Authense法律事務所は11月15日、遺言書の現状を把握することを目的とした調査結果「遺言書年報2024」を発表した。遺言書の意識調査は2024年3月、ミドル(20歳以上50歳未満)483人とシニア(50歳以上)482人を対象に。親の相続経験に関する調査は2024年3月、481人を対象に。生命保険と遺言書に関する調査は2023年7月、1,085人を対象に。遺言書の印象と作成意思に関する調査は2023年4月、1,038人を対象に、それぞれインターネットで行われた。
日本人は遺言書に対して前向きな印象を持っているのか
遺言書に対して「前向きな印象」を持っていると回答したシニア世代は68.5%。しかし、遺言書を作成予定の人はわずか「8.9%」という結果に。
遺言書を作成しない3大理由は「自分の遺産が少ないから」「まだ元気だから」「まだ自分事ではないから」だった。
「どんなことがあれば遺言書を作成するか」という質問をしたところ、回答の上位は「病気になったとき」「節目の年齢に達したとき」だった。
20~40代の若い世代は遺言書を作成する予定がある?
20代も大多数が「作成予定はない」と回答しているが、25.6%は「作成予定あり」と回答。遺言書を作成する予定が「ある」と回答した割合は、50代と20代の差が0.1ポイントとほぼ変わらない結果に。
遺言書に前向きな印象を持つ理由の上位は、「残された家族のトラブルを防ぐことができる」「自分の死後の家族の手間を減らすことができる」「自分の思った通りに遺産を分配できる」だった。逆に遺言書に後ろ向きな印象と答えた人の理由は「遺言書の作り方がわからない・難しそう」「(遺言書は)争いの火種になるものである」「遺言書を作成するのが面倒だ」というものだった。
家族と「遺言」についての会話意向
子どもに遺言について「すでに話している」割合は年齢とともに増加し、70代では15.7%。「話したい」「話すつもり」も含めると61.2%だった。
しかし、遺言について「すでに話している」人であっても、37.0%が遺言の作成意向が「ない」と回答。日本人の遺言書作成意向の低さが見て取れる。
親の相続時に遺言書があった割合は10.4%と低率だが、そのうち相続時に遺言書があってよかったと思う人は90.9%と非常に高い割合に。遺言書は、相続を経験した際に遺言書があったことで初めてそのメリットを感じられるものなのかもしれない。
自身の死後を考えて生命保険には加入するが「遺言」には無頓着
死亡保険に加入している方は11.5%が遺言書を作成する予定が「ある」と回答。がん保険や医療保険のみに加入している人はそれぞれ7.9%、6.6%だった。死亡保険に加入している人でも10人にひとりしか遺言書の作成を考えていないという結果に。