公開初日を迎えたVシネクスト『仮面ライダーガッチャード GRADUATIONS/ホッパー1のはるやすみ』(監督:山口恭平)の舞台挨拶が2025年2月21日、東京・新宿バルト9にて行われた。同イベントには仮面ライダーガッチャード/一ノ瀬宝太郎役の本島純政、仮面ライダーヴァルバラド/黒鋼スパナ役の藤林泰也ほかメインキャストと山口監督が登壇。
1年間にわたる『仮面ライダーガッチャード』テレビシリーズの「その後」を描く本作にちなんで、それぞれの「成長」の思い出などを語り合った。
『仮面ライダーガッチャード GRADUATIONS』あらすじ
錬金アカデミーで「錬金術」を学び、将来は大物錬金術師になるという夢を抱く一ノ瀬宝太郎/仮面ライダーガッチャード(演:本島純政)、そして彼と力を合わせ、邪悪な敵と勇敢に戦った九堂りんね=仮面ライダーマジェード(演:松本麗世)、ついに2人が高校を卒業する時がやってきた。しかし卒業式当日の朝、宝太郎たちはどういうわけか「同じ時間」を何度も繰り返し、そこから抜け出せなくなってしまった。この状況を把握しているのは、超A級錬金術師として宝太郎やりんねと共に戦った黒鋼スパナ/仮面ライダーヴァルバラド(演:藤林泰也)ただひとり。スパナは時間ループに気づいていない宝太郎や仲間たちに異常事態を告げ、なぜこのような現象が起きているのか、原因を突き止めようとする……。
「ガッチャーッ!!」と元気よく大きな声で客席のファンに呼びかけたのは、仮面ライダーガッチャード/一ノ瀬宝太郎を演じる本島純政。公開初日を迎えた現在の心境をMC(佐藤香織)から尋ねられると「ついにこの日が来た! という気持ち。これで終わりという寂しさもありますが、作品をようやくお届けできて嬉しい思いが強いです」と、『仮面ライダーガッチャード』の集大成的作品を全国のファンに披露できる喜びを伝えた。
クールで寡黙な仮面ライダーヴァルバラド/黒鋼スパナを演じる藤林泰也。しかし素の藤林は、気さくで明るいフリートークで周囲を賑やかにさせる名人だった。ちょうど前日(20日)に誕生日を迎えたばかりの藤林は、客席からの「おめでとう!」の声に笑顔を向けつつ「僕への誕生日プレゼントとしてみなさんに望むことは、この作品が『面白かったよ』と、いろんなところでいいクチコミをしていただけること。ひとりでも多く、この作品をお届けできれば」と、作品の好評価を広めてもらえることが一番のプレゼントだとにこやかに語った。
錬金アカデミーで宝太郎やりんねの先輩にあたる錬金術師・銀杏蓮華を演じる安倍乙は「卒業の寂しさだけでなく、みんなで協力しながら事件に挑む明るさやコミカルさのある作品です」と、本作の盛りだくさんな内容について語り、魅力の多い作品だとアピールした。
蓮華とは名コンビとなる「先輩ズ」のひとり・鶴原錆丸を演じる富園力也は、劇中の錆丸と同じく聞こえるか聞こえないかというような「極小ボイス」で挨拶した後、錆丸に代わって言葉を発してくれるAI「アイザック」の声で改めて威勢よく挨拶した。映画については「ふだんワチャワチャしているメンバーが、グッと引き締まって困難を乗り越え、そのあとはまたワチャワチャするというのが『ガッチャード』の魅力です」と、本作でも『ガッチャード』の持ち味はそのままで、面白い内容になっていると自信をのぞかせた。
宝太郎の親友で、超常現象が大好きな加治木涼を演じる加部亜門は「宝太郎が仮面ライダーとしても、高校生としても、どういう卒業をして、どんな道を進んでいくのか……そういった部分をみなさんで観てほしい」と、常に前へ向かって進んでいこうとする宝太郎の「進路」について描かれる本作の魅力を語った。
本作のメガホンを取った山口監督は「現在、『仮面ライダーガヴ』が放送されていますけれど、この作品をご覧になって『仮面ライダーガッチャード』の良さを改めて楽しんでほしい。作品には『卒業アルバム』のように、懐かしい場面が出てきたり、懐かしいキャラクターが登場したりします」と、観客が『ガッチャード』の魅力を再確認してもらえるような仕掛けがたくさん込められていることを明かした。
これが「ガッチャード」らしさだ!
