健康と聞くと"体"のイメージが強いかもしれません。熱が出たり、頭が痛くなったり、体調不調にはわかりやすいサインがあるためケアもしやすいですよね。

しかし、心はどうでしょう?

本記事ではメンタル(心の)不調になりにくい人の特徴や、今日から実践できるメンタルコントロール法をお伝えします。

  • 【知ってる?】心を疲れさせない大人の「メンタル術」

心が疲れやすい人はどんな人?

・自分ルールが多い人(自分をしばり、他者にルールを当てはめがち)
・自分以外の視点で見ることが苦手な人
・物事の全体像が見えず、自己否定ばかりしてしまう人
・相手に何も伝えず期待ばかりしている人
・自称完璧主義者(達成基準があいまい)
・慢性的に体や脳が疲れている人
・感情のコントロールが苦手な人
・人に頼ることが苦手な人(すべて自分でこなそうとする、相談の仕方がわからない)
・どうしたいかがはっきりしていない人

これらは、心が疲れやすい人の一例です。

「人は"わからない"ときに、緊張したり不安になったりします。また、わからないと不安になるだけでなく、恥ずかしいと思う人も多いのではないでしょうか。そこから、"できないやつ・弱いやつと思われたくない"という心理が働くことも。人からの見られ方や評価を過剰に気にしてしまう人ほど、相談ができず、解決に時間がかかる結果、不安な状態が長引くのです」

  • Je respire代表取締役であり臨床心理士・公認心理師の松島雅美先生

Je respire代表取締役であり臨床心理士・公認心理師として、精神科クリニックやスクールカウンセラーなど、これまでに2万5000人以上のカウンセリング経験を持つ松島雅美先生は、こう言います。

「わからないこと、できないことが恥ずかしいと思うのは、自分も人に対してそういう見方をしている傾向があります」

さらに、昨今メンタルについて「病む」という表現がされることにも、松島先生は警報を鳴らします。

「"病む"という表現は、ネガティブな印象が強すぎると思っているんです。体の調子が悪いときに不調と言ったりするように、心も不調という表現であれば、"メンタルの状態にも波があって当たり前"というとらえ方になりやすいですよね。『今日、体調崩しているんだよね』と言えるように、心も『今日、メンタル崩しているんだ』と言える世の中になればいいなと思います」

心も体も不調は誰にでもあるもの。大切なのは悪化させないことなんだとか。

「メンタルもコンディションを整える習慣が大事です。体の不調を感じたら早めに病院へ行ったり、悪化させないよう対処したりするように、メンタルも意識してケアしてあげられるといいですね」

メンタル不調になりにくい人がやっていること

続いて、心の不調に陥りにくい人の特徴として先生は3つのポイントを挙げます。

1. 優先順位をつけるのが上手な人

仕事でも人間関係でも、やるべきことの優先度を見極められることが大切。メンタル不調になりにくい人は「優先すべきことは何なのか?」「どの順番でやればよいのか?」を整理することが上手です。

2. 自己決定ができる人

自己決定は、幸福度に直結します。どんな行動をとるにしろ、自分で決めたことには納得がいくはず。他人の意見に流されてしまう人は、その責任も他人にぶつけてしまいますから、なるべく自分で決めるようにしてみましょう。

3. 行動する人

わからないことが起こったときに、ポジティブな人はすぐに視野を広げて情報を集めることができます。その情報をもとに、次の一手を見つけて動く――。すぐに行動に移せる人はメンタルがブレにくいですね。ちなみに、ここで言う行動とは、やみくもに動くことではなく、問題解決をするための行動を指します。

安定したメンタルを養うには?

体と同じく、心の不調に陥らない方法があればうれしいですよね。では、メンタルをうまくコントロールするにはどうすればいいのでしょう? 具体的な方法を教えてもらいました。

「価値観や考え方、目に見えないものを意識だけで変えることは難しいですが、行動を変えることなら今からでもできるはず。不快だと感じるなら、それはどんな不快なのか? どうすればその不快を減らせるか? を考え、行動するようにしてみましょう」

また、メンタル不調を起こす前には、肌荒れや肩こりなど、体や生活にわかりやすい不調が出てくるはず。自分の心が疲れたときのストレスサインを知っておくと、対処もしやすくなります。例えば、メンタル不調に陥る前の自分の状態を3段階にわけて書き出しておくのも一つの手です。

  • メンタル不調に陥る前の自分の状態を3段階にわけて書き出してみましょう

【例】
赤信号:メンタル不調の状態(第三者の協力が必要かも…)
→眠れなくなる、いきなり涙があふれてくる

黄信号:メンタル不調の一歩手前(すぐに休もう)
→人と会うのが億劫(おっくう)に感じる、吹き出物が顔にできる

青信号:メンタル不調の予兆(早めの対処を!)
→部屋が汚くなる、いつもはしないミスが増える

では、危険信号を察知したときの対処法は?

「快と感じることをしましょう」と、松島先生。不快を減らすための直接的な対処も大事ですが、快と不快を同時に感じることはないそうなので"快な時間"を増やすことも心を休めるには効果的だと言います。

「ストレッチをするとか、お風呂に入るとか、趣味に没頭するとか。料理が好きな人は料理でもいいですし、散歩でもいいと思います。快に感じることを実践し、不快を減らしていきましょう。"自分なりの対処法=快になる方法"は、たくさん持っているほどいいですし、見つけることも一つのスキルです。知っている人と知らない人では大きな差があるので、ぜひ見つけてみてくださいね」