京王電鉄は6日、京王線全駅へのホームドア整備を決定したと発表した。バリアフリーの観点から、列車とホームとの間の段差と隙間を縮小する対策も同時に実施する。

  • 「京王ライナー」に使用される京王線の車両5000系

同社は1日あたりの乗降客数10万人以上の駅、国際的なスポーツ大会の会場最寄り駅、ホームが狭く輸送密度の高い井の頭線の駅を優先してホームドアを整備してきた。今回、さらなる安全・安心の実現と列車運行の安定性確保の観点から、ホームドア整備を京王線全駅に拡大することを決めた。

ホームドア整備によりホーム上の安全性が向上することから、自動運転化の推進に向け、自動運転設備の整備工事に着手することも決定したという。具体的には、自動で列車を加減速させるシステム(列車の起動や加速、速度制御および定位置停止の操作を自動的に制御する装置など)や、出発ボタンなどの設備を設置する予定。これらの整備により、将来的に運転士が出発ボタンを操作するだけで、自動で列車を加減速させることを想定しているという。

  • 現在のホームドア整備状況

  • ホームドアの整備に加え、転落防止ゴムの設置とホームのかさ上げも実施。段差・隙間の縮小を図る

  • 自動で列車を加減速させるシステムを車両に設置

  • 出発ボタンを設置した運転台イメージ

  • 今回の決定に伴う事業費の総額は831億円(ホームドア工事669億円、自動運転化工事162億円)

ホームドア整備・自動運転設備ともに年度内に工事着手し、ホームドア整備は2030年代前半、自動運転設備は2030年代中頃の竣工をめざす。事業費総額は831億円を見込んでいる。