2024年プロ野球ドラフト会議、球団別評価は? セリーグ6球団の指名戦略を…

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 「2024年プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が、10月24日に行われ、計123名の選手がNPBへの切符を掴んだ。各球団、課題となる部分を補強する意図が見え、注目の選手も多く指名を受けた。ここでは、今回指名された選手を紹介するとともに、セ・リーグ6チームのドラフトを総括する。

 

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広島東洋カープ

 
 得点力不足が課題の広島東洋カープだが、今回のドラフトは投手中心の指名となった。将来的なメジャー挑戦を表明している森下暢仁、海外FA権の行使を検討している九里亜蓮の流出に備え、投手強化を図ったと考える。
 
 公言通り、ドラフト1位で宗山塁(明治大)を指名したが、5球団競合の末に交渉権は得られず。それでも、再入札で長距離砲の佐々木泰(青山学院大)を指名できたのは、チームにとって大きいだろう。
 

 
 佐々木は、主に三塁を守る内野手。3年秋と4年春は打率1割台に沈んだが、今秋のリーグ戦では打率.306と復活した。持ち味のフルスイングで、打線を牽引できる存在になれるか注目だ。
 
 2位で指名した佐藤柳之介(富士大)は、前評判が高かった即戦力左腕。キレのあるストレートと多彩な変化球を投げ込み、奪三振率が高いことも特長だ。
 
 3位で名前が呼ばれた岡本駿(甲南大)は、大学から本格的に投手を始めた選手。それでも、最速140キロ後半のストレートやカットボールを投げ込むなど、将来性が光る。甲南大初のプロ野球選手として、NPBでの活躍に期待したい。
 
 4位指名の渡邉悠斗(富士大)は、パンチ力が光る右の内野手。また、守備では主に一塁を守るが、捕手としても抜群の強肩を持つ。1位指名の佐々木と同様に、将来の打線を牽引する存在として期待がかかる。
 
 5位で指名された菊地ハルン(千葉学芸高)は、身長200cmの大型右腕。最速140キロ後半のストレートを投げ、カーブなどの変化球を操る器用さもある。将来はどのような投手へと成長するのか、非常に楽しみだ。
 
 育成2位の竹下海斗は、敦賀気比高で投打の柱として活躍した。ストレートは140キロほどだが、チェンジアップなどで緩急をつけた投球が持ち味。今後の成長に注目だ。




読売ジャイアンツ

 
 読売ジャイアンツは上位で野手を立て続けに指名し、下位から育成は投手陣を中心に指名した。クライマックスシリーズ(CS)では得点力不足が浮き彫りとなっただけに、強打者を確保したい部分が垣間見えた。
 
 即戦力左腕の金丸夢斗(関西大)を1位指名したが、4球団競合の末に交渉権獲得とはならず。それでも、1巡目再入札で見事に石塚裕惺(花咲徳栄高)との交渉権を獲得した。
 

 
 高校生No.1遊撃手との呼び声高い石塚。花咲徳栄高では1年秋から4番を打ち、今夏の埼玉県大会でも打率.462(26打数12安打)をマークし、常に打線の中心にいた。
 
 入団となれば門脇誠や中山礼都などがライバルとなるが、いずれの打者も打撃が課題。守備も安定している石塚が打撃で結果を残すとなると、3年後あたりにはレギュラーを獲得していても不思議ではない。
 
 2位指名の浦田俊輔(九州産業大)は小柄ではあるが、大学通算打率は4割に迫るなど、俊足巧打の内野手。将来のリードオフマン候補となる。
 
 3位指名を受けた荒巻悠(上武大)は一塁や三塁、二塁なども守れる左の強打者。高校時代は37本塁打を放っており、長距離砲として期待できる。
 
 4位で指名された石田充冴(北星大付高)は高校2年時から注目されており、身長190cm超の恵まれた体格を持つ。将来性もあり、じっくり育てていきたい選手だ。
 
 5位指名の宮原駿介(東海大静岡キャンパス)は、最速150キロ超のサウスポー。力強いストレートとカットボールを武器に、即戦力として期待される。
 
 育成に目を向けると、将来性豊かな高校生投手が目立つ。育成4位の吹田志道(弘前学院聖愛高)は、変化球が多彩な身長188cmの長身右腕。育成5位の西川歩(山村学園高)は、埼玉NO.1左腕とも言われた投手だ。
 
