番組では個性豊かな原田さんのライブ仲間の面々も取材しており、広瀬Dは「ステージに立つ人がいるだけ、その人生が見える感じがしました」と語る。
その中でも印象深いのは、自身の育った家庭が崩壊していく様を赤裸々に歌う、じゅんじゅんさん。彼女の離婚した両親も取材することができたが、「ああいう歌を歌っていたので、今回の中で一番ドキドキしながら現場に行きました」と振り返る。
そこで驚かされたのが、じゅんじゅんさんの両親がそろって、顔出しでカメラの前に立ってくれたこと。「じゅんじゅんさんの幼い頃につらい思いをさせた後悔があるからか、自分たちの前でじゅんじゅんさんが歌うことを止めないし、テレビにも出るという姿を見て、大きな覚悟を感じました」と受け止めた。
この場面を撮ることができたのは、今回の番組タイトルにある「あきらめない」思いで取材に臨んだことが大きかった。
「普段のじゅんじゅんさんは明るいキャラクターなので、歌に込めた思いをインタビューしようと思っても、なかなか引き出せなかったんです。でも、最後の最後のチャンスだと思って、“歌について、お話を聞かせてもらっていいですか?”とお願いしたら、ご両親への思いを語ってくれました。あれは、本当にあきらめなくて良かったなと思います」
そんな経験や、原田さんや帯金さんから「あきらめない」気持ちを受け取った広瀬D。「皆さんそれぞれがどん底まで落ちた経験をされながら、そこであきらめずに、一見カッコ悪く見えても、もがいている姿がカッコよかったんです。自分もそうやって生きていきたいなと思いました」と感化されたようだ。
『ザ・ノンフィクション』の取材を受けた理由
改めて、原田さんはどんな人物なのかと聞いてみると、「あそこまで“生きてるな”と感じさせる人、そしてあんなにも強い人は、なかなかいないです」と表現する広瀬D。「毎回のパフォーマンスも“そこまでやるの!?”と驚くくらい、全力でやるんですよ。そこにすごく心を打たれて、その姿を見ているだけで、“自分も頑張らなきゃ”という気持ちにさせるパワーがある人だと思います」と印象を語る。
当初は渋りながらも、今回取材を受けてくれたのは、「原田さんの表現者としての気持ちがあるのと同時に、帯金さんを世に出したいという思いもあったと思います。帯金さんにもっと売れてほしいという純粋な応援の気持ちが伝わってくるんです」といい、熱い人柄も感じているそうだ。
今回のドキュメンタリーでは、うつによる落ち込みから再び頑張ろうとキックボクシングを始めた原田さんが、試合に臨む場面も。「試合のところはほとんどナレーションがないのですが、原田さんと帯金さんの表情だけで、関係性が見えてきます。“そこまで深い関係性だったんだ!”と僕も見て驚いたので、ぜひ注目してほしいです」と呼びかけた。