともとヘルプに来てもらう予定ではあったのですが、いきなり1カ月も前倒しになったわけですから、やはり大変だったと思います。1週間ほどかけて引き継ぎを行い、その後、育休に入りました。

ーーこればかりは仕方がないことですが、伊藤さんご自身も大変でしたね。

結果、いろんな仲間に迷惑をかけてしまったわけですが、すごく快く応じてもらいました。ZOZOにはカバーし合う文化がすごく根付いている気がします。私は複数の企業で仕事をしてきましたが、ZOZOの社員は優しい人が多いし、社員同士も特に仲が良い。業務の助け合いはもちろん、ランチもチームのメンバーで一緒に行くことが多いですし、すごく雰囲気のいい会社だと思いますね。

ーー育休取得にあたって、周りの皆さんからはどんな声がけがありましたか?

まず、みんなすごく喜んでくれました。仕事の引き継ぎにも快く応じてもらいとてもありがたかったですし、嫌な顔ひとつされませんでした。ヘルプに来てくれた社員とは今、同じチームで働いているのですが、「あのときは本当にびっくりしたよ」とよく話題になっています(笑)。おかげさまですぐに育休を取れましたし、家族もすごく喜んでくれました。

ーー伊藤さんの周りのみなさんも育休を取られているんですか?

そうですね。私の所属する部署においても、育休を取得する予定だという男性社員の話も耳にしますし、役職などは関係なく、ちゃんと育休を取っている人が多いように思います。

ーー育休取得期間中はどのように過ごされていたんですか?

育休中の53日間は正直、仕事をしているよりもずっとハードでした(笑)。それまでは「育休中は少しのんびりできるかな」と考えていたのですが、甘かったですね。夜も2〜3時間おきに起きて、子どもにミルクをあげて、オムツ変えて……毎日、大変でしたね。土日も関係ないし、命を預かっているから責任も大きい。仕事をしているほうが楽だな、というのはありました。

■育児と仕事の両立。具体的な1日のスケジュールは?

ーー育休を経て、何か仕事やプライベートで変化したことなどがあれば教えてください。

仕事でいうと、効率重視になりましたね。以前は、「明日やれる業務は明日やればいいかな」と思うこともありましたが、今は「業務はできるうちにやっておかないと、不測の事態が起きたときに周りのメンバーに迷惑をかけてしまう」という意識が強い。なので、できる業務はどんどん進めて後回しにしない。タスク管理はかなり厳密になった気がします。

ーープライベートではいかがでしょう?

プライベートについては、友達と遊びに行く、仕事後に飲みに行く、みたいな生活が減りました。会社の飲み会も参加が難しいことが多く、年末年始の忘年会や新年会など、大きなイベントのみ出席する程度に留めるなど、今の時点では、家庭の状況を優先させてもらうことも多いです。

ーー伊藤さんが会社の飲み会に顔を出さなくなって、周りの皆さんは寂しがっていませんか?

多分、大丈夫だと思います(笑)。チームの中には小1くらいのお子さんを持つママさんもいますし、育児が大変なものだという認識は、もともと社内でも共有されているのかもしれません。

ーー具体的な1日のスケジュールについても教えてください。

私は“週2日出社、週3日リモートワーク”、妻のほうは“週3日出社、週2日リモートワーク”なので、ちょうどテレコになる形なんですよ。なので、お互いがリモートワークの日に子どもの面倒を見るようにしています。

私がリモートワークの日は、大体朝6時くらいに起きて、妻と手分けしてご飯の準備や洗濯をします。7時頃に子どもを起こして一緒に朝食を食べたり、顔を拭いたり、着替えさせたりして、8時頃に保育園近くの公園で少し遊んだあと子どもを預けたら9時頃から仕事を始め、12時頃に昼休憩。17〜18時頃に仕事を終え、そのタイミングで仕事帰りの妻が保育園に子どもを迎えに行き、一緒に帰宅。19時くらいにみんなで夕食を食べて、21時には寝かしつける、といった流れになります。

ーー仕事と育児を両立するにあたって、何か工夫しているところはありますか?

業務でいうと、やはりなるべくタスクを後回しにしない、ということ。どんどん効率よく進行して、少し余裕があるくらいをキープしています。家庭内では、なるべく育児・家事を分担できるよう意識しています。妻が時短勤務なので、どうしても育児・家事の負担を多くかけてしまっているのですが、それでも感謝の気持ちを忘れないよう、言葉に出して「ありがとう」と伝えるようにしています。

ーー会社からのサポートで、何か良かったことや助かっていることなどあれば教えてください。

やはりまずは“週2日出社、週3日リモートワーク”という働き方にすごく助けられています。あとは福利厚生の従業員割引制度ですね。子ども服をZOZOTOWNで選ぶことが多く、すごく助かっています。フルフレックス制なので、中抜けできる点も便利ですね。子どもが高熱を出したりしたら保育園に迎えにいかなければなりませんが、おかげさまでフレキシブルに対応できています。

  • 親子コーデで近所を散歩。子どものモッズコートはZOZOTOWNで購入したそう

ーーありがとうございます。それでは最後に、今後のキャリアについて、何か展望などがあればお聞かせください。

タスクやスケジュールの管理は今後も徹底したいな、と考えています。販売促進は好きでやっているので、知識や分析能力の向上もどんどん図っていきたいと思います。