今年で17回目を迎える東京ミッドタウンのデザインの祭典「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2024」が現在開催中です。“デザインを五感で楽しむ”をコンセプトにしたイベントで、東京ミッドタウンのあちこちに国内外の第一線で活躍するデザイナーや注目のデザインが展示され、日常の中で刺激的なデザインに触れることができます。
今年のテーマは「つむぐデザイン-Weaving the Future-」ということで、持続可能な社会に向けて、よりよい社会をつむいでいくためのアイデアが込められた作品ばかり。視覚的に楽しめるのはもちろん、デザインの意図を知るとさらに楽しみ方が深まります。
触れて、貼って、来場者も参加できる「リレキの丘」
芝生広場に出現した3つのリングからなる木製のアートは、建築家クマタイチ氏による「リレキの丘」。“つむぐ”というテーマと“公共”の場であることを結んだこの作品は、イベント開始時には未完成の状態で、完成までの“履歴”を公開するというのが面白いところ。通常の公共事業の施工過程が囲いの中で行われているのに対して、その過程をオープンに共有しようという試みです。
イベント開催中の週末には「EAT」「TALK」「SLEEP」などの行為がデザインされたリレキシールを配布。来場者は、自分が行った行為のシールを「リレキの丘」に貼ることができ、来場者の“履歴”が積み重なることでカラフルになっていく変化を楽しむことができます。 その過程を実際に見守っているクマ氏は「視聴率が高いという感想です」とコメント。日々変わりゆくもの、そして自分の履歴を残すことで愛着が湧くものとなり、何度も触れたくなる作品となっているようです。
ミッドタウンの地形を新たな視点で感じる「都市の共同態」
建築家の津川恵理(ALTEMY)が「都市の共同態」で提案するのは、普段意識することのない都市の潜在的な情報を可視化することで、人々が新たな発見をすること。ミッドタウン・ガーデンの微地形を3Dスキャンし、そのデータを基にコンクリートキャンバスでデザインされたオブジェは、観察してもよし、座ってもよし、寝てもよしと、まさに五感で感じることができるもの。日常を過ごしている都市を普段とは違った視点で感じることで、都市の新たな意味を再発見できそう。
ミッドタウン館内には「DESIGNART TOKYO 2024」の作品も展示
ガレリア2Fには、都内各所で展示を行っている「DESIGNART TOKYO 2024」から、今回のテーマに寄り添う3組のクリエイターの作品を展示。
クリエイティブ・ユニットAAAQによる「Visible Stress」は“光弾性”という現象に注目。フードパックなど、日常で使われる透明樹脂を偏光板で挟み光を当てると鮮やかな色彩となって見えることから、その光のテクスチャを鑑賞する作品を生み出しています。
「RE 47 CRAFTS」は47都道府県のご当地の果物や食品の廃材をアップリサイクルし、新たなプロダクトを生み出すプロジェクト。デザイナー/アーティストの若田勇輔氏が地方の職人や生産者と協業しながら工芸品をリデザインしたもので、愛媛の場合はみかんの廃材を使って愛媛の伝統工芸品である鬼瓦、宮城の場合では枝豆を使用したずんだこけしと、各都道府県の文化を映し出したプロダクトに触れることができます。
デザイナーの竹下早紀氏による「Eeyo」は、世界一軽い木材として知られるパルサ材をグラフィカルに加工したカラフルな椅子を展示。木材と染料の相性や染める時間、熱の当て方によって色や模様が変化するのが特徴で、曲面や立体物に対しても可能なグラフィカルな加工は、木材を用いたプロダクトデザインの新たな表現方法となっています。
ほかにも「TOKYO MIDTOWN AWARD 2024」の受賞作品の展示など、さまざまな作品が東京ミッドタウンの内外に出現。ショッピングの途中でも気軽に楽しめるので、おでかけの際にのぞいてみては。「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2024」は、11月4日まで開催です。