ドジャース、来季は”主力クラス”がいなくなる!? どこよりも早い2025年…

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 今季もレギュラーシーズンでは圧倒的な強さを見せ、現在はワールドシリーズへ向けて熱い戦いを繰り広げているロサンゼルス・ドジャース。故障が多発しながらも保った強さの源泉はメジャー~マイナーを通した層の厚さだろう。そこで今回は、来季に向けた戦力分析としてドジャースの選手層を分析する。(文:Eli)
 

今シーズンのメジャーリーグは
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 チームの選手層を分析する際に用いられるのは『Depth Chart』という手法だ。各ポジション別にプレー可能な選手を抽出したうえで、選手の実績・能力を見ていく。メジャーレベルではどんな選手がいるのか、ファームシステムの選手はどこを守れるのか、守備位置を動かせる選手はいないのか、など様々なことを考慮に入れる。
 

 
 戦力面だけではなく、各選手の契約条項も見る必要がある。将来何年にわたり契約が残っているのか、既に不良債権であり切るべきなのか、マイナーに落とせるのか。これらの点も重要な視点だ。先ずは外野手のラインナップから見ていきたい。
 

 外野3ポジションではライトがムーキー・ベッツ、センターがトミー・エドマン、アンディ・パヘスで固まっていて、レフトが流動的だ。ベッツの内野再転向はギャビン・ラックスがセカンドで固定されていることから可能性は低い。今季行ったショートへの異動もほぼ無いだろう。
 
 ラックスを諦めトレード放出し、ベッツを内野に戻すかはオフに検討がなされるだろう。外野で最も重要なのがレフトに誰を置くかだ。
 
 今季はテオスカー・ヘルナンデスを置きwRC+129の働きを見せたが、単年契約でシーズン終了後にFAとなる。
 
 代役候補にはクリス・テイラー、パヘスがいる。しかしテイラーは今季極度の打撃不振に陥り、パヘスは守備力・送球力を見れば右中向きである。
 
 マイナーではトッププロスペクトのドルトン・ラッシングがいる。元来キャッチャーだったが、不動のウィル・スミスがいることから、ラッシングの打撃力を活用するために今季から左翼手としての準備を開始している。ポジション移動後も打撃力に低下は見られないため、このまま左翼手/サブ捕手としての起用がされるだろう。
 
 テオスカーの契約延長論も上がっているが、来年32歳、守備のマイナスが大きいDH型の選手のため相当のディスカウントなしにはドジャースは契約を結ばないと予想できる。狙っているとされる1億ドル規模の契約はドジャース側から出すことはないだろう。








内野手、指名打者のポイントは…?

 
 ショートを除いた内野ではほとんど陣容が確定している。サードのマックス・マンシー、セカンドのギャビン・ラックス、ファーストのフレディ・フリーマンは3人とも健康ならフルシーズン戦えるメンバーだ。
 
 緊急時には内外野守れるテイラー、エドマンがおり、マイナーではこの3ポジションすべてを経験しているアンドレ・リプシウスとオースティン・ガシアーがいる。層の厚さは十分と言って良いだろう。
 
 課題はマンシーとラックスの左投手への対応である。今季の対左投手はマンシー、ラックスそれぞれ.747、.402と2人の対右投手OPSと比べて大きく劣っている。
 
 シーズン中には特にラックスが左投手先発の際にテイラーやキケ・ヘルナンデスに取って代わられることも多かった。キケは終了後にFAであり、オフに右の代打を用意するか、ラックスをリプレースしてしまうかは大きな注目点だ。

 

 

 指名打者は文句なしで来季も大谷翔平が務める。投手活動を再開することから登板日や登板翌日が休息日となるかもしれないが、基本的には大谷で固定だろう。バックアップにはキャッチャー休養としてのスミスやラッシングが考えられる。
 
 キャッチャーでは前述のように不動のスミスが8割程度、バックアップに2割程度のプレータイムとなるはずだ。今季はスミスの一時的な不振があったようにキャッチャーの守備負担が大きいため、バックアップに回す割合が増えるかもしれない。
 
 また、長年バックアップとしてドジャースを支えたオースティン・バーンズを戻すか、若手のハンター・フェドゥーシャを常時メジャーに置くかは注目しておきたい。バーンズの2025年契約は球団オプションで再契約が可能だ。
 
 本職の選手がいなくなってしまうのがショートだ。来季契約が残っているのはテイラー、ラックス、エドマンの3人で、全員が他ポジションで使われる可能性が高い。保守的にいくならロハスの球団オプションを行使し再契約、アレックス・フリーランドらプロスペクトの成長を待つ。
 
 大胆に行くならミルウォーキー・ブルワーズからFAとなるウィリー・アダメス、サンティエゴ・パドレスのキム・ハソンと大型契約を結ぶことが可能だ。コスト面や今季の成績を踏まえればロハスとの再契約で落ち着くだろう。
 
 本人もドジャースでキャリアを終えたい旨を話しており、次世代へのつなぎとして再契約+次の球団オプション追加が最も有力だ。








先発、リリーフ投手のポイントは…?

 
 ドジャース先発陣の最大の課題はどのようにイニングを消化するかだ。昨オフはプレーオフを突破することに主眼を置き、怪我が多いが最大出力の高いタイラー・グラスノーを獲得した。
 
 ところが、今季は故障に次ぐ故障によりローテーションは瓦解してしまった。来季は大谷、トニー・ゴンソリン、ダスティン・メイが長期離脱から復帰するが、大谷とメイは投球出力が高く頑丈な投手とは言えない。
 
 ランドン・ナック、ギャビン・ストーン、ボビー・ミラーはある程度メジャーレベルでの地位を築き上げたが、経験不足は否めない。FAで安定して150イニング程度を投げられるイニングイーターを連れてくるのが良いだろう。
 

 

 今季までの実績から考えてマイケル・コペック、エヴァン・フィリップス、アレックス・ベシア、ブルスダー・グラテロル、ライアン・ブレイジャーは来季も確定だろう。先発投手が5人と想定すると、残り3人入るわけだが、ここで考慮する点が2つある。
 
 一つはベテランリリーフの存在である。前述のメンバーはブレイジャー以外が30歳以下でいわゆる若手である。フィリップスがリリーフエースとしてここ数年は存在感を示しているが、若手が多い。
 
 彼が離脱した際にブルペン陣の錨となる存在が必要だ。今季のブレーク・トライネンやダニエル・ハドソンといった経験豊富なリリーバーが理想だ。
 
 もう一つは運用の柔軟性だ。FAでの加入やある程度実績がある投手は安定感がある一方で簡単にマイナーに落とすことができない。
 
 故障者リスト入りという手も可能だが、あまり理想的ではない。これではブルペンが高負荷や不振となってしまった際にフレッシュな投手を追加することができない。そのため、1、2枠はマイナー降格が可能な若手を起用することで、ロースターの柔軟性を確保することが必要だ。
 
 以上2つを踏まえれば残り3枠は1、2人をFAで補強、残りを若手用にとっておくのが理想だろう。
 
 全体的に見て、野手はベテラン~若手までどのポジションも充実しているようだが、ピッチャーは先発、ブルペン共に頭数が足りないように見える。優先順位としては先発(イニングイーター)→ブルペン(ベテラン)→野手と言ったところだろうか。
 
 昨オフ1000億円規模で投資したため、コービン・バーンズやフアン・ソトなどのヘッドライン級の動きはできないが、ドジャースお得意の賢い動きを期待したい。投手陣に相次いだ故障の原因解明なども含めて悔いのないオフにしたいところだ。



 


 
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【了】