永谷園が発売60周年を迎えた看板商品「松茸の味お吸いもの」のアレンジレシピを紹介している。

  • 松茸の味お吸いもの

「松茸の味お吸いもの」商品誕生ストーリー

オリンピック景気後の不況の兆候を感じ取った永谷園創業者の永谷嘉男氏は、それに対応するための新商品の開発を急いでいた。そんな中、とある料亭で店の客が松茸のお吸いものを注文し美味しそうに飲んでいるのを見て、「ご家庭で手軽に楽しめる商品を開発すれば売れるのでは」と考えたという。

「不景気な時こそ、日々の食事に楽しさ・彩りを添えたい」、その想いで「お茶づけ海苔」の原料や製造ノウハウを元に、松茸の味お吸いもの開発に着手した。商品化のカギを握るのは「松茸風味のバランスを整えること」。風味が強すぎても弱すぎてもダメ。折しもこの時代、原料メーカーからはエキス・香料等さまざまな調味料がどんどん開発され普及しつつあった。

当時の開発担当者は、初めて扱うエキスや香料を調達しては自分の舌で「味・香り」を吟味する作業をひたすら繰り返した。「今日も松茸、明日も松茸」の日々は贅沢なようにも聞こえるが、当時の開発担当者は食傷気味になったという。そして試行錯誤の末、ようやく求める品質が完成した。

発売にあたっては商品をどうPRしていくかが課題となった。当時、お吸いものは関西では「すまし」と呼ばれ定着していたが、関東ではみそ汁が中心でお吸いものはあまり飲まれていなかった。そこで、「餅を入れて雑煮感覚で食べてもらう」「炊き込みご飯にする」など汁物以外の食べ方も織り交ぜてテレビCMで訴求することに。現在では広く普及した「アレンジレシピ提案」だが、実は発売当初から行われていた。

お吸いものとしてだけでなく、料理にも

同商品は、ひな祭りや土用の丑などハレの日に利用されることが多かったが、2000年代に入ると食卓での出現シーンが減り、伸び悩んだ。この状況を一変させたのが2007年に実施した「アレンジレシピ提案」だった。

商品担当者が購入者アンケート調査で集めた声をひとつひとつチェックする中で「本品を吸い物ではなく、調味料として利用している」人が一定数いることが分かったのだとか。「茶碗蒸し」「炊き込みご飯」などアレンジのバリエーションは広く、中でも「パスタ」は新規性があり担当者の目をひいた。

そこで、ゆでたパスタとエリンギに本品を絡めるだけで完成の「エリンギの和風パスタ」を2007年9月からテレビCMで発信することに。反響は上々で、購入者アンケート調査では「パスタアレンジを試した」ユーザーが半数に達した。その後も、「土瓶蒸し風小鍋」「雑煮」「釜玉うどん」とアレンジレシピの発信を続けた。「釜玉うどん」は、家庭在庫率の高い「冷凍うどんと卵」を使ったレシピということもあり、パスタと同様に反響を呼んだ。

  • エリンギの和風パスタ

見た目のインパクト大「人参のまるごと炊き込みごはん」

この秋は「簡単」「驚き」「手軽」をポイントに、新アレンジレシピを提案。「人参のまるごと炊き込みごはん」は、見た目のインパクトも大なレシピ。人参を炊飯器に入れる際、人参がお米の中に隠れるように入れると柔らかく仕上がるという。永谷園のウェブサイトでは、「玉ねぎまるごと」「トマトまるごと」などの炊き込みごはんレシピも紹介している。

  • 人参のまるごと炊き込みごはん

レンジで簡単「マグカップでチーズリゾット」

「マグカップでチーズリゾット」は、レンジで簡単にできる、忙しい朝やランチにもピッタリのレシピ。松茸の味お吸いものは和風の味つけだが、実は牛乳やチーズととても相性がよく、香りのよい濃厚なリゾットができあがるという。

  • マグカップでチーズリゾット