三井不動産は2月26日、東京・日本橋にて食の研究開発拠点「&mog(アンドモグ)Food Lab」を開業した。キッチン・フードラボ、ダイニング・スタジオ、オフィス・ミーティングルームを備える施設で、スタートアップ企業や食品メーカーの開発・研究に役立ててもらうことを考えている。関係者は「日本橋から食のイノベーションを創出していきます」と紹介する。
そもそも&mogとは、三井不動産が運営する食のイノベーション創出プラットフォームのこと。同社が運営するハードアセット+地元飲食店や商社など30以上のパートナーとの連携により、企業の事業開発を支援し、ひいては食産業が抱える社会課題の解決を目指す。「&mog Food Lab」は、三井不動産が日本橋の周辺エリアで取り組んでいる食のイノベーション創出プロジェクト「&mog by Mitsui Fudosan」の一環としてオープンした。
この施設の目的は、食関連企業の「自前の研究開発施設を整備する投資余力が無い」「新規事業開発用の活動拠点が無い」「試食会に適したスペースが無い」といった事業課題に応えていくことにある。建物内には飲食店レベルの厨房設備を完備するほか、試食会を開催できるスペース、商品の撮影スタジオ、オフィスや会議室も備えている。
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キッチン・フードラボには、スチームコンベクションオーブン、ブラストチラー、製氷機、食洗器、カッターミキサー、スクリューキャッパーなどを設置
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オフィスも利用できる
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撮影スタジオ
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各フロアには倉庫も備える
「&mog Food Lab」を利用する企業の担当者が、期待感を口にした。COLDRAWは、植物の恵みを凝縮した芳醇で華やかなプレミアムノンアルコール飲料を開発・提供する企業。施設にオープンした「COLDRAW 日本橋抽出所」ではR&D(研究開発)のほか、自社レシピの開発、飲食店向けのオリジナルドリンク開発などを手がけていく。
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(左から)COLDRAWの望月重太朗氏、食の会 代表取締役の長内あや愛氏、マチルダ 代表取締役の丸山由佳氏
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COLDRAWの阿波柑(あわかん)。徳島県の阿波晩茶をベースに、地元でとれた植物素材をブレンドして冷温減圧技術で抽出した微発泡のドリンクとなっている
人気レストラン「食の會 日本橋」を運営する食の会は、これまで日本の食文化を熱心に研究してきた企業。代表の長内あや愛氏は「明治時代に日本人が初めて食べたカレーライス『コルリ』を再現しました。この約150年前のレシピから、私たちの未来の食はどう作っていくべきなのか、そんなことを考察しています。現代、世の中には様々な新食材が出ていますが、どうやって生活に実装していけば良いでしょうか。そんな研究を、食文化が栄えたここ日本橋でやりたいと思っています」と話す。
マチルダでは子育て中の家庭をメインターゲットに、日替わりの家庭料理を提供している。江東区に2箇所のセントラルキッチンを置き、都内には30箇所のテイクアウトステーションを設置している。そこで日本橋のこの施設では、デイリーのメニューの開発、季節の献立の開発のほか、新規事業のタネを探すことにも利用していくとしている。