ヒット商品やサービスを手掛ける企業のキーマンにお話しを伺う企画「#お仕事図鑑」。

今回は、世界最大級の船隊規模を誇る「日本郵船」で働く社会人にインタビュー。自動車船の配船に携わる本橋直樹さんに、業務内容や日本郵船で働くことの魅力などについてお話を伺いました!

PROFILE

本橋直樹

自動車船の配船(貨物や商品を運ぶために船を選んだりスケジュール調整をしたりといった手配をすること)やチャータリング(一時的に船を借りること)を担当。2023年11月に起こった船舶拿捕という大きなトラブルにおける対応も主担当として対応。。


INDEX

特に印象に残った出来事 1日のスケジュール 高い英語のレベルが要求されますか 日本郵船の魅力 日本郵船が求めている人物像 大学生に向けてのメッセージ

船の手配に勤しむ本橋さん

――自己紹介をお願いします。

2011年4月に入社しました、本橋直樹と申します。自動車統轄グループ調整チームに所属していて、弊社で管理する100隻超の自動車船の投入契約・航路を差配する“配船”をすることが、主な業務内容となっています。配船に過不足が生じた場合、国内外の船主(船のオーナー)と連絡を取り合い、弊社の輸送契約を遂行できるように取りまとめる業務も行っています。

――配船について詳しく教えてください。

配船は、船を最適な場所・水域・契約に配置するという意味です。お客様からの連絡を受け、どのような場所にどのような船の需要があるかを把握し船を配置します。船に過不足が出た場合は、社外関係社と船の貸し借りを行い円滑に輸送契約履行が出来る様に調整します。

――自動車統轄グループ調整チームに所属することになった経緯を教えてください。

入社して約7年間は、鉄鉱石や石炭を運ぶ船について、今と同じような仕事をしていました。弊社では何年かに一度、異動があるのですが、その際に引き続き配船の仕事に携わりたいと希望を出したところ、今の配属先にしてもらったという流れになります。

――長年同じ配船業務に携わりたいと思う理由を教えてください。

驚かれるかもしれませんが、船を借りる費用は需要と供給の影響を大幅に受けるため、1日で数千万円から数億円ほど変動します。ですので、自分の一挙手一投足が部門の収支に大きく影響します。このことに責任の大きさは感じていますが、それ以上の魅力を感じているため配船業務に携わりたいと思っています。

――仕事上で起こるトラブルにはどのように対処していますか。

「台風が来る」「港でストライキがおこった」などといった情報は、ある程度事前にわかるため、それをもとにこの船は時間内に帰ってこないかもしれないという予想が付きます。そのため、それをもとにプランBやプランCなどの対応策を事前に組み立てておくことが多いです。ただ、基本的にはスピード感を重視して動くことを心がけています。

――今まで経験したトラブル対応の中で、特に印象に残った出来事を教えてください。

2023年11月の夜に、弊社が運航している貨物船がイエメン沖で拿捕(船舶やその乗組員を捕まえること)されました。この事件により、船の運航計画がすべて崩れてしまいました。

そのときは、会社に集まり、さまざまな関係者から情報を集め、「乗組員は無事か」「何隻足りない」「復活の目途はいつぐらいか」「それを乗り越えるために今後どうしていくべきか」「お客さんにどのように説明すべきか」などを話し合い、対応しました。

その後、運航する船100隻の計画を1から立て直すことになり、非常に苦労したのを覚えています。私の担当でしたので、自動車船に携わる海外の拠点も含めて数百人の同僚・社員が、私の考え直したプランを待ってもらっている状況だったため、非常にプレッシャーが掛かりました。

ただ、大変だったと同時に、この経験から「自分が歴史的な場面にかかわっている」というやりがいを感じられ、後々、トラブル対応で悩んでいる後輩にもそのように励ますことができるようになりました。

――1日のスケジュールを教えてください。

働く時間帯はヨーロッパやインドなどの海外に合わせることが多いため、午前中は国内(東京)の船の需要やトラブルをヒアリングします。午後になれば国外の方々が各国で出勤する時間となるので、午後は海外の関係者と連絡を取り合うといったスケジュールになります。

