獏は10月3日、「美術好きがおすすめする日本の美術館」に関する調査の結果を発表した。調査は2024年9月17日~9月18日、関東在住で年に2回以上美術館へ行く男女1,008人を対象にインターネットで行われた。
好きな美術館、1位は「国立新美術館」
「好きな美術館はどこですか?(上位3つまで)」と質問したところ、「国立新美術館(45.7%)」と回答した人が最も多く、次いで「東京都美術館(35.6%)」「国立西洋美術館(31.9%)」となった。
理由を詳しく聞いたところ、国立新美術館を挙げた人からは、「建物が好きだから」(40代/女性/自営業・自由業)、「いつ行っても素晴らしい作品が展示されていて、心が安らぐから」(50代/男性/会社員)といった回答が寄せられた。東京都美術館と答えた人からは、「広々していてゆっくり鑑賞できるから。アクセスがいいから」(40代/女性/専業主婦)、「東京都美術館は書道作品を出品しているので」(60代/女性/専業主婦)といった声が。国立西洋美術館には、「美術館の展示内容だけでなく、立地や建物が美しいから」(30代/女性/専業主婦)、「ル・コンビュジエの建築様式が美しく、クロード・モネやルノアールなどの作品がある常設展に素晴らしい作品が揃っているから」(60代/女性/専業主婦)など、さまざまな理由が示された。
「美術館には誰と行くことが多いですか?」と質問したところ、「一人(41.8%)」と回答した人が最も多く、次いで「恋人・パートナー(27.7%)」「家族(パートナー以外)(22.0%)」となった。約4割が1人で美術館を訪れることから、個人のペースで展示されている作品を楽しむ傾向が見られる。また、恋人やパートナー、パートナー以外の家族と美術館に行く人もいることが示された。
次に、美術館に行った際はどのような商品を購入しているのか尋ねたところ、「絵はがきやポスター(51.7%)」と回答した人が最も多く、次いで「文房具(30.8%)」「展示会のカタログ(23.5%)」となった。半数以上の人が「絵はがきやポスター」を購入するようだ。また、「文房具」「展示会のカタログ」と回答した人も多く、手軽に持ち帰れるグッズが人気であることが示された。
自宅に美術品のコレクションはない? ネックは「価格」
「自宅に美術品はありますか?」と質問したところ、約半数が「ある(53.1%)」と回答した。自宅に美術品を所有している人の割合は半数を超えたものの、美術館を訪れる頻度と比較すると、所有まで至っている人は案外少ないのかもしれない。
では、自宅に美術品があると回答した人は実際にどのような美術品を持っているのか。前の質問で「ある」と回答した人に、「どのような美術品がありますか?(複数回答可)」と質問したところ、「絵画(59.6%)」と回答した人が最も多く、次いで「アートパネル(24.1%)」「写真(20.6%)」となった。6割近くが「絵画」と回答し、また、「アートパネル」「写真」といった回答も上位に挙がったことから、インテリアとして飾ることができる美術品が人気のようだ。
自慢したい美術品には、「100年前の絵画」(30代男性/会社員)、「岡本太郎の太陽の塔のフィギュア」(40代/女性/会社員)、「エルテのシルクスクリーン」(50代/女性/パート・アルバイト)、「ピカソのレプリカ」(60代/男性/会社員)などが挙げられた。
前の質問で「ない」と回答した人に、「美術品を購入していない理由は何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、「価格が高いから(58.4%)」と回答した人が最も多く、次いで「置いたり飾ったりする場所がないから(45.9%)」「美術館に見に行くだけでいいから(28.1%)」となった。本物を求めようとすると価格が高いことや、レプリカの購入とはいえ保管場所などの問題で、美術品を購入していないことが示された。
美術好きなら必ずある!? 憧れの作品
これまでに見た美術品で"高くて買えないけれど欲しい!"と思った経験はあるのか、詳しく尋ねたところ、「バンクリのアンティーク」(40代/女性/会社員)、「フランスで見たアールデコの花瓶」(50代/女性/パート・アルバイト)、「モネやセザンヌなどの印象絵画」(50代/男性/会社員)、「骨董品が欲しかったが、高すぎて諦めた」(50代/男性/会社員)といったコメントが寄せられた。憧れや手に入らないものへの欲はあるものの、価格が高くて買えないという葛藤が感じられる。
今期注目の美術展は?
「2024年10月~2025年3月までの間に関東で開催される美術展で注目しているものは何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、「モネ 睡蓮のとき(52.5%)」と回答した人が最も多く、次いで「坂本龍一|音を視る 時を聴く(23.2%)」「ハニワと土偶の近代(17.5%)」「ベル・エポック - 美しき時代 パリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に(17.5%)」となった。
「モネ 睡蓮のとき」に関しては、世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館より、日本初公開を含むおよそ50点もの作品が展示されるため貴重な機会に注目も高いのかもしれない。また、「坂本龍一|音を視る 時を聴く」についても、2023年3月に逝去した音楽家・坂本龍一さんの創作活動の軌跡をたどる最大規模の個展のため見どころがありそうだ。