漫画家、エッセイスト、作詞家、脚本家といくつもの顔で、独特の世界観を築き上げたアーティスト・さくらももこ。今も色褪せないさくらワールドを詰め込んだ展覧会「さくらももこ展」が、東京にやってくる。
2022年11月高松市美術館を皮切りに、全国巡回を行っている本展は、代表作『ちびまる子ちゃん』を含む約300点のカラー原画や直筆原稿など貴重な資料を多数展示。東京会場は、10月5日より六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーにて開催する。
会場は7つのエリアで構成されており、漫画家デビュー前の少女時代の作品から、代表作『ちびまる子ちゃん』、エッセイやコジコジなど多岐にわたる活動、プライベートやアトリエまで、さくらももこの歩みを辿る展示となっている。
漫画家・さくらももこ
小さい頃から漫画家になることを夢見ていたさくらももこ。1984年「教えてやるんだありがたく思え! 」の『りぼん』掲載でデビューした2年後、代表作『ちびまる子ちゃん』の連載が始まる。序章~第1章では、こうしたデビュー前から初期の貴重な資料も多く展示。第1章だけで展示されている原画は100点以上にのぼるのだとか。
毎回凝ったデザインと鮮やかな色彩で描かれた扉絵は、額に入って白い壁に掛けられているともはや一枚のアート作品のようで、さくらももこの扉絵へのこだわりを感じられる。小学生の日常を描いた『ちびまる子ちゃん』のほのぼのとしたストーリーと、この扉絵のミステリアスな雰囲気のコントラストも、さくらももこ作品の魅力のひとつではないだろうか。
エッセイスト・さくらももこ
エッセイの初出版は漫画デビューより後だったが、文章を書くことは昔から得意だったというさくらももこ。高校生の時に描き始めた漫画も、「エッセイを漫画で描いてみたらどうか」という思いつきからだったのだそう(『ひとりずもう』より)。
第2章「ももこのエッセイ」では、デビューエッセイにしてベストセラーとなった『もものかんづめ』の巨大原稿を壁一面に展示。さくらももこのあの独特で可愛い文字を全身で浴びるかのような演出は圧巻だ。
エッセイだけでなく、さくらももこが高校生の頃から書きとめていたものをまとめた詩集『まるむし帳』や、作詞を手掛けた楽曲なども多数展示されており、さくらももこの才能の豊かさがよく分かるエリアとなっている。
このラジオからは、1年間パーソナリティを務めた「さくらももこのオールナイトニッポン」の音源が流れており、改めて“まる子”とTARAKOさんの声はよく似ていたんだなぁと実感する。
さくらももこという人
第3章からは息子との関わりや出身地・清水への愛着などを紹介する「ももこのまいにち」、さくらももこがナンセンスに本気で取り組んだ『神のちから』などを展示した「ももこのナンセンス・ワールド」、そして「ももことコジコジ」と続く。
妊娠中夢中になって作ったという「道具箱」や、愛用の時計メーカー「ピエール・ラニエ」のコラボ腕時計なども展示されている。
そして最後のエリアは、「アトリエより」。実際に使用していた道具や、イラストを描きこんだチェンバロなどを見ることができる。
仕事でもプライベートでも人を笑わせることが好きだったというさくらももこ。その温かさや思いが感じられる、素敵な締めくくりとなっていた。
新発売グッズやコラボカフェも
グッズショップでは、「COJI-COJI」のポーチやワッペンを含む14アイテムが東京会場から販売開始。そのほか、東京会場限定のフォトブースも設置されている。
また、同フロアにあるカフェ「THE SUN & THE MOON」では、期間中「さくらももこ展カフェ」を実施。前期と後期で一部メニューを入れ替え、全15品のコラボメニューを提供する。
今もなお、作品を通して多くの人に愛され続けるさくらももこの魅力がたっぷり詰まった「さくらももこ展」。ぜひその世界へ足を運んでみてほしい。
■東京会場開催概要
・会期:前期2024年10月5日~11月20日、後期2024年11月21日~2025年1月5日
※前後期で一部カラー原画を入れ替え予定
・会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
・時間:10時00分~18時00分(金曜日、土曜日、10月13日、11月3日は20時まで。入館は閉館30分前まで)
・チケット:一般1,800円/高校・大学生1,500円/4歳~中学生800円(全日日時指定制)
(c)さくらももこ (c)さくらプロダクション