――海外出張の頻度はどれくらいでしょうか。

多い人だと月に1回は海外出張します。私は2ヶ月に1回くらいです。自動車船の持ち主は北欧や中東関係者が多いので、現地へ出向いて面談を行います。

――多くの言語を扱えることが必須なのでしょうか。また、高い英語のレベルが要求されますか。

まず、英語が出来れば問題ありません。また、私自身は褒められるようなTOEICの点数を取ることが出来ないまま、日本郵船に入社しました。

入社後は、外国籍の船長と電話でやり取りをするなど大変な場面もありましたが、悪戦苦闘しながら次第に英語に慣れていきました。入社2年目に何も対策せずにTOEICを受けたところ、点数がかなり上がっていて驚いたことを覚えています。ですので、慣れると思うので過度に心配しないでください。

――学生時代に船の知識は必要ですか。

私は、グローバルにダイナミックに働くことが出来る企業として日本郵船を選んだので、「船ってなんやねん」という感じで入社しました(笑)。専門的な知識を学ぶ機会は入社後に沢山ありますので、ご安心ください。

――困難な場面に直面したとき、どのようなことを意識していますか。

「良い思い出だね」と、いつか笑って話せる日が来ることを思って頑張るようにしています。また、歴史的な場面に自分が携わっているという気概を持って全力を尽くすことを意識しています。

▼日本郵船という企業について

――仕事の中で、どういった人と関わることが多いのでしょうか。

社内では、航路の調整を行う運航管理者(オペレーター)と日々連絡を取り合っています。また、自動車メーカーとの橋渡し役となっている営業ともコミュニケーションを取ることが多いです。社外は、先ほど申し上げたような海外の船主と関わることが多いですね。

コミュニケーションを取る上では、隠し事をせず真摯に向き合うことを意識しています。また、配船の理由を丁寧に説明できるように心掛けています。

――日本郵船にはどのような人が多いですか。

十人十色ではありますが、自分に課されたことをしっかりと全うする人物が多いと思います。また、学生時代は1つのことに打ち込んだ人が多い印象です。

――日本郵船の魅力を教えてください。

学生時代に、海上輸送が日本の輸出入の99%を占めることを知りました。日本は船がなければ、海外へ頼れず満足に生活することが出来ません。

例えば、天然ガスを中東から海上輸送することが出来なければ、発電することすら出来ないのです。したがって、日本郵船に入社することで、自分が社会に貢献しているという実感を大いに得ることが出来ると思います。

また、海の近くで自分が携わった船を間近に見ると、少し嬉しくなります。こういった仕事のやりがいを感じることが出来る企業だと考えています。

――日本郵船が求めている人物像を教えてください。

日本郵船は、時代の流れに臨機応変に対応した結果、長い歴史を紡いできた会社だと考えています。また、若い人達による活力や斬新なアイデアを具現化して成長した企業だとも思うので、新入社員には「日本郵船でこんなことにチャレンジしたい」というエネルギーを期待しています。

――新卒入社した際の一般的なキャリアを教えてください。

一概には言えませんが、新入社員は運航管理業務に携わることが多いという印象を受けます。担当の船の重油管理やルート調整、速度の管理などの業務を通して、船の動きや人の関わり方といった全体像を把握することが出来る仕事だからです。その後は、経営企画や配船、営業などそれぞれのキャリアを歩んでいきます。

――今後のキャリアプランを教えてください。

海外の拠点で働いたことがないので、海外を拠点とした部署で働いてみたいと思っています。そして外側から日本郵船という企業を見ることで、日本郵船に対して様々な角度から貢献することが目標です。

――大学生へのメッセージをお願いします。

今の時期は色々な企業を見ることが出来る貴重な期間だと思います。沢山の業界・会社を見て・触れて、自分の興味・将来についてゆっくり考えてみてください。就職活動は大変だと思いますが、最後に笑って振り返ることが出来るように、悔いの無いように頑張ってください。応援しています。本日はありがとうございました。

取材:秋保 柚月(ガクラボメンバー 
執筆:浅井 宏允(ガクラボメンバー
編集:学生の窓口編集部
取材協力:日本郵船

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