おにぎり協会は2月7日、「コンビニおにぎり人気調査2024」の結果を発表した。調査は2024年1月~12月、セブン‐イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ミニストップ、ローソンを対象に行われた。

  • おにぎり協会

「コスパ」と「ボリューム」が求められる時代へ

2024年のコンビニおにぎり市場では、「コスパ」と「ボリューム」が求められた。原材料の高騰が続くなか、各社とも「価格を抑えつつ、満足感のあるおにぎり」を提供する戦略を強化。その結果、お手頃価格の定番商品と、ボリューム系の新商品が人気を集める1年となりました。2023年と比べてもその動きは顕著だった。

セブン-イレブンでは「うれしい値!」を導入し、主力商品を値頃感のある価格に改定。一方でローソンは「盛りすぎチャレンジ」を実施し、通常より47%増量したおにぎりを展開した。ミニストップも「本体価格98円」シリーズを導入し、数量の改善を図っている。

また、ファミリーマートでは混ぜご飯などの低価格帯のおむすびだけでなく、「サンドおむすび」や「SPAMむすび」など、高価格帯のボリューム系おにぎりがヒットした。このように、「安価なおにぎり」と「リッチなおにぎり」の両極化が進んだことも2024年の特徴となった。

コンビニ各社のおにぎり人気ランキング

2024年のおにぎり人気ランキングによると、セブン-イレブンの1位は「手巻おにぎり ツナマヨネーズ」(128円)、2位は「手巻おにぎり しゃけ」(128円)、3位は「手巻おにぎり 北海道産昆布」(128円)だった。続いて4位は「熟成旨味仕立て 紀州南高梅」(128円)、5位は「赤飯おこわおむすび」(140円)となった。

ローソンでは、1位が「手巻おにぎり シーチキンマヨネーズ」(157円)、2位が「和風シーチキンマヨネーズ」(157円)、3位が「手巻おにぎり 北海道産日高昆布」(140円)だった。さらに4位は「金しゃりおにぎり 焼さけハラミ」(279円)、5位は「手巻おにぎり 熟成紅鮭」(192円)となった。

ファミリーマートでは、1位が「手巻シーチキンマヨネーズ」(155円)、2位が「直巻焼しゃけ」(150円)、3位が「直巻和風ツナマヨネーズ」(138円)だった。続いて4位は「手巻紅しゃけ」(180円)、5位は「ごちむすび 鮭はらみ」(249円)となった。

ミニストップでは、1位が「手巻ツナマヨネーズ」(118.80円)、2位が「手巻紅鮭」(151.20円)、3位が「手巻真昆布」(135.00円)だった。さらに4位は「手巻梅」(135.00円)、5位は「手巻炙りたらこ」(151.20円)となった。

コンビニ各社のランキングを比較すると、昨年同様「ツナマヨネーズ」と「鮭」がいずれも上位を占めており、定番の味として広く支持されていることがわかる。特にツナマヨネーズはすべてのコンビニで1位となっており、幅広い世代に愛されている商品といる。

価格帯に注目すると、定番の具材であっても、各コンビニで設定に若干の違いが見られる。 ミニストップとセブン-イレブンはリーズナブルな商品を展開。ファミリーマートとローソンはツナマヨがやや高めの価格設定(155円~157円)になっている。ローソンの「金しゃりおにぎり 焼さけハラミ」(279円)や、ファミリーマートの「ごちむすび 鮭はらみ」(249円)など、プレミアム価格帯のおにぎりも上位にランクインしていることがわかる。

それぞれの商品で最も購入している層

それぞれのおにぎりを最も購入している層について、セブン-イレブンでは「手巻おにぎり ツナマヨネーズ」(40代男性)、次いで「手巻おにぎり しゃけ」(50代男性)、「手巻おにぎり 北海道産昆布」(60代以上男性)と続いた。さらに「熟成旨味仕立て 紀州南高梅」(60代以上男性)、「赤飯おこわおむすび」(60代以上男性)となっている。

ローソンでは、「手巻おにぎり シーチキンマヨネーズ」(40代女性・男性)、「和風シーチキンマヨネーズ」(30~50代男性)、「手巻おにぎり 北海道産日高昆布」(50代男性)、「金しゃりおにぎり 焼さけハラミ」(40代~50代女性・男性)、「手巻おにぎり 熟成紅鮭」(40代女性)となっている。

ファミリーマートでは、「手巻シーチキンマヨネーズ」(40代男性)、「直巻焼しゃけ」(40代男性)、「直巻和風ツナマヨネーズ」(20代男性)、「手巻紅しゃけ」(40代女性)、「ごちむすび 鮭はらみ」(50代男性)。

