2番目に注目されたのは20時33分で、注目度79.5%。明子(瀧内公美)と源俊賢(本田大輔)の兄妹が、道長の長男・藤原頼通(渡邊圭祐)に取り入るシーンだ。
上座に座った頼通が、盃になみなみと注がれた酒を一気に飲み干した。「いや~、はははは…お見事なる飲みっぷりであられます」権中納言・源俊賢がおだてる。「ああ、よかったな明子。頼通様が高松殿にお越しくださって」「まことに」俊賢は妹の明子とともに、この若き公卿になんとか取り入ろうと画策している。
「頼宗は、頼もしい弟ですゆえ」「よかったわね、頼宗」兄に褒められ、藤原頼宗はもちろん、母の明子も上機嫌だ。「いやいやいや、頼通様は金峯山でもりりしきお姿であった。頼宗は、遠く及ばぬ」俊賢がふたたび頼通を持ち上げる。
「兄上は、藤壺で大層な人気でした」「それは、内裏でもうわさになっております」「女房たちも、熱いまなざしを」頼通はこのたび、わずか19歳で俊賢と同じ権中納言に昇った。当然、父の左大臣・藤原道長の威光あってのことだが、その勢いはすさまじい。
「余計なことを申すな」照れくさくなったのか、頼通は2人を制した。「どうか、これからも頼宗をお引き立てくださいますよう、お願い申し上げます」明子がここぞとばかりに頭を下げるが、「それは、父上におっしゃってください。私に、そのような力はありませぬ」と、頼通の態度はどこかよそよそしい。「これからは頼通様の世でございましょう。道長さまがお若い頃より、道綱様を大事にされておられますように、頼道様もどうぞ頼宗を引き立ててやってくださいませ」明子はかまわず食い下がる。俊賢は妹の不器用な姿に、少し居心地が悪くなった。
「明子さまのグイグイくる圧がすごい」
このシーンは、明子の下手くそ過ぎる根回しに、多くの視聴者の関心が集まったと考えられる。
明子の亡き父・源高明はかつて道長と同じ左大臣まで昇りつめた公卿だったが、「安和の変」で謀反を企んでいたとされ、大宰府へ左遷される。実際に謀反を企んでいたのかは定かではないが、これ以降に高明が政界に復帰することはなかった。明子は父の無念を晴らそうと、息子の頼宗にすべてをかけていたのだろう。かつて女院・藤原詮子(吉田羊)の40歳を祝う「四十の賀」で童舞を幼い頼通と頼宗が披露した。その際、頼宗の舞が一条天皇に認められた時、明子は道長の嫡妻・源倫子(黒木華)に勝ち誇った笑みを浮かべていた。
しかし、中宮・藤原彰子が敦成親王を出産したことで、決定的な差が生じてしまい、本来は息子のライバルである頼通に取り入ってでも、頼宗を出世させようと方針の転換を図ったのだろうか。そんな明子のなりふり構わない姿に、SNSでは「頼通へ懇願する明子さまの目がメラメラ燃えてる」「明子さまのグイグイくる圧がすごい」「明子さまにも『まぶしい闇』が…」「道長が兼家に、明子が寧子みたいになってるね」といったコメントが寄せられている。
明子が引き合いに出した道長の兄・藤原道綱(上地雄輔)は、すでに正二位・大納言にまで昇りつめている。道長の引き立てが非常に強力だったことがうかがえる。明子の執念が実を結んだのか、頼宗も最終的には従一位・右大臣にまで昇る。いつの世も人事決裁者にかわいがられるのが出世の一番の近道なのかもしれない。