異国情緒あふれる神戸などの都市部を有する一方で、山と海に囲まれた自然豊かな景観も楽しめる、魅力たっぷりの兵庫県には、毎年国内外から多くの旅行者が訪れています。

この記事では、ご当地グルメや古くから伝わる伝統行事など兵庫県の魅力をさまざまな角度から紹介していきます。

  • 兵庫県ってどんなところ?

    兵庫県にはさまざまな特色があります

兵庫県の魅力とは

兵庫県は、日本のほぼ中央に位置している近畿地方の県です。古くから港町として栄えており、外国との交流も盛んなため、国内からの旅行者だけでなく、海外からの旅行者からも人気があります。まずはそんな兵庫県について、その特徴を詳しく見ていきましょう。

都会も自然も! 楽しみ方が豊富

兵庫県は全国で12番目の広さがあり、日本海、瀬戸内海、太平洋に面しています。神戸港があり古くから人の往来が多かったことから、現代でも関西、近畿地方周辺の文化や流行の発信地です。

人口は5,459,867人で、これは全国第7位です(令和5年1月時点)。都会的なショッピングエリアや繁華街がある一方で、明石海峡や淡路島、六甲山など雄大な自然を感じられるスポットも数多く存在し、都会も自然も存分に楽しめる県です。

特色ある5つのエリア

廃藩置県以前の昔、現在の兵庫県は播磨、摂津、丹波、但馬、淡路の5つの国に分かれていました。これら5つのエリアは、それぞれに特色があります。

名称 エリアの特徴
播磨エリア 播磨は兵庫県の南西部に位置するエリアです。ユネスコの世界文化遺産に登録されている姫路城をはじめ、忠臣蔵で有名な赤穂城跡や「播磨の小京都」とも言われる龍野の城下町など、歴史と伝統が息づいています。
摂津エリア 摂津エリアは兵庫県の南東部に位置しています。摂津国は現在の摂津エリアよりも広く、大阪府の摂津市付近まで広がっていました。摂津エリアには神戸市や尼崎市、芦屋市などがあり、モダンで都会的な地域です。
丹波エリア 兵庫県の東部に位置する丹波エリアは、ゆったりとした穏やかな雰囲気を味わえる地域です。有名な黒大豆はもちろん、松茸や栗、鹿肉、猪肉などの魅力的な食材が多くあります。日本六古窯の一つ、丹波焼も有名です。
但馬エリア 兵庫県北部の但馬エリアは、中国山地や日本海に近い、自然豊かなエリアです。城崎温泉や竹田城跡などがあります。神戸牛や松阪牛などのブランドビーフのルーツである但馬牛が特産です。
淡路エリア 兵庫県と徳島県の間の瀬戸内海に浮かぶ島が淡路島です。世界有数の大きさを誇る渦潮があり、島全体が四季折々に咲き誇る花々で彩られます。温暖な気候でさまざまな食材が有名ですが、中でも有名なのはタマネギです。

バラエティ豊かな文化

兵庫県は、古くから日本だけでなくさまざまな国の人が集まり、交流してきました。そのため、伝統的な日本文化にとどまらない、バラエティ豊かな文化が発展してきたのです。

たとえば国の指定重要無形民俗文化財でもある淡路人形浄瑠璃や、神戸港の開港によって訪れた外国人からもたらされた洋菓子などの西洋文化があります。近年では宝塚市を本拠地とする宝塚歌劇団や、全国高等学校野球選手権大会が開催される西宮市の甲子園も、全国的に知られています。

兵庫県の有名な食べ物・ご当地グルメ

兵庫県はその広大な県土に肥沃な自然を有しており、海の幸にも山の幸にも恵まれています。県内の魅力的な食材をふんだんに利用したご当地グルメも多く考案されてきました。

そこでここからは、兵庫県のおすすめご当地グルメを紹介します。

但馬牛

  • 絶対食べたい! 兵庫県のご当地グルメ

    赤身と脂肪のバランスがよく、良質なサシが入った但馬牛

但馬牛は、平安時代からその価値が認められていた和牛です。但馬牛としてはもちろん、神戸牛や松阪牛などの素牛として各地で大切に育てられ、ブランド牛の看板を背負って出荷されます。きれいな水と豊かな緑に囲まれてのびのび育つことで、赤身と脂肪のバランスがよく、良質なサシが入った牛肉となるのです。

肉の旨みや脂の甘みを堪能できるステーキやすき焼きで食べるのもよいですが、但馬の郷土料理でもある「じゃぶ」もおすすめの食べ方。じゃぶとは肉と糸こんにゃく、豆腐、ネギやゴボウなどの野菜を、水を使用せずに煮る料理です。

明石焼き

  • 絶対食べたい! 兵庫県のご当地グルメ

    コリコリとした歯ごたえのタコがふんわりした生地にくるまれている明石焼き

兵庫県明石市は、マダコの漁獲量が国内トップクラスということで知られています。潮流が激しくエサが豊富な明石海峡で育ったタコは、歯ごたえがあって旨みが強いのが特徴です。そんな明石のタコをふんだんに使ったご当地グルメが明石焼きです。地元では「玉子焼」という名前でも親しまれています。

