
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。デルウィンの愛車、1946年タトラT87の不具合が露見。自分で直すには限界があるのを悟った彼は、降参してプロに委ねることにした。
【画像】燃料系の問題でプロの手に委ねられることになったデルウィンのタトラT87(写真6点)
これまでの話をまとめてみよう。私の手元にやってくる前にT87に搭載されていた独自の電子点火システムをポイント式のデスビに戻し、動くようにはなった。しかし、下の方からいつも「カチャ、カチャ」という音がするようになってしまった。そして家の周辺を一回りしようとしたとき、フロントブレーキが焼き付いていることがわかったのだ。
ハンマーで叩いたりテコで引いたりして一日中大変な思いをして、なんとかブレーキドラムを取り外すことができた。そうして、ブレーキシューにかかる圧力を和らげるため、ブリードニップルを開けてみた。しかし、うまくいかなかった。ブレーキシリンダーを取り外し、洗浄してから再び装着したのだが、1週間乗らなかったらまた固着してしまった。
次はこうだ。この”ビースト”は突然、何秒もの間、走ることを拒否するようになった。燃料不足であることはかなり明白だったが、キャブレター内部を調べてみると、驚くほど大量の「緑色のスラッジ(かす)」が見つかった。そこで、もう一度清掃を行い、新しいニードルバルブを取り付けたのだが、うまくいかなかった。
ついに私は降参し、スチュワーツ・トーイング・サービス社のハリーに電話をかけた。最悪な状態で止まってしまったT87を、イースト・サセックス州ルイス近郊のロートンへ送ることにしたのだ。そこには、いつも世話になっているヴィンテージカーの専門家、ベンとヤノスがいる。
まずは燃料の問題を解決すること、それが最初の仕事だった。燃料タンクにスティックを差し込むと、緑がかった沈殿物の層が見えた。そのため、大がかりな浣腸のような作業を実施する以外に、賢明な選択肢はなかった。つまり、タンクを取り出して洗浄し、燃料パイプを徹底的にブローしてすべての汚れを出したのだ。
ヤノスはタンクを取り外し(ブレーキフルードリザーバーや中央の潤滑オイルリザーバーなどの部品がボルトで固定されていたので、私には実行する勇気がなかった)、ダッシュボードの下にあるリザーブバルブとオンオフバルブも修理してくれた。これらは、私が車を購入して以来機能していなかったものだ。電動のフュエルポンプも、「緑色のスラッジ」の粘着質にまみれていたので、これも剥がしてきれいにした。フィルターキング製の新品の燃料レギュレーターも装着された。キャブレターは、完全に分解して洗浄した後、ヤノスが新しいガスケットでリビルドしてくれた。
その後すぐに、進捗状況の新たな動画が私の携帯電話に送られてきた。その中のタトラは、8気筒すべてで素晴らしいサウンドを奏でていて、なんとも嬉しくなった。
制動系パーツについては、ブレーキシリンダーとマスターシリンダーのスリーブ交換も行うことに。その「ついで」で、フロントブレーキのライニングも新調することになった。
電話を心待ちにしながら運転して帰宅すると、また動画が送られてきた。良いニュースというか、実は悪いニュースでもあったのだが…。路上テストで、例の「カチャ、カチャ」いう音の発生源が判明したという。この音は回転音だったので、ブレーキシステムの何かがバッキングプレートに触れているのだ、と私は考えていた。私の推測は大きく外れてはいなかった。実際、ほんの数インチずれていただけだった。フロントサスペンション上部の穴が摩耗して楕円形になっていた。そのせいで、動画で見たように、ブレーキのアセンブリ全体が取付ピンの上で動くようになっていたのだ。これはまずい。…次回のレポートをお楽しみに。
文:Delwyn Mallett