ドジャース、今オフの戦力補強はどうなる!? 来季に向けたFA戦略、再契…


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 オフシーズンに入り、FAとなる選手の動向が注目される時期となったメジャーリーグ。今季世界一に輝いたロサンゼルス・ドジャースでも、主軸として活躍したテオスカー・ヘルナンデスなど、今オフFAとなる選手の動向が注目を集めている。そこで今回は、ドジャースのオフの方針、再契約候補となっている選手について纏めた。(文:Eli)
 

今シーズンのメジャーリーグは
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ドジャース、オフの大きなポイントは?

 
 今オフのドジャースが掲げる目標は3つ。優先度が高い順に、イニングを食える先発1人、ベテラン外野手1人、ベテランリリーフ1人となる。野手・投手双方のデプス確保など他にもやることはあるが、とりあえずはこの3つだ。
 
 1つ目のイニングイーターについて、昨オフにタイラー・グラスノー、山本由伸、大谷翔平と最大出力の高い先発を集めたドジャースだが、2年連続規定投球回を投げた投手がいないという事態に陥ってしまった。
 

 
 MLB全体の傾向やドジャースの育成方針などもあり、これは大方予想されたことだったが、2年連続で先発デプスをひっくり返して投手をやりくりすることになってしまった。
 
 既に年俸総額が贅沢税課税第二基準値を超えてしまっているため、大物FAには手を出さず、今季のマイケル・ワカ、セス・ルーゴのようなイニングイータータイプを4年契約くらいで連れてくると予想していたが、大谷マネーが予想以上に多く、今オフも大きく動くようだ。
 

 
 2つ目のベテラン外野手。ドジャース外野陣はこのままいけばRFアンディ・パヘス、CFトニー・エドマン、LFドルトン・ラッシングとなりそうだが、地に足の着いた外野手が1人もいないことになってしまう。
 
 このため、ベテラン外野手を1人連れてこようと言うわけだ。最有力はテオスカーとの再契約だ。GMミーティングにおいてブランドン・ゴームスGMは「早急に話を始める」と発言している。可能性は低いが、今オフ最大物FAであるフアン・ソトとの契約も画策しているようだ。
 
 3つ目のベテランリリーフ。これはブレイク・トライネン、ダニエル・ハドソン、ジョー・ケリーとブルペンの重しとなり得る経験豊富な投手が抜けてしまったので、1人加えておきたい。
 
 今季怪我からの復活を遂げたトライネンと再契約するも良し、層が厚いFAから連れてくるのも良しだ。







ドジャースの再契約候補となる選手は…?

 
 次に、2024ドジャースからFAとなり退団の可能性がある選手を見ていく。
 

テオスカー・ヘルナンデス
 
 ドジャースが再契約に動くかだが、可能性は高いがリスクはある。問題は年齢だ。MLB全体の傾向で30歳を過ぎるとパワーは下降期に入る。
 
 打者の潜在的パワーを示す最大打球速度でテオスカーは2021年の115.7マイル(約186キロ)、22年114.1マイル(約183キロ)、23年112.6マイル(約180キロ)、24年114.1マイル(約183キロ)と30代に突入しても力を維持している。
 
 しかし32歳シーズンの来季から5、6年の契約を結ぶとなると話は変わる。基本は両翼の外野手。守備で価値を生められない選手のパワーが消失したときには何もできなくなってしまう。
 
 再契約するとしたら3,4年8000万ドル程度が上限で、それ以上なら他を探すことになるだろう。
 

 
ウォーカー・ビューラー
 ウォーカー・ビューラーの再契約判断は、ポストシーズンでの活躍をどう評価するか、と言う問題になる。
 
 レギュラーシーズンを75.1回、防御率5.38、奪三振率18.6%という結果で終えたビューラーだが、ポストシーズンでは15.0回、防御率3.60、奪三振率20.6%と成績を大きく改善させた。
 
