西武鉄道は、ラッピング電車「西武グループこども応援プロジェクト ぼくのわたしのみらい絵トレイン」の運行を2月23日から開始した。運行開始に合わせ、同日朝に西武球場前駅(狭山線)の6番ホームで撮影会と出発式が開催された。

  • こどもたちのイラストをラッピングした「ぼくのわたしのみらい絵トレイン」が運行開始。出発式では、4人のこどもたちが西武鉄道の制服姿で発車合図を体験した

「西武グループこども応援プロジェクト ぼくのわたしのみらい絵トレイン」は、「西武グループこども応援プロジェクト」の一環で開催された「ぼくの わたしのみらい絵コンクール」で優秀賞を受賞した作品の中から、西武鉄道キッズクラブ会員の作品150点を採用。30000系30103編成(10両編成)を使用し、各車両6カ所(両端を除く)の戸袋にラッピングを掲出した。

ラッピング1枚につき掲載数は2~3作品(海側・山側で同一作品)。飯能・西武球場前方に小学生部門の49作品、池袋・西武秩父方に未就学児(小学生以下)部門の101作品を掲載している。

  • 西武鉄道の30000系(30103編成)を使用。車体側面にラッピングを施した

  • 両端を除く片側6カ所の戸袋部にコンクールの優秀賞受賞作品を掲載

  • 飯能・西武球場前方に小学生部門、池袋・西武秩父方に未就学児部門の作品を掲載

小学生部門は「西武グループでこんなおでかけ・こんなあそびができたらいいな!」をテーマに、自由にイラストを描いている。鉄道に乗って楽しむ、触れて楽しむようなイラストが多く見受けられた。もちろん鉄道以外にも、家族・友達とのお出かけ、自然と触れ合う、秩父や埼玉西武ライオンズの要素を取り入れたイラストなど、どの作品も個性にあふれている。

その中で、「夢の水族館号」という作品を描いた人に話を聞かせてもらった。水族館が好きだという女子が描いた、珍しい海の生き物を列車に載せたイラストとなっている。作品の中で、ラッコとジュゴンは、国内で鳥羽水族館にしかいないという(取材時点)。「水族館が動いてくれれば、多くのこどもたちが海の生き物を見られるのでは」という思いを込め、作品を描いたとのことだった。

  • イラストを描いたこどもたちの鉄道好きが、作品からうかがえる

  • 西武線でお出かけ、西武鉄道のミュージアム、虹を渡る電車など、さまざまな発想で描かれている

  • 「ラビュー」の車内に詰め込んだ空間や、かわいらしい水族館列車も

一方、未就学児部門は「こんなでんしゃがあったらいいな!」をテーマに、30000系の塗り絵を描いている。実車は白色・銀色の車体に青色・緑色のグラデーションがアクセントとなっているが、イラストでは、こどもたちそれぞれの発想によるカラフルな表現に注目したい。一部作品は背景まで描き込まれ、世界観をさらに引き立てていた。

中でも、まだ4歳半ながら鉄道が大好きだという男子の作品は、余白がなくなるほど広く色を塗っているところが特徴的。塾で塗り絵を習っているとのことで、学んだことを生かし、ドアをカラフルに塗り分け、背景も頑張ったとのことだった。

  • 思い思いの色で30000系「スマイルトレイン」を多彩に表現

  • 宇宙を走る電車はまるで流れ星(上の作品)。虹のラインや、各部の顔も個性的(下の作品)

  • カラフルなドアと背景(上の作品)、2基のシングルアームパンタグラフ(下の作品)が目を引く

その他にも、多数の作品が車体側面に掲載されている。西武球場前駅で撮影会が行われている間、作品が掲載された子とその家族でホーム上がにぎわっており、自分の作品の前で記念撮影したり、他の作品を鑑賞したりして楽しんでいる様子だった。

出発式では、西武ホールディングス経営企画本部長・上席執行役員の原田武夫氏が挨拶した。作品を描いた感想をこどもたちに尋ねたところ、「簡単!」「難しかった!」など、元気な返答に原田氏が微笑む場面も。自身の仕事について、「西武グループをご利用いただくお客様に、どのように快適にご利用いただくか、楽しんで過ごしていただくか、日々考えながら仕事をしています」と説明しつつ、「素敵な作品(楽しい経験、喜んだこと、夢)を詰め込んだラッピング電車にできましたので、ご利用されるお客さまにも喜んで笑顔になっていただけると思います」と語った。

原田氏が挨拶を終えた後、ラッピング列車の発車合図として、所沢駅管区長の山本徳之氏と、抽選で選ばれた小学生・未就学児4人の計5人が登壇した。発車までの間、発車合図について、山本管区長が「車掌さんが運転士さんに『出発していいよ』って合図を送って電車が動き出すから、みんなの合図がすごく大事なんだよ」とこどもたちに教える場面もあった。

10時3分頃に発車時刻となり、山本管区長とこどもたち4人が右手を高く掲げて出発合図を送った。後ろで見学していたこどもたちも、司会の合図で一緒に「出発進行!」と元気よく声を上げ、ラッピング電車は西武球場前駅を発車していった。なお、出発式に参加した家族だけでなく、通常の列車が発着する1・2番ホームからも、多くの利用者がラッピング電車の発車を見守っていた。

  • 「皆さんもこの電車に乗って楽しんでいただければ」と原田氏

  • 山本管区長とこどもたち4人で発車合図。後ろのこどもたちも元気よく「出発進行!」

  • 最後に拍手で見送り。車掌も手を振っていた

「ぼくのわたしのみらい絵コンクール」の優秀作品を150点をラッピングした「西武グループこども応援プロジェクト ぼくのわたしのみらい絵トレイン」(30000系)は、池袋線・狭山線で2026年2月10日まで運行予定。走行位置は「西武線アプリ」で確認できる。運用の都合によっては、運行路線が変更となる場合もある。こどもたちが自由に思い描いた作品がラッピング電車として走るところを暖かく見守ってほしい。