 今回、巨人は1位から3位まで内野手を指名したが、課題の攻撃力アップを図る上では良い指名をできたのではないだろうか。また、今回指名を受けた高校生投手の成長も楽しみだ。







阪神タイガース

 
 投手陣が強力な阪神タイガースだが、今回はドラフト1位から3位まで投手を指名し、外野手の指名はゼロ。投手、捕手、遊撃と、センターラインを中心にした指名となった。
 
 ドラフト1位で金丸夢斗(関西大)を指名したが、競合の末に引き当てられず。それでも、再入札で即戦力左腕・伊原陵人(NTT西日本)の単独指名に成功した。
 

 
 伊原は大学4年時に指名漏れを経験したが、ついにプロへの切符を手にした。回転数の多いストレートやスライダー、カットボールを投げ込み、先発のみでなくリリーフでの活躍も期待できそうだ。
 
 さらに、2位では高校No.1右腕との呼び声も高い今朝丸裕喜(報徳学園高)を指名。最速150キロ超のストレートに加え、スライダーやフォークなどの変化球も抜群。まだ細身ではあるが、将来が楽しみな投手だ。
 
 3位には、大学から投手に転向した木下里都(KMGホールディングス)を指名。最速155キロ超の直球には力があり、即戦力右腕として期待される。
 
 4位では、捕手の町田隼乙(埼玉武蔵ヒートベアーズ)を指名した。高校時代は指名漏れを経験したが、今回はプロへの道を開いた。成長真っ只中の中川勇斗らと、将来の正捕手を争う存在となるのだろうか。
 
 5位で指名された富山GRNサンダーバーズの佐野大陽は、俊足巧打の内野手だ。主に遊撃を守るが、木浪聖也や小幡竜平、山田脩也などライバルは多数。厳しい競争を勝ち切れるか注目だ。
 
 育成3位では、くふうハヤテベンチャーズ静岡の早川太貴を指名。昨年のドラフトでは指名漏れとなったが、くふうハヤテ初のドラフト指名を勝ち取った。今季は先発やリリーフとして25試合に登板し、4勝7敗、防御率3.22の成績を残し、NPBでの活躍も期待される。
 
 昨年に続き、今年も投手の指名が増えた阪神。今回指名を受けた投手が活躍すると、ストロングポイントがより強固なものになりそうだ。






横浜DeNAベイスターズ

 
 投手陣が課題となっている横浜DeNAベイスターズ。今回のドラフトでは即戦力投手の指名が中心となり、まさに投手力強化を図るものとなった。
 
 1位指名した金丸夢斗(関西大)の交渉権こそ得られなかったが、再入札で実践経験豊富な竹田祐(三菱重工West)の指名に成功した。
 

 
 竹田は過去2度の指名漏れを経験したが、ついにプロへの扉を開いた。高校では3年春の甲子園で準優勝を果たし、三菱重工Westでも日本選手権や都市対抗野球大会といった大舞台で登板した。
 
 また、このまま入団となれば、3年春の甲子園決勝で投げ合った徳山壮磨とチームメートになる。ライバルの存在も刺激に、プロで躍動したいところだ。
 
 2位で指名された篠木健太郎(法政大)は、最速155キロ超の直球を投げる右腕。高校時代から注目されていたが、当時は志望届を出さずに進学を選んだ。大学4年時からは制球重視の投球となっているが、即戦力として期待される存在だ。
 
 3位指名された加藤響(徳島インディゴソックス)は、長打力のある右の内野手。主に遊撃を守り、今季は64試合の出場で打率.311、6本塁打、41打点、8盗塁をマーク。DeNAの遊撃は固定されていないだけに、一気にチャンスを掴みたい。
 
 4位で名前が呼ばれた若松尚輝(高知ファイティングドックス)は、大学で投手に転向した本格派右腕。回転数の多いストレートが特徴で、リリーフとしての活躍も期待できそうだ。
 
 5位で指名されたのは、高校生内野手の田内真翔(おかやま山陽高)。広角に打ち分ける打撃と肩の強さが魅力だ。DeNAは高卒で活躍した例が少ないが、そのジンクスを打ち破れるか注目だ。
 
 意外にも6位まで残っていたのが、国学院大の坂口翔颯だ。今春に右肘を負傷し、秋も出遅れたものの終盤に復帰した。最速150キロ超の右腕は、即戦力としてプロ1年目から活躍できるだろうか。
 
