「将来の“なりたい自分”がまだわからない」という悩みを抱えるみなさんに、いろいろな企業で活躍する先輩たちの姿を通してロールモデルを見つけてもらう企画「#先輩ロールモデル」。
今回は、総合物流業界のリーディングカンパニー「日本郵船」の先輩社会人にインタビュー。 洋上風力発電向けの作業船に関するプロジェクトマネージャーである中山大樹さんに、業務内容や学生時代に取り組んだことについて詳しく伺いました!
洋上風力発電向けの作業船の設計・調達・建造を一貫して行うプロジェクトのマネジメントをリード。日々、国内外の造船所・設計会社・メーカーとのやり取りを重ねながら、顧客が必要なタイミングで船を投入できるよう進める。
――自己紹介をお願いします。
2016年に日本郵船に入社しました、中山大樹です。入社後数年間はLNG(液化天然ガス)船に関する業務に取り組んでいましたが、9年目の現在は、洋上風力発電向けの作業船に関するプロジェクトマネジメントを行っております。
――LNG船に関する仕事について、詳細に教えてください。
日本郵船はLNGを輸送する事業をやっているのですが、わたしはLNGの運搬船を調達する業務を担当していました。
具体的に言うと、どういった船が運送に必要なのかを見極める要件定義や、造船所の現場監督をしていました。わたしが携わった船は、現在も日本にLNGを輸送しています
――現在のお仕事について伺いたいです。
洋上風力発電所のメンテナンス作業員を運搬するための船の計画を担当しています。
現在は、設計フェーズを終え、図面を基に建造に着手していく中で起こるさまざまなトラブルを管理し、計画通りに建造を進める為の解決策を練っています。
――どんな方と関わりながら仕事することが多いですか。
船長と機関長と営業の方々です。船長と機関長から「こんな船が欲しい」というアイデアを受け取り、船の仕様として取り込み、設計会社への繋ぎ役となります。ですので、機関長とのコミュニケーションは常にとっていますね。
営業のメンバーは、顧客から船の要件や納期に関連する質問を受けるので、それに対してサポートを提供しています。他にも、造船所や設計会社、メーカーの方々など多くの人とのやり取りが必要です。
――仕事をする上で、壁にぶつかったときはどのように乗り越えていますか。
自分一人で抱え込まずに、社外のメーカーさんや社内の仲間と協力することを大切にしています。船には沢山の機器が搭載されているのですが、そうした機器を提供してくださるのはすべてメーカーさんです。
ですので、多くのメーカーの方ってこその船だということを忘れず、皆で一丸となりプロジェクトを進めていくように心掛けています。
――仕事の面白さや楽しさを教えてください。
面白さの1つとして、ルーティン業務がほとんどないということが挙げられます。よく考えないと解決できない問題が常に生まれてくるので、大変ではありますが、起こったことに対して臨機応変に対応することに楽しさを見出しています。
――仕事において大切にしていることがあれば教えてください。
「自分の目で見る、自分の耳で聞く」ということが大切だと思っています。仕事で関わる人の数が多いため、コミュニケーションが円滑に進むように現地に足を運び、プロジェクトが滞りなく進むように心掛けています。
――日本郵船の魅力を教えてください。
9年間働いてきて思うのは、よい人が多いということです。9年間の中で仕事的につらい時期を過ごしたこともあったのですが、そんなときに常に応援してくれた上司がいました。
困ったときに寄り添ってくれる人がいるというのが日本郵船の素敵な所だと思うし、わたしもそんな人間になりたいと思っています。
――どんな学生時代を過ごされましたか。
わたしは大学から東京に来て、電気工学を専攻しました。学部卒業後は1年間アメリカへ語学留学に行き、帰国後は大学院で2年間、特定の材料が非常に低い温度で電気抵抗がゼロになる現象である超電導の研究に取り組んでいました。学部時代は正直勉強に熱心に取り組んでいたわけではなく、部活動に注力していました。
――専攻を電気工学に決めた理由を教えてください。
「電気・機械・物理」の中から専攻を選べる学科に所属していたのですが、電気工学の道に進む人は少なく、社会に出たときにいろいろな場所で重宝されるため、思い切ってチャレンジを決めました。教授との相性がよかったのも、決め手のうちの1つです。
――就職活動の際のガクチカは何でしたか。
就活のときは、3本の柱を掲げていました。1つ目は電気工学の知識、2つ目は部活動、3つ目が留学です。
また面接の際は、面接官が得意とする領域に引きずり込まれないように、自分ができることや知っていることで戦いたいと思っていたので、企業ごとに話す内容を変更することはありませんでした。
自分がやってきたこと、やっていること、やりたいことは変わらないですよね。ですので、勉強していることを自分の言葉でしっかり語れるように準備していました。
――就職活動で話していたご自身の強みを教えてください。
「周りを巻き込む力」というのを、部活でのエピソードを添えて話していました。部員が100人程在籍していたので、大学3年次は自分のプレーに集中するだけでは不十分で、彼らのマネジメントも必要になりました。その際に感じたことや考えたことを話すようにしていました。
――実際に働いてみて、ご自身の強みは生きていますか。
はい。自分がマネジメントをする立場になったときに、学生時代の経験を思い出せばよいので、役立っているなと感じています。後輩を指導する経験を学生時代に積むことができたのは非常によかったです。
――就活で落ち込んだときはどのように乗り越えていましたか。
人に話すということを大事にしていました。大学にある学生センターを活用して、就活における不安を客観的に評価してもらい、あまり溜め込まないように気を付けていました。
――学生時代にやっておいた方がよいことを教えてください。
OB訪問を受けることが多いのですが、大学生活で何を頑張っているのか、上手に伝えることが得意な学生ばかりではない印象です。
学生の本分は勉強することだと思っていますので、現在自分が学んでいること、また打ち込んでいることに自信をもって、しっかりと話してほしいと思います。
――最後に大学生に向けてメッセージをお願いします。
実際に足を運び、自分の目で見て感じたことを大事にしてほしいと思います。就活は、自分の将来を考える重要な機会です。信頼できる方の意見をよく聞き、自分のできる範囲で頑張ってほしいと思います。わたしも頑張ります。本日はありがとうございました。
取材:秋保 柚月(ガクラボメンバー)
執筆:浅井 宏允(ガクラボメンバー)
編集:学生の窓口編集部
取材協力:日本郵船