東京商工リサーチは、2024年12⽉「トランプ次期⼤統領」に関するアンケート調査の結果を12月17日に発表。同調査では、2024年12月2日~9日の期間で日本企業6,647社を対象にインターネットで実施した。
2025年1月にトランプ氏の大統領就任が決定したことについて、各企業にどのような影響があると予想できるかという質問に対し、「分からない」が37.5%で最多となった。影響を測りかねている企業が多い一方、選挙前の8月調査(50.6%)から13.1ポイント低下し、影響を認識し始めた企業が増えている。
「プラス」の回答は8.6%で、内訳は「大いにプラス」が1.3%、「少しプラス」が7.3%となり、8月調査(7.4%)から1.2ポイント上昇。一方、「大いにマイナス」4.7%と「少しマイナス」23.4%を合計した「マイナス」は28.1%となり、「プラス」を19.5ポイント上回る結果に。
「マイナス」は、8月調査(16.3%)から11.8ポイント上昇し、「プラス」の上昇ポイントを大幅に上回った。
産業別でみると、農・林・漁・鉱業、不動産業、情報通信業、サービス業他を除く6産業で「分からない」の構成比が最大だった。不動産業、情報通信業、サービス業他は「影響なし」、農・林・漁・鉱業は「マイナス」の構成比が最大に。
10産業のうち、「プラス」構成比が最も高い産業は、金融・保険業の14.4%だった。次いで、運輸業が13.2%、小売業が11.8%と続き、「プラス」が1割を超えたのは4産業。一方、「マイナス」構成比が最も高い産業は、農・林・漁・鉱業の43.5%となった。次いで、製造業の34.5%で、卸売業が34.2%と続いた。
10産業すべて「マイナス」が「プラス」を上回ったが、8月調査では「マイナス」が20%以上は3産業のみで、30%を超える産業はなかった。今回は、「マイナス」が40%以上が1産業、30%以上が2産業で、「マイナス」の構成比が拡大した産業が目立つ。
産業を細分化した業種別では、「プラス」の最高は、金融商品取引業,商品先物取引業の29.4%だった。 次いで、各種商品卸売業(28.1%)、インターネット附随サービス業(25.0%)、道路旅客運送業(23.5%)と続き、「プラス」回答が2割を超えた業種は4業種(8月調査2業種)となった。
「マイナス」は、非鉄金属製造業が58.0%でトップ。次いで、ゴム製品製造業(51.8%)、パルプ・紙・紙加工品製造業(47.4%)となった。上位9業種で「マイナス」回答が4割を超えている。なお、上位10業種では8業種が製造業という結果に。
トランプ次期大統領の政策で注目することについては、6,046社から回答を得た。最多回答は「通貨・為替政策の在り方」の52.4%という結果に。産業別では卸売業、小売業、金融・保険業、不動産業の4産業で構成比が最高となった。
次いで、「関税政策の在り方」が51.5%、「台湾有事を含めた中国との関係性」が 50.8%と続き、3項目で構成比が50%を超えた。10月調査では、地政学リスクの高まりから、ロシアや中国との関係性への関心が高かったが、 今回調査では通貨や関税政策への関心が高まった。
前の質問でトランプ氏大統領就任の影響を「プラス」・「マイナス」と予想した回答別で政策注目点を比較した。「アメリカで産出されるエネルギー源の供給方針」は、「プラス」(30.2%)が「マイナス」(19.0%)を11.2ポイント上回る結果に。
また、「関税政策の在り方」は23.7ポイント、「保護主義政策・貿易協定の在り方」は20.5ポイント、それぞれ「マイナス」が「プラス」を上回った。 「その他」では、「日本製鉄によるUSスチール買収計画の動向」や「在日米軍駐留費用の動向」などに関心を寄せる意見もあった。