ミニストップでは、「手巻ツナマヨネーズ」(40代・50代男性)、「手巻紅鮭」(40代・50代男性)、「手巻真昆布」(40代・50代男性)、「手巻梅」(40代・50代男性)、「手巻炙りたらこ」(40代・50代男性)となった。

すべてのコンビニで40代・50代の男性が主な購買層となっており、特に「ツナマヨネーズ」「しゃけ」「昆布」などの定番おにぎりはこの層に支持されている。ローソンでは40代女性がツナマヨや鮭を購入する層としてランクインしているが、全体的に女性の割合は低めといえる。

新作おにぎり人気ランキング

新作おにぎり人気ランキングによると、セブン-イレブンでは1位が「手巻おにぎり ツナマヨネーズ」(128円)、2位が「手巻おにぎり しゃけ」(128円)、3位が「たまご醤油おむすび」(118円)だった。続いて4位には「1.5倍わかめ御飯おむすび」(138円)、5位には「具たっぷり舞茸おこわおむすび」(158円)がランクインした。

ローソンでは、商品によって販売期間が異なるため、ランキング形式での発表はなかった。

ファミリーマートでは、1位が「サンドおむすびファミチキ」(320円)、2位が「ふんわりたまごの満足オムライス」(268円)、3位が「どん兵衛天ぷらむすび」(178円)だった。さらに4位には「煮たまごおむすび」(178円)、5位には「SPAMむすびツナマヨネーズ」(275円)がランクインした。

ミニストップでは、1位が「玉子炒飯」(105.84円)、2位が「明太子マヨネーズ」(105.84円)、3位が「わかめごはん」(105.84円)だった。続いて4位は「でかむすび 鶏旨だれマヨネーズ」(151.20円)、5位は「直火焼豚」(105.84円)となった。

セブン-イレブンは新作ランキングでも「ツナマヨ」「しゃけ」などの定番が引き続き上位を占めており、安定した人気があることがわかる。 一方で、ファミリーマートやミニストップでは、サンドおむすびやオムライス、炒飯系おにぎりなど、新たなジャンルの商品がランクインしており、バリエーションを広げる動きが見られた。また卵を使ったおにぎりの需要も高まっているようだ。満足感のあるボリューム系おにぎりがラインナップする一方で、低価格帯商品も多く、コストパフォーマンスを意識。中でもミニストップは105円前後が多くお手頃感のある価格帯に調整されている。

※一部金額はおにぎり協会調べ。金額は期間や販売エリアによって異なる場合がある。

トレンド分析

1.おにぎり両極化時代へ

原材料の問題などからさまざまな商品・サービスの値上がりとなった2024年。その状況をあらわしているかのように、今回はおにぎりの中でも低価格ラインの商品がランキングの多くを占める結果となった。例えばセブン-イレブンの1位~4位は128円の商品となっている。またミニストップも「本体価格98円シリーズ」が好調とコメント。一方でローソンは4位に279円の金しゃりおにぎり 焼さけハラミがランクインするなど「ご馳走おにぎり」の人気も顕在で、両極化時代へ。そしてこの低価格と高級ラインの間にスタンダードラインが存在する状態となっている。

2.人流回復で売り上げは好調に推移

インバウンドを含めた人流回復で訪日観光客の増加に伴い、コンビニおにぎりへの関心も高まっている。ローソンでは「日本おこめぐりシリーズ」を展開し、秋田県産サキホコレや青森県産青天の霹靂など、各地のブランド米を使用したおにぎりが人気を博した。

ファミリーマートは「おむすびの売上が全体で7%増」、ローソンも「約10%増」。セブン-イレブンも「前年を超える売上」とコメント。ミニストップは売上横ばい・微減としながらも低価格帯のおにぎりが好調で数量は改善傾向としている。

海外のおにぎりは日本と比べると高価格であるため、インバウンドの人たちにとってみると現在の300円のおにぎりも「割安感」がある。また、ほかの料理と比べるとおにぎりはまだまだ手ごろな価格帯でもあることが需要を高めていると考えられる。

3.新作おにぎりは大型化・具材が充実

「具!おにぎり」(ローソン)、「でかむすび」(ミニストップ)、「サンドおむすび」(ファミリーマート)など、具材のボリュームを重視した商品が増加。より満足度の高い商品開発が進んでいる。ローソンは「2025年度も、タイパニーズに対応した「具!おにぎり」「大きなおにぎり」を強化してまいります」、ファミリーマートも「サンドおむすび、大きなおむすび、SPAMむすびなどの高価格帯のおむすびがそれぞれ10%ほど伸長」とコメントしている。