 これにはビューラーの投げる球が大きく改善したことが理由として挙げられる。
 

 
 表の通り、ニューヨークでの2回の登板で投球に大きな向上が見られる。これはビューラーがシーズンを通して取り組んだトミー・ジョン手術への適応がついに結実した、と見ることもできる。
 
 一方で変化があまりにも瞬間的かつ大きいことから、米メディア『The Athletic』のEno Sarris氏はニューヨークの低い高度、気温、そして海の近くにあることによる環境の変化を要因として挙げている。
 
 ビューラーは今オフ単年契約で落ち着け、来オフ以降勝負をかけるか、あるいは3,4年程度の中規模契約を結ぶかの2つの選択肢があると思われるが、前述の改善が来年も続くと評価するか、あるいはレギュラーシーズン中のビューラーが真の姿であるとするかで、ドジャースが再契約に踏み切るかどうか、そしてどのような契約を結ぶかの分水嶺となる。
 
 再契約を最優先とするなら単年1500万ドルが上限のリスクが少ない契約が良いだろう。






評価が分かれる…?プレーオフの功労者も

 
キケ・ヘルナンデス
 ファン感情が最も絡んでくるのがエンリケ・ヘルナンデスの去就だ。長年ドジャーブルーを身に纏い、ポストシーズンでは数多くのクラッチヒットを打ってきた。
 
 そして今季のポストシーズンも多くのホームランを打った。キケなしではWS優勝は成し遂げられなかったと言っても過言ではない。
 
 しかし、ビジネス面で冷静にキケとドジャースが組み合わさるか、というと微妙だ。キケの魅力はどこでも守れるユーティリティ性と平均的な打撃の両立だが、ドジャースのロースターにはトミー・エドマンとクリス・テイラーというユーティリティプレーヤーが既に2人いる。
 
 さらにはムーキー・ベッツが2Bに移ったことで、外野経験もあるギャビン・ラックスがベンチに移る予定だ。その上でキケのために枠を使うのかと言う話だ。
 
 ドルトン・ラッシング、アレックス・フリーランドなどの将来ドジャースを支えてくれそうな逸材が上がってくる予定の中、契約してシーズン前半だけでDFAと言うのももったいない話だ。
 

 
ジャック・フラハティ―、ジョー・ケリー
 この2人は再契約の必要がないと考える。先ずケリーについては怪我気味、成績低下、36歳の年齢と言う観点からリスクが大きい。
 
 昨季のハドソンのようにマイナー契約+メジャーでのインセンティブという内容ならまだしも、ロースター枠を浪費してしまうことになりかねない。
 
 議論が分かれるのはフラハティ―だ。8月の獲得以降、10登板で防御率3.58とまずまずの結果を残し、プレーオフでも試合をつくったフラハティ―。
 
 投球内容を見てもK-BB% 24.0%はメジャー4位、FIP3.48はメジャー17位と上々なのだが、球威がない点が気になる。球威を示すStuff+は規定投球回到達投手では58人中38位と低い。
 
 球威がないということはコマンドがキーとなるが、コマンドはシーズン間の変動が激しいとされている。ポストシーズンでもコマンドが安定した試合とそうでない試合での違いが非常に大きかった。
 
 ポストシーズンで活躍して大型契約を求めた球威のないピッチャーでは昨オフのジョーダン・モンゴメリーが挙げられるが、今季は25試合の登板で防御率6.23と大きく苦しんでいる。
 
 フラハティ―は今季の成功から大型契約を狙うはずだが、ポストシーズンを主眼に置くドジャースはより球威型のピッチャーを求めるべきだ。

ブレイク・トライネン
 最後にトライネンだが、安ければ再契約で良いだろう。目安としてはライアン・ブレイジャーとの2年$9.0Mが上限となる。
 
 21年と比べてシンカー、カッター、フォーシームの威力が大きく下がっているが、大きく曲がるスイーパーは依然強力だ。ブルペンのメンタル指導者としても一役買ってくれるだろう。


 


 
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【了】