【小田原 観光スポットレポ】飯泉山 勝福寺(飯泉観音) - 奈良時代…

小田原に巡礼街道という通りがあり、この道を酒匂川へ向かって進むと、やがて勝福寺にたどり着きます。真言宗東寺派に属し、坂東三十三観音第五番札所として著名です。

歴史は奈良時代にまで遡り、曽我兄弟・徳川家康・二宮金次郎など、それぞれ時代の異なる人物が参拝した記録が残っています。また、必勝祈願のご利益があるとしても有名です。

奈良時代建立の古刹

画像出典:湘南人

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勝福寺の歴史は古く、奈良時代にあたる765年(天平宝字9年~天平神護元年)にまで遡ります。僧侶・道鏡(どうきょう)が孝謙上皇より賜った十一面観音を安置するため、お堂を建立したのが始まりとされています。

歴史が深いだけあって位置と名称が変遷しています。まず位置ですが、当初は現在地より3kmほど離れた千代村という場所にありましたが、平安時代の830年(天長7年)に現在地へ移りました。

寺院名は、建立から室町時代を迎えるまでは「千葉山 弓削寺」と称され、室町時代以降は「勝福寺」と改称されています(正確な年月の記録なし。1336~1573年のどこかで改称された事は確実とされています)。

お寺の具体的な情報は下記の通り。

寺号:勝福寺(しょうふくじ) 通称:飯泉観音(いいずみかんのん)山号:飯泉山(いいずみさん)宗派:真言宗東寺派(しんごんしゅうとうじは)本尊:十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)開基:弓削道鏡法師(ゆげのどうきょうほうし)

必勝祈願のご利益あり

画像出典:湘南人

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勝福寺を訪れる目的として最も注目されるのが必勝祈願のご利益です。今も受験生をはじめ、大勢の方が参拝に訪れています。

勝福寺にそのようなご利益があるとされる由来は、歴史上の人物が実際に必勝祈願に訪れ成就している故事にちなみます。有名どころでは曽我兄弟(仇討ち)に徳川家康(小田原城攻め)。それぞれ祈願したとされており、成就については歴史の通りです。また、若き日の二宮金次郎も訪れており、観音経を聞いて深く感じ入ったと記録が残っています。

御朱印をいただく事もできますので、ここぞという時に訪れてみると良いでしょう。

坂東三十三観音第五番札所だが順番は守らなくても良い

画像出典:湘南人

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勝福寺は坂東三十三観音の第五番札所、つまり5番目に訪れる場所とされています。この坂東三十三観音というのは、鎌倉を起点に神奈川・東京・千葉・埼玉・群馬・栃木・茨城の1都6県に33か所点在する観音霊場を全行程約1300kmに渡って巡礼するものです。

当初は支配階級(上級の武士や僧侶)が巡るものでしたが、室町時代になると既に庶民も行ける旅行として定着しはじめ、江戸時代に最盛期を迎え現代に至ります。

また、見出しにあるように巡る順番は自由で、日帰りや数泊の旅程を複数回に分けて巡ってもOKです。ただし坂東三十三観音の公式サイトによれば、輪袈裟と数珠は持参すべきとされています(持っていかないと許されない訳ではありません)。

神社と隣合わせ

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勝福寺には敷地を共有するような感覚で八幡神社が隣接します。境界線がどこにあるかさえ分からず、推定樹齢700年のイチョウの木(神奈川県指定重要文化財)を通り過ぎると、自然と八幡神社の境内に入り込みます。

少し不思議な感じもしますが、これは古来の日本が神仏習合であった名残です。今でも神棚と仏壇が両方ある家が珍しくないように、かつては神社と寺が一体となっている事が自然だと考えられていました。

宗教観的には、現代ではキリスト教も加わって神仏キリスト習合状態のため、日本人の根源的な考え方を再確認できる場所ともいえます。

行事

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勝福寺の主な年間行事です。

1月: 正月三が日初詣元旦護摩1月18日: 初観音8月9・10日: 四万八千日12月17・18日: 歳の市(だるま市)12月31日: 除夜の鐘

まとめ

勝福寺は奈良時代に建立された、真言宗東寺派のお寺です。必勝祈願のご利益があるとされており、また坂東三十三観音第五番札所でもあり、大勢の人が参詣する場所です。

古刹なだけに歴史上の人物が参拝した記録も残っており、悠久の時の流れに想いを馳せる事のできる場所といえるでしょう。御朱印をいただく事もできますので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

飯泉山 勝福寺(飯泉観音)

開門時間:

8:00~17:00

休寺日:

なし

アクセス

公共交通機関:JR小田原駅東口6番バス乗り場より「新松田・下曽我行き」へ乗車後、「飯泉観音前」にて下車。

自動車:国道255号線の桑原交差点より国道711号線へ入ってずっと直進。※小田原方面からは国道255号線の飯泉交差点より巡礼街道へ入る伝統的なルートもあるが、こちらは軽自動車でさえすれ違いに難儀するほど細い生活道路に入るため、2輪車以外は711号線の利用を推奨します。2輪車であっても騒音の大きい場合は711号線の利用を推奨します。

住所:〒250-0863 神奈川県小田原飯泉1161駐車場あり(無料)普通車10台ほど問い合わせ先:勝福寺 : 0465-47-3413小田原市文化財課 : 0465-33-1717小田原市観光課 : 0465-33-1521