JR西日本と大阪ガスは、湖西線における強風予測システムを2月から本導入すると発表した。2019年から両社による共同研究が進められ、2022年から湖西線で試験導入されていたもので、試験結果が良好だったことを受けて本格導入を決めた。
強風予測システムは、大阪ガスの高解像度気象予測技術とJR西日本のAI技術を組み合わせたもので、湖西線沿線(大津京~近江塩津間周辺)に設置した14カ所の風速計の風速・風向データをもとに、24時間先までの風速や風向を高精度に予測する。
湖西線は「比良おろし」と呼ばれる特有の強風が吹きやすいエリアで、これまでは安全確保のため、特急「サンダーバード」の琵琶湖線経由での迂回運転や、普通列車の事前運転見合わせを行っていた。しかし、従来の予測では、こうした対策を講じたにもかかわらず実際には風の吹かない「空振り」が多く、予測精度の向上が課題となっていた。
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強風予測システムの概要
2022年から湖西線で試験導入していた強風予測システムにより、強風予測精度が従来より向上し、空振りの発生割合が約4割減少する結果を得られたという。これにより、約30分の遅れをともなう特急「サンダーバード」の不必要な迂回運転の大幅削減が可能となった。また、これまで強風発生時に近江舞子駅で普通列車を折り返していたが、細かい区間ごとの予測が可能になったことにより、運転区間を5駅先の近江今津駅まで延長できるようになるという。