長崎駅から徒歩10分の場所に10月14日、「長崎スタジアムシティ」(長崎県長崎市)が開業する。部屋からスタジアムを一望できるホテルや、スタジアム上空を滑走できるジップラインなど、「日本初」が多いのも注目ポイントだ。開業前に報道陣向けに公開された様子をレポートする。
サッカースタジアム・アリーナ・商業施設・オフィスからなる大型複合施設
長崎スタジアムシティは、ジャパネットグループで地域創生事業を担うリージョナルクリエーション長崎が、サッカースタジアムを中心にアリーナ・ホテル・商業施設・オフィスからなる大型複合施設を民間主導で開発するプロジェクト。2018年に行われた「長崎・幸町工場跡地活用事業 土地活用事業者募集」に応募し、約7.5ha(東京ドーム1.5個分)の土地を購入、総事業費1,000億円を投じた。
メインとなるのはプロサッカークラブ「V・ファーレン長崎」の新たなホームとなる約2万席のサッカー専用スタジアム「PEACE STADIUM Connected by SoftBank」と、プロバスケットボールクラブ「長崎ヴェルカ」のホームとなりさまざまな音楽イベントなどを開催する多機能可変型アリーナ。加えて、サッカースタジアムビューホテルに約80店舗のテナントが入る商業施設、オフィスなどがある。
サッカースタジアム最前列はピッチとの距離が約5m
PEACE STADIUM Connected by SoftBankは、ピッチとの距離が最短約5mでその近さは日本一。試合がない日でも自由に観客席に入ることができ、公園のように楽しむことができる。
これだけでもサッカーファンには魅力的だが、斬新なのが日本初となる、サッカースタジアム上空を滑走するジップライン。長崎スタジアムシティのオフィス棟「STADIUM CITY NORTH」屋上から商業棟「STADIUM CITY SOUTH」屋上を結ぶ長さ258mの距離を4本のラインで滑走することができる。
スーパーマン型か着座型か選ぶことができ、ともに2,500円。予約なしで楽しむことができる。現地払い(キャッシュレス決済のみ)。
長崎最大規模のアリーナ
そして「長崎ヴェルカ」の新ホームアリーナとなるのが「HAPINESS ARENA」。長崎県内でこれまで最大規模だったのは2,002席の「ベネックス長崎ブリックホール」だったが、「HAPINESS ARENA」は6,000人収容できることから、これまで長崎には来れなかったイベントを誘致できるようになる。可変式の設計になっており、コンサートやイベント会場としての活用も可能。
客室からサッカー観戦が楽しめるホテル
「STADIUM CITY HOTEL NAGASAKI」は日本初のサッカースタジアムビューホテル。スタジアムビューの部屋からはスタジアムが一望でき、サッカー観戦と宿泊が楽しめる。シティービューは長崎の街並みを楽しむことができる。
宿泊料金は最安値がシティービューツインの部屋で、朝食付き2名以上で1名1万6,400円、最高値がスタジアムビューのスイートルームで、朝食付き2名以上で1名7万7,200円(いずれも税・サービス料込)。
部屋のタイプはさまざまあるが、サッカーファンに嬉しいのは「平和」の思いに共感したサッカークラブのコンセプトルーム。VfBシュトゥットガルト(ドイツ)、シント=トロイデンVV(ベルギー)、サンフレッチェ広島、V・ファーレン長崎の4クラブの各カラーを使用したデザインの部屋になっている。
サッカー試合観戦時はベッドが壁面に収容可能で、観戦時はベッドを収納しテレビ台の下に備え付けられた机を移動して飲食を楽しむことができる。
日本、そして世界の中でもホテルの部屋からサッカースタジアムが見えるのはかなり珍しい。部屋から仲間とリラックスしながら試合を楽しむ、忘れられない経験になりそうだ。
魅力は試合観戦ができるだけではない。ホテルとしても快適に宿泊ができるよう、ジャパネットのノウハウを最大限詰め込んだ。たとえばベッドのマットレスと枕は全室高級寝具「エアウィーヴ」を採用、55型以上の大画面テレビやプラズマクラスター加湿空気清浄機、ダイソンのドライヤーを設置している。宿泊した報道陣からは翌朝、「いつもは寝つきが悪いのに、エアウィーヴのおかげで朝まで熟睡できた」という声が何人もから聞こえた。宿泊を快適なものにするのはもちろん、気になっていたアイテムを試すことができる場所としても魅力的だ。
スイートルームに宿泊している客だけが利用できるクラブラウンジでは、1日4回フードが提供される。朝食・アフタヌーンティー・カナッペ・ナイトキャップと時間によりメニューも変わるが、いずれもホテルのシェフ・パティシエ・パン職人が作るこだわりのもので、長崎の焼酎や器と共に楽しめる。景色もスタジアムビューの開放感のある空間で、テラスでくつろぐことも可能だ。
こだわりのクラフトビールをはじめ食事も妥協なし
ほかにも、長崎スタジアムシティ内には3フロアに渡る温浴施設「YUKULU」があり、温泉に加え3種類の空間で楽しめるサウナがある。
そして注目は日本初のサッカースタジアムで醸造するクラフトビール。ブルワリーレストラン「THE STADIUM BREWS NAGASAKI」では1階の醸造エリアで10台のタンクが稼働し、年間9万リットルの醸造を予定している。長崎市伝統の柑橘ゆうこうを使用したフルーティーな味わいの「ヴィ・ビール」が名物。
レストランは長崎県産の食材を中心使用する「LES CINQ SENS(レ・サンクサンス)」。フランス語で五感という意味で、シェフズテーブルスタイルのカウンターで目の前で肉を鉄板で焼き上げるなど、「味わい、見た目、薫り、動き、音」が広がる空間を”五感”で楽しむことができる。ジョエルロブションで働いていたこともあるシェフは自ら長崎各地の生産地に足を運び、厳選した食材でこだわりの料理を提供している。
アフタヌーンティーに力を入れたカフェ&ダイナー「CAFÉS & DINERS VERDE(カフェズ アンド ダイナーズ ヴェルデ)」ではランチセット(3,800円)が目玉。メインディッシュに季節のスープとホテルメイドパンのビュッフェ(食べ放題)が付く。
取材協力: 長崎スタジアムシティ