サントリーの糖質ゼロビール「パーフェクトサントリービール」が、12月製造分からリニューアルしている。目を引く缶のデザインだけでなく、飲みごたえをさらに向上させているという。さっそくフライドチキンと一緒に楽しんでみた。
物足りない“糖質ゼロビール”はどう変わった?
サントリーの「パーフェクトサントリービール」(以下、PSB)は、健康志向のビールファンに向けて発売された商品だ。“糖質ゼロ”を実現しながらもしっかりとビールの味わいを残しており、40歳を超えてから体重が10kg以上増してしまった筆者もたびたび楽しませてもらっている。
だがビールが大好きな人たちからすると、“妥協して選ぶ商品”であることは否めないだろう。発泡酒や第三のビールと比べるとはるかに“ビール”なのだが、キレはあってもやはり飲みごたえが物足りないのだ。これはPSBのみならず他の糖質ゼロビールでも大差なく、ビール好きにとってはあくまで「糖質ゼロビール」というジャンルの商品だった。
そんなPSBが、2024年12月よりデザインと中身をリニューアルした。今回はリニューアル前のPSBがまだ残っているうちに、飲み比べてみたいと思う。
店頭でも目を引くニューデザイン
サントリーは2025年事業方針の会見においてビール類各ブランドのリニューアルを発表しているが、その中でもっとも大幅なデザイン変更が行われたのがPSBだ。
旧PSBの缶は、どこかトラディショナルな缶ビールをイメージさせるビールらしいデザインだと感じていたが、それゆえに売り場では埋もれ気味だったように思う。
一方、新PSBは黒と金を基調とした、これまでビール缶ではあまり見なかったデザインだ。“おいしさと機能性”を伝えるというコンセプトがしっかり伝わってくるし、売り場でも目立つ良デザインではないだろうか。
力強い味わいでビールらしさがより向上
それでは味わいの変化を確認していこう。同じPSBだけに、グラスに注いだ時点での違いはほぼなく、色の見わけも付かない。香りを比べると新PSBのほうが若干麦の香りが強いようにも感じるが、誤差レベルだろう。
だが、味わいは思いのほか異なる。旧PSBはどちらかというと“キレ”がはっきりとしているが、新PSBは風味が力強く、より麦の甘みが引き立っている。個人的に旧PSBの後味にはちょっと発泡酒感を覚えていたのだが、新PSBにはそれがないのが好印象だ。
サントリーは“糖質がゼロになるまでじっくりと発酵させながらおいしさを生み出す独自の発酵技術”を「贅沢発酵」と呼んでいるそうだが、この効果が飲みごたえに現れているのかもしれない。
フライドチキンと新・旧PSBを合わせてみる
せっかくの糖質ゼロビールなので、日本でおそらく一番有名なフライドチキンとともに味わってみることにする。
食べ物と合わせてみると、新・旧PSBの違いをよりはっきりと感じた。旧PSBはフライドチキンの油を洗い流すようにグイっと飲むとさっぱりして良かったが、新PSBはより食べ物のおいしさを引き立てているように思う。
ビールの持つ甘味とうまみが「さあ、もっとフライドチキンを食べましょうよ」とささやいているかのようで、結局チキン3本を食べきってしまった。なのに糖質はゼロなのだから考えてみると不思議だ。気分的にはゼロカロリーである。サントリーの醸造家の努力と工夫には感謝しかない。
サントリーは、ビール類事業において「プレミアム」「スタンダード」「エコノミー」「健康」の4つを柱としている。PSBは「健康」における主力製品のひとつだけに、今回のリニューアルは力が入っているのではないだろうか。「糖質ゼロビールはちょっと苦手」という人も、ぜひ一度試してみてほしい。