 育成で指名されたのは、いずれも高校生。小針大輝(日大鶴ヶ丘高)は、身長190cm超ながらも俊足を兼ね備える。吉岡暖(阿南光高)は今春センバツでの活躍が記憶に新しく、金渕光希(八戸工大一高)はU-18日本代表候補に入った好左腕だ。






中日ドラゴンズ

 
 サウスポーが少ない中日ドラゴンズだったが、今回のドラフトでは支配下で3人の左腕を指名。また、将来の正捕手候補を指名できたことも踏まえれば、良いドラフトとなったのではないだろうか。
 
 1位指名した金丸夢斗(関西大)には4球団が競合したが、井上一樹新監督が見事に交渉権を引き当てた。小笠原慎之介がメジャー挑戦を表明した中、金丸が活躍すれば十分に穴を埋める存在となるだろう。
 

 
 2位で指名した吉田聖弥(西濃運輸)も、即戦力左腕として期待される。最速150キロ超のストレートとチェンジアップを武器に、社会人No.1左腕と呼ばれるまでに成長した。プロ1年目から、一軍の先発ローテーションに入りたいところだ。
 
 3位指名の森駿太(桐光学園高)は、将来性豊かな大型内野手。今夏の神奈川県大会では結果を残せなかったが、高校通算48本塁打を誇るなど、強いスイングが持ち味だ。
 
 4位で名前を呼ばれた石伊雄太(日本生命)は、社会人No.1捕手との呼び声が高い。中日には絶対的な捕手が不在なだけに、持ち味の強肩を活かして正捕手の座を射止めたい。
 
 5位で指名を受けた高橋幸佑(北照高)は、U-18日本代表候補にも入っていた好左腕。今夏の南北海道大会ではベスト4で散ったが、最速140キロ後半のストレートを投げるなど、伸び代は十分だ。
 
 6位で指名された有馬恵叶(聖カタリナ高)は、身長190cmの長身右腕。昨秋までは記録員をしていた選手だが、今年から急成長を遂げて一気にドラフト指名を勝ち取った。まだ線は細いが、ポテンシャルは十分だろう。
 
 育成では、高校生を2人指名した。育成1位の中村奈一輝(宮崎商)は、守備力と俊足が光る大型内野手。打撃面を強化すれば、十分に支配下登録も見えてくる。
 
 育成2位の井上剣也(鹿児島実)は、九州屈指の剛腕投手。コントロールには課題が残るが、最速150キロ超のストレートには威力がある。将来が楽しみな投手の1人だ。





東京ヤクルトスワローズ

 
 投手陣が課題の東京ヤクルトスワローズ。今回のドラフトでは即戦力投手のみでなく、将来性のある内野手指名にも成功し、バランスよく指名できたと言えるだろう。
 
 何より大きかったのは、中村優斗(愛知工業大)の一本釣りに成功したことだ。中村は最速160キロを誇る一方、制球力があるのも武器となる。投手力に悩むチームにとって、これほど頼もしい存在はいない。
 

 
 2位では、強打の外野手として注目されていたモイセエフ・ニキータ(豊川高)を指名。今春の甲子園では低反発バットながらも、ライトスタンドに本塁打を放った。将来のスラッガー候補として、活躍を期待したい選手だ。
 
 3位指名の荘司宏太(セガサミー)は、チェンジアップが大きな武器となる左腕。コントロールに課題は残るが、ダイナミックなフォームから140キロ後半のストレートやチェンジアップ、スライダーなどを投じる。リリーフとして、活躍が期待される。
 
 4位指名された田中陽翔(健大高崎高)は、将来性豊かな大型内野手。主に遊撃を守り、今春の甲子園では打率.350(20打数7安打)をマークした。ヤクルトは長岡秀樹や村上宗隆などの高卒野手が成長する傾向にあり、田中もその1人になれるか注目だ。
 
 5位指名を受けた矢野泰二郎(愛媛マンダリンパイレーツ)は、強肩が光る捕手。また、高卒4年目の今季は打撃が開花し、62試合の出場で打率.303、4本塁打、19打点の活躍を見せた。”打てる捕手”として、正捕手争いに割って入りたい。
 
 育成3位では、オイシックス新潟アルビレックスBCの下川隼佑を指名した。今季は先発やリリーフとして40試合に登板し、102三振を奪ってイースタンリーグの奪三振王を獲得。悲願のNPB入りを果たし、ここから新たな挑戦が始まる。




 



 

 
【了】