新社会人になると、給与明細を見て「思ったより手取りが少ない」と感じることがあるかもしれません。これは、税金や社会保険料が差し引かれているためです。税金は教育や医療、インフラ整備などに使われ、社会保険は病気や老後の生活を支える大切な制度です。社会人として知っておくべき税金と社会保険の仕組みを学び、賢く活用しましょう。
税金の配分と、何が年収から常に引かれる?
給与から差し引かれる主な税金は、所得税と住民税です。
所得税:国に納める税金で、収入に応じて段階的に税率が高くなる。
住民税:地方自治体に納める税金で、地域の公共サービスに活用される。
また、社会保険料として以下が控除されます。
健康保険料:医療費の補助や病気時のサポートに充てられます。
厚生年金保険料:老後の年金や障害時の給付に充てられる。
雇用保険料:失業時の生活支援や再就職のための助成に使われる。
給与明細を確認し、それぞれの役割を理解することが大切です。
社会保険によって受けられるベネフィット
健康保険は、病気やケガといった予期しない医療費の支出を軽減するための重要な制度です。社会人になると、会社を通じて「健康保険」に加入することが一般的です。この保険により、以下のような恩恵を受けることができます。
・医療費の自己負担が軽減される
健康保険に加入している場合、病院や診療所で診察や治療を受ける際の医療費の自己負担額は、通常3割に抑えられます。たとえば、治療費が1万円かかった場合でも、自己負担額は3,000円となり、残りは健康保険から補助されます。この負担軽減により、病気やケガの際でも経済的な心配が少なくなります。
・高額療養費制度
治療費が高額になった場合でも、健康保険には「高額療養費制度」があります。この制度では、1か月の医療費が一定額を超えた場合に、その超過分を後から還付してもらえます。この「一定額」は所得に応じて異なりますが、大きな病気や手術、長期入院などの際に非常に役立つ制度です。たとえば、手術費が50万円かかった場合でも、実際の負担額は大幅に軽減される可能性があります。
また、公的年金は、老後の生活を支える重要な収入源です。以下のような種類があります。
•老齢年金:一定の年齢になったときに受け取る年金。
•障害年金:病気やケガで働けなくなった場合の生活支援。
•遺族年金:家計を支える人が亡くなった場合、その家族に支給される年金。
これらの年金制度は、長期的な生活の安定を保障するための仕組みです。特に若い世代では、「将来のことだから」と考えがちですが、今から制度を理解しておくことが将来の安心につながります。
確定申告に備えよう! 基本の知識
確定申告は、自分の所得と税額を税務署に申告し、必要に応じて納税や税金の還付を受けるための手続きです。会社員の場合、通常は年末調整で税金の計算が完了しますが、特定の条件に該当する場合は確定申告が必要となります。
確定申告が必要になるケース
•副業収入がある場合:会社員でも副業で20万円以上の収入がある場合は申告が必要です。
•医療費控除を受けたい場合:年間で一定額以上の医療費を支払った場合、医療費控除を受けることで税金が軽減されます。
•住宅ローン控除の初年度:住宅を購入してローンを組んだ場合、初年度は確定申告が必要です。
•一時的な収入があった場合:たとえば、株式の売却益(一般口座や損益通算する場合)や保険の解約返戻金がある場合も対象です。
確定申告の手続きの流れ
1.必要書類の準備
確定申告に必要な書類を揃えましょう。主なものには以下があります。
•給与所得の源泉徴収票:会社から年末に発行されるもの。
•副業やアルバイトの収入証明書:源泉徴収票や契約書など。
•医療費の領収書:医療費控除を申請する場合に必要。
•保険料控除証明書:生命保険や地震保険に加入している場合。
2.申告書の作成
税務署に用意されている申告書(またはe-Taxのオンラインフォーム)を使って、所得や控除額を記入します。e-Taxを利用すれば、計算や入力を簡単に行えます。
3.申告書の提出
申告書は税務署に直接持参するか、郵送、またはe-Taxでオンライン提出します。オンライン提出は時間短縮にもつながり、今では多くの方が利用しています。
4.納税または還付金の受け取り
申告内容に基づき、税金の追加納付が必要な場合は指定された期限内に納税を行います。逆に、税金が還付される場合は、振込先の口座にお金が返ってきます。
確定申告のポイント
•早めの準備が重要:直前になると混雑するため、余裕を持って準備を進めましょう。
•控除を最大限に活用:医療費控除やふるさと納税など、利用可能な控除を活用して節税を図りましょう。
•専門家に相談する:内容が複雑な場合は、税務署や税理士に相談するのがおすすめです。
お金の管理を賢く進めよう!
日々の支出を把握し、家計簿アプリや試算表を活用して計画的に管理しましょう。特に、固定費や税金の支払いを見直すことで、予算に余裕を持たせることができます。また、不安や疑問がある場合は、信頼できる専門家、ファイナンシャルプランナーに相談するのがおすすめです。
この記事を執筆したファイナンシャルプランナー紹介
小峰一真(こみねかずま)
所属:マイホームFP株式会社