コリコリとした歯ごたえのタコがふんわりした生地にくるまれており、だし汁につけて食べるのが基本です。

ぼっかけ焼きそば

  • 絶対食べたい! 兵庫県のご当地グルメ

    とろとろの牛すじと味の染み込んだこんにゃくがほどよいアクセントになるぼっかけ焼きそば

「ぼっかけ」とは、こんにゃくと牛のすじ肉を甘辛い味付けでじっくり煮込んだものです。他の地域では「すじこん」という名前で食べられていることもあります。このぼっかけは、関西の家庭でも頻繁に食べられているソウルフードです。

そのぼっかけを焼きそばに入れたものがぼっかけ焼きそばで、特に神戸市の長田区周辺でよく食べられます。とろとろの牛すじと味の染み込んだこんにゃくがほどよいアクセントになり、甘辛いしょうゆ味のぼっかけとソース味の焼きそばが絶妙なハーモニーです。

活気あふれる兵庫県の伝統行事

兵庫県の祭りや伝統行事は地域ごとに特色があり、季節の風物詩として現代に受け継がれています。ここでは、兵庫県で行われる代表的な伝統行事について、いくつかピックアップしてご紹介します。

  • 活気あふれる兵庫県の伝統行事

    春節祭は神戸市の地域無形民俗文化財です

十日戎

十日戎(えびす)とは、毎年1月9日から11日に行われる商売繁盛祈願のお祭りです。大阪や兵庫をはじめ、関西地方で有名なお祭りで、関東地方の酉の市と同様に熊手を購入して商売繁盛を祈願します。えびすは七福神の一人である恵比須様のことで、地元の人々は親しみを込めて「えべっさん」と呼びます。

十日戎自体はさまざまな神社で行われますが、兵庫県の十日戎といえば西宮神社が有名です。本戎となる1月10日には、福男選びが行われます。

春節祭

兵庫県の南京町は、横浜や長崎と並ぶ日本三大中華街の一つです。その南京町で春節を祝うために行われるのが春節祭です。春節とは中国の旧正月のことで、日本のお正月のように大切にされ、盛大に祝われています。

春節祭では中国伝統の変臉や雑技、獅子舞などのパフォーマンスを見られたり、街全体が鮮やかに彩られたりするため、日本国内だけでなく海外からの旅行者にも人気のお祭りです。中華料理や中国の伝統文化を楽しみながら、国境を越えた交流ができます。

けんか祭り

けんか祭りと呼ばれる祭りは全国各地で開催されていますが、兵庫県のけんか祭りといえば、姫路市にある松原八幡神社で毎年10月14、15日に行われる「灘のけんか祭り」です。屋台の練り合わせや、神輿を激しくぶつけ合う様子からけんか祭りと呼ばれるようになったと言われています。

10月14日は宵宮、10月15日は本宮と呼び、例年10万人以上の人が訪れる、全国でも規模の大きなお祭りです。神輿どうしが激しくぶつかり合うため、安全に観覧できるよう柵を設置するなどの対策が施されています。特等席で祭りを見物できる桟敷席が発売される場合もあります。

歴史に親しむ兵庫県の観光名所

古くからの街並みや文化を大切にする地域性もあり、兵庫県内にはさまざまな時代の史跡が県内各地に遺されています。ここでは、数ある史跡の中でも特に有名なものを紹介します。

竹田城跡

  • 歴史に親しむ兵庫県の史跡

    竹田城跡は「日本のマチュピチュ」とも呼ばれます

竹田城跡は、1443年頃に但馬を守護していた山名宗全が築かせたと言われています。その後長く関西の軍事的な要となっていました。

自然の地形を利用した山城で、防御性が高いのが特徴です。秋から冬にかけては、天候状況によって雲海が見られます。城跡が雲の上に浮かんでいるかのような幻想的な風景は、「日本のマチュピチュ」とも呼ばれる絶景です。

城跡が山頂にあるため、登城までにはJR竹田駅から徒歩で40分ほどかかります。山の中腹にある駐車場まではタクシーや周遊路線バスの「天空バス」で行くことも可能です。中腹駐車場からは徒歩で20分前後かかります。

姫路城

姫路城は、1346年に赤松貞範によって築城された城です。歴代の城主は黒田孝高や羽柴秀吉などが務めていました。改築や増築を経て、最終的に池田輝政が1609年に5重7階の連立式天守を完成させ、今日見られる姫路城の姿になりました。

天守や櫓など、城の主要な建築物が現存している貴重な文化財である姫路城は、国宝や重要文化財、特別史跡、ユネスコの世界遺産に指定されています。城壁が白の漆喰で塗られており、その美しさから「白鷺城」とも呼ばれています。

戦火や自然災害から奇跡的に生き延びていますが、経年劣化は避けられません。美しい姫路城を未来の世代に受け継いでいくためにも、定期的に修理や修復が行われています。JR姫路駅から徒歩約20分の場所にあり、アクセスも抜群です。

