「敗者髪切りデスマッチ」の紋付袴の衣装は、過去に資料でもよく見ていて着られてうれしかったという唐田。こういった演出をダンプ松本も長与千種も自分たちで考えてやっていたと考えると、本当に「エンタメ」の人だと思うと語る。

また全ての試合が熱量高いが、「髪切りマッチ」は違う次元で熱気に溢れ、戦闘モードに入っていたという。試合の撮影前はゆりやんとも距離を取っていたが、前日は綿密に話し合い、双方が本気で挑んだ1回きりの臨場感あふれるバトルシーンが実現している。

作品のオファーを受けた段階で坊主は覚悟していたという唐田。しかし「本番まで全然大丈夫だと思っていたんですが、直前に『本当に髪がなくなるんだ』と実感した時、『やっぱり怖い』と思いました」と正直に話す。そこで撮影開始前にパワーが欲しいと思い、リングサイドにいた監督や事務所の社長、企画・脚本・プロデュースの鈴木おさむ氏ら、この瞬間を見守りに来てくれた人たちと握手、拳を突き合わせた。このおかげでパワー注入、覚悟ができたと、印象的な撮影前の瞬間を振り返った。

「ウィッグ生活が一番つらかった」 外した時の解放感が忘れられない

「髪切りデスマッチ」撮影後はスケジュールの都合で「半刈り頭」の状態で過ごさなければならない時期もあり、「髪の毛って大事だなと思った一方で、自分の姿に笑ってしまうこともありました」と振り返る。長与も当時同じ状況だったそう。そこから丸刈りにして以降、伸びかけの中途半端な時期が一番つらかったと思い返す唐田であったが、「長与千種を演じた証だから、恥ずかしいことではない。覚悟を持って挑んだことだから堂々としよう」と前向きに捉えたと語る。

また、坊主頭で過ごす日々よりも「ウィッグ生活が一番つらかった」と振り返る唐田。「暑いし、自分の髪じゃないので、触れた時の不快感があったんです」と、ウィッグをつけるたびにストレスを感じていたと明かした。別作品やプライベートでもウィッグを使用する日々が続き、「早く自分の髪で過ごしたい」と思っていた彼女にとって、約10カ月ぶりにウィッグを外すことができた時の解放感は忘れられないものに。一方で、派手な色のウィッグやロングのウィッグなど、またとない機会にウィッグ生活を楽しんだ一面もあったという。

長与千種の言葉に共鳴「リングの上では強くなりたい、強くなれる」

唐田は撮影期間にコーチでもあった長与千種の言葉をメモに残していた。その中でも「長与千種自身が長与千種を演じていた。リングの上では常に強くいたかった」という言葉に唐田も共鳴したという。唐田自身も「リングの上では強くなりたい、強くなれる」と思っていたと振り返り、撮影後に長与本人から「唐田が長与千種を演じてくれてよかった」という言葉をもらった時には本当にうれしかったと語った。