新年を迎え、今年こそは「TOEIC ●●●点!」などと新たな目標を立てた人もいると思います。また、保護者の立場から、子どもの受験や英検など資格試験の合格に向けて、心の底から応援されている人もいるでしょう。

そのような人にとってまず思いつくのは、学習書選びだと思います。今回は、英語学習者にとっての参考書・問題集選びにおける3つのコツについてお話しさせてください。

  • 失敗しない「英語の参考書・問題集」選びのコツ3選

■1. 書籍名ではなく著者名や出版社で選ぶ

書店やインターネットで、学習書を選んでいるときに避けたいことは、「書籍名」を基準にして学習書を選んでしまうことです。

学習書に限らず、世の中にあるどのような商品も、そのネーミングは大きく売り上げに関わります。誰もが知っている「お~いお茶」は、以前の「缶入り煎茶」から「お~いお茶」に改名した直後、売り上げが急増したという話はマーケティング業界では有名です。

学習書選びにおいては「著者名や出版社」を基準にすることをおすすめします。まず、著者が同じであれば、単語集、文法書など用途が異なっても、それらの解説法やコンセプトのブレが少ないはずです。また、学習の理解度という点からも、著者との"相性"は非常に大切です。

誰もが学生時代、〇〇先生よりも△△先生の方がわかりやすいと感じた経験があるはずです。そして、このような意見は生徒間でも違っていたでしょう。先生の教え方と生徒の理解度には相性があるのです。これは「英語学習書」においても同じことが言えます。つまり、「誰が書いたか(著者名)」は、英語の学習書選びにおいて大切なポイントとなるのです。

「〇日間で完成……」「たったコレだけで〇〇点アップ!」など"キャッチ―なタイトル"を持つ学習書も世の中にたくさんあります。ですが、このような奇跡は少なくとも自分には起こらないと考えた方が賢明です。

ちなみに、「電子書籍で勉強してもいいのか?」という質問をしばしば受けます。この件については、ふだんから電子書籍を使用することに慣れているのであれば、問題ないと思います。電子書籍を活用する方が、ちょっとしたスキマ時間に学習できるので、効率的な学びにつながることもあるでしょう。

■2. 一冊を完璧にする

絶対に避けたいことは、英語学習書の「買いすぎ」「持ちすぎ」です。英語学習においては、「同じ一冊を完璧」にすることが大前提。つまり、単語集でも、文法集でも、予想問題集でも、2種類以上持つことは絶対に避けるべきです。

特に、思うように英語力が上がらないときに、自分が今使っている学習書から他の学習書に乗りかえてしまいがちですが、自分の選んだ一冊を信じて、その一冊を使いこなすべきです。

「同じ一冊を完璧にする」というのは、「10割」「100%」のことです。8割や9割の理解度ではなく10割、つまり"完璧に理解する"のがコツです。8割程度の理解で満足して、この学習書は理解できたと勘違いして、新しい一冊に手を出してしまう人を見かけます。

これでは、残りの2割が理解されないままの状態です。問題なのは、この2割に重要なポイントが含まれている場合が多く、入試や資格試験などであれば、合否を分けるポイントになっていることがよくあります。

また、8割の理解で次の新しい一冊に進んでしまった人の場合、その新しい一冊でも8割の理解で、次の一冊に進んでしまう傾向にあります。その2冊の理解されていない2割の部分は、同一内容であることが多いため、まずは一冊を完璧にすることを心がけましょう。

■3. 口コミは過信しない

英語学習書への感想(口コミ)は、その人の英語力によって大きく異なります。例えば、一つの文法事項の説明に対して、英語力が高く、その文法事項を熟知している人にとっては、「説明が長い」になってしまいます。一方、英語学習を始めたばかりで、解説されている文法の知識が乏しい方には「説明がわからない(短い)」となってしまいます。

私も数冊の英語学習書を執筆し、それらのAmazonなどのオンライレビュー(口コミ)を読むことがありますが、その書籍の想定ではない読者層からの口コミは低くなる傾向があります。

そのほか、書籍の帯に書かれている「〇〇氏推薦」などの言葉についても、きちんと吟味し、そのまま鵜呑(うの)みにするのはやめましょう。口コミや他者の評価だけを頼りにするのではなく、自分の目で内容を確かめてから購入するのをおすすめします。

■さいごに…

ここまで、英語学習書選びのコツを3点お話ししましたが、どうしても決められないという方もいるでしょう。そのような場合の私のおすすめは「ベストセラー」を選んでみることです。

TOEIC対策なら『出る単特急 金のフレーズ』(朝日新聞出版刊)、大学入試シリーズなら『やっておきたい英語長文』(河合出版)、英文法書なら『一億人の英文法』(東進ブックス)などです。

ベストセラーになるには、それなりの理由があります。迷った場合は、これらのベストセラー書を実際に書店でチェックしてみるのもありでしょう。