旧神戸居留地十五番館

旧神戸居留地十五番館は、1880年頃に当時のアメリカ合衆国領事館として建てられた洋館です。建物の外観は、いわゆるコロニアルスタイルで、明治初期のクラシカルな雰囲気とモダンなデザインの調和を楽しめます。

その昔、旧居留地には多くの外国人が住み、たくさんの建物が建てられていましたが、現存している建物はこの十五番館のみで、国の重要文化財に指定されています。この建物も1995年の阪神・淡路大震災で被災して倒壊してしまいましたが、倒壊前の部材を使い、当時最新の免震工法で復元されました。現在はレストランになっています。

ゆったりリフレッシュ! 兵庫県のおすすめ温泉

兵庫県の温泉は古くから有名で、県内のさまざまなエリアに数多くの源泉が湧き出ています。他の地域からのアクセスもよい兵庫県の温泉は、手軽に日常の喧騒から離れてリフレッシュできる場所としても魅力的です。

ここではそんな日本有数の温泉地の中でも、特に人気の温泉をチェックしていきましょう。

  • ゆったりリフレッシュ! 兵庫県のおすすめ温泉

    温泉でゆったりリフレッシュしましょう

城崎温泉

城崎温泉は、兵庫県豊岡市にある温泉街です。道智上人という僧侶が難病で苦しむ人々を救うために開いたと言われています。

外湯と呼ばれる公衆浴場があり、浴衣を着て風情ある温泉街を歩きながら外湯をめぐる「外湯めぐり」が人気です。また、日本海に近いので、カニをはじめとした海の幸にも恵まれています。

名だたる文豪が愛した名湯でもあり、温泉街には志賀直哉や島崎藤村をはじめ、多くの文学碑が建てられているので、街歩きと一緒に文学碑巡りをするのもおすすめです。

有馬温泉

日本三古湯の一つである有馬温泉は、1400年以上の歴史がある温泉です。枕草子など歴史的な書物にも登場しており、豊臣秀吉が訪れ、贔屓にしていたとも言われています。

有馬温泉には金泉と銀泉、2種類の温泉があります。金泉は含鉄強塩泉という濁った赤褐色のお湯です。鉄分や塩分が豊富なため保温効果や保湿効果が高いと考えられています。銀泉は無色透明で、ラドン泉を含むものと炭酸を含んだものがあります。

神戸市北区に位置し、東京や大阪からのアクセスもよいため日帰り温泉の利用も人気です。

湯村温泉

兵庫県北西部に位置する湯村温泉は、山陰の名湯とも呼ばれ、平安時代に発見された歴史ある古湯です。渓谷や原生林が近く、冬になれば雪も積もるような豊かな自然に囲まれており、風情ある街並みになっています。

温泉は無色透明で肌に優しい弱アルカリ性の泉質です。飲むこともでき、重曹が含まれているため口に入れるととろみを感じます。

温泉街の中心には天然掛け流しの足湯があり、ゆったりとくつろぎながら足を温められるのも魅力的です。

幻想的な世界へ! イルミネーションスポット

兵庫県の冬の観光スポットといえば、イルミネーションを思い浮かべる人も多いでしょう。特に神戸は日本でも指折りの夜景の名所として有名です。冬季のイルミネーションにも力を入れており、大規模なイルミネーションイベントが各地で開催されています。

ここからは、おすすめのイルミネーションスポットを紹介します。

  • 幻想的な世界へ! イルミネーションスポット

    兵庫県ではイルミネーションも楽しめます

神戸ルミナリエ

神戸ルミナリエは、毎年1月下旬に東遊園地や旧居留地、メリケンパークにて行われるイルミネーションです。阪神・淡路大震災からの復興や犠牲になった人々への鎮魂、後世の人々に震災の記憶を語り継ぐと共に、これからの未来へ続く希望のシンボルとして1995年より開催されています。

毎年作品のテーマを設定してデザインを作成。イタリアから手配した部材を神戸でイタリア人の職人と共に組み立ています。全長79mの光の回廊など、大迫力で美しいイルミネーションが魅力のイベントです。

神戸イルミナージュ

神戸イルミナージュは、道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢で行われるイルミネーションです。毎年11月から2月頃まで開催されるので、予定を合わせて訪れやすいイベントになっています。

幻想的なアラビアンパレスや光のトンネルなど、さまざまなイルミネーションを楽しめます。会場ではモンキーショーも開催されるので、唯一無二の思い出になることでしょう。期間中の週末には、JR三田駅から無料の送迎バスが運行される予定です。

兵庫県のいいところや特徴を多数紹介しました

兵庫県には四季を通じて食、文化、観光、歴史などさまざまな魅力があります。兵庫を訪れるたびに新たな発見と感動に出会い、その魅力により引き込まれていくので、何度訪れても飽きることがないエリアです。

初めて兵庫県を訪れる人も、何度も訪れたことがある人も、ぜひ魅力あふれる兵庫県を満喫してください。