今回のVシネクストに込められた「ガッチャードらしさ」を尋ねられた藤林は、「みんなの仲の良さがにじみ出ているところ。キャスト同士はもちろん、スタッフや主題歌のBACK-ONのみなさん、Beverlyさんたちとも深い絆ができました。それは、仮にトークでヘマをしたとしても、誰かがカバーしてくれる力でもあります」と、『ガッチャード』に携わったすべての人たちと良いチームワークを築けていることに言及。
そして藤林は「たとえば、ここに“在る”と仮定する変身ベルトを渡せば、すぐ変身してくれる……」といいながら隣の加部や山口監督に狙いを定め、2人をあわてさせた。
そのまま藤林が手にした「エア変身ベルト」は山口監督に託されてしまった。ベルトを装着した体となった山口監督は絶妙のタイミングで「変身!」の叫びを決め、客席を笑いに包んだ。
やむなく変身してしまったものの「ああ、びっくりした。監督いじりはダメだよ!」と注意する山口監督だったが、この光景を見た藤林は満足そうに「これです! 監督もキャストと同じ目線で立ってくださり、僕たちが後悔することなく、演出を考えてくださった。この一座がいいなと思って、僕もすごく楽しませていただきました」と語り、非常によいチームワークで作り上げた作品であることを今一度強調した。
それぞれの「成長」
続いての質問は、キャスト陣が『仮面ライダーガッチャード』に出演し、成長を実感できたことについて。本島は「お芝居に対しての向き合い方を、いろいろな監督さんたちから教えていただき、自分の中でだんだんつかむことができた」と、自身でもはっきり手ごたえを感じるほどの成長度合いを語った。
藤林は「僕の成長は、周りの空気感を考えるようになったこと」と強気に発言し、すかさず加部から「ウソだ~」とツッコまれる場面が見られた。また本島が助け船を出して「落ち着いて、いい男になったよ。まあ、もともといい男だけどね!」と持ち上げ発言をすると、藤林は「まあね!」と返して客席からの爆笑をもぎ取った。このような楽しいかけあいのできる仲間たちに感謝しつつ、藤林は「ここにいるキャストや、お仕事の都合でここにいないキャストも含め、みんな大切な仲間でありライバル。みんなに刺激を受け、日々成長させてもらっています」と真面目なコメントでしめてみせた。
安倍は「私は人見知りで“一匹狼”なところがあったのですが、『ガッチャード』に出演して1年間同じ役、同じ共演者たちと過ごしたことで、チームワークや絆が生まれ、一匹狼を克服できました」と、自身の成長をふりかえった。しかし、しきりに「狼」を強調したことから、藤林に「もしかしてゴジュウジャ―に出ようとしてる?」と、ゴジュウウルフが活躍する『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』にひっかけたテクニカルなツッコミを入れられて苦笑いする瞬間があった。
富園は「錆丸の髪型は、伸ばした前髪が目の中に入って痛いときがありましたが、それでも頑張って目を開けていられる『目力』がこの1年でつきました」と、錆丸の印象的なヘアスタイルによってテレビシリーズ撮影中にたいへんな思いをしていたことを明かした。また「『ガッチャード』に出演したことで、役についてみんなと話し合う時間が増えた。自分にとってもチャレンジができた作品。これからも、もっとチャレンジをしていきたい」と、役者としてさらなる意欲を燃やすコメントを放ってファンを喜ばせた。
山口監督は若いキャストたちの成長について「最初のころの本島くんたちはただガムシャラに演じるしかなかったけれど、終盤になると自分からこんなことをしたい、と考えて、芝居を作り上げていくようになった。第47話(大激突!宝太郎VSスパナ)で宝太郎とスパナが激しく争うシーンがあったけど、僕の想像を超えた演技を2人がしてくれました」と、役を理解し、思いを膨らませながら作り上げていった本島と藤林を絶賛。これを聞いて嬉しさでいっぱいになった藤林は「マスコミのみなさん、ぜひこういうところを記事に書いてください。記事だといつも僕が『ウエーイ』と盛り上がってるところばかり撮られてますからね!」と、フリートークでウケを取っているだけでない、俳優・藤林泰也の良い部分をもっと強調してほしいとアピールする場面が見られた。
最後の挨拶で藤林は「この春、卒業を迎えるみなさんの心の支えになり、新しい幕開けに携わってくれる作品だと思います。僕自身もこの作品に助けられました!」と、今回のVシネクストが「卒業」や「新しい生活」を始める人たちへの力強いエール、励ましになればというコメントを残し、さわやかな笑顔をうかべた。
最後にマイクを手にした本島は「スタッフ、キャストみんなが『ガッチャード』の集大成として全力をそそいだ作品です。今日ここで、僕たちの思いをたくさんの方々に届けられてよかった。『卒業』はお別れではなく、新しい一歩を踏み出していくことだということを伝えられたら嬉しいです!」と、澄んだ大きな目をキラキラと輝かせながら客席のファンに向けて熱い言葉をなげかけた。
Vシネクスト『仮面ライダーガッチャード GRADUATIONS/ホッパー1のはるやすみ』は2025年2月21日から全国劇場にて期